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高血圧と食事の関係|減塩のコツとおすすめレシピ

2026 9/01
生活習慣
2025年3月4日2026年9月1日

監修:鎌形 博展(医師・医療法人社団季邦会 理事長)

高血圧と食事の関係|減塩のコツとおすすめレシピ

血圧を下げる方法というと、まず薬を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実は食事の見直しだけでも、薬に匹敵するほどの降圧効果が確認されています。何をどう食べるかで血圧がどう変わるのか、科学的な根拠とあわせて、無理なく続けられる工夫を紹介します。

目次

食事がこれほど血圧に影響する理由

高血圧の背景には、食塩の摂りすぎ、カリウム不足、過剰なカロリー摂取、飲酒の影響など、複数の食事要因が関わっています。とくに日本人は世界的に見ても食塩摂取量が多い傾向があり、日本高血圧学会や世界保健機関(WHO)は、成人の1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることを推奨しています。この目安は2025年8月に改訂された最新のガイドライン(JSH2025)でも引き続き採用されており、個人単位の取り組みだけでなく、地域や職場、学校といった集団単位での減塩の働きかけも効果があるとされています(出典:日本高血圧学会「Key highlights of the Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension 2025(JSH2025)」Hypertension Research誌)。しかし実際の日本人の平均摂取量は10gを超えているのが現状で、多くの人にとって減塩は「意識すればすぐできる」というより、「意識してもなお難しい」課題になっています。

減塩でどれだけ血圧が下がるのか

食塩と血圧の関係は、個々の体質によって差はあるものの、集団としてみると明確な関連があります。本態性高血圧の患者では、1日の食塩摂取量を1g減らすごとに、収縮期血圧が平均で1mmHg強下がることが報告されています。目標である6g未満を達成できれば、現在10g前後を摂取している人にとっては、数mmHg単位の血圧低下が期待できる計算になります。降圧薬1剤による効果が収縮期血圧でおおむね10〜15mmHg程度とされていることを踏まえると、減塩だけで薬に迫る効果を得られる場合もあるということです。

DASH食とは何か、どこまで効果が確認されているか

食事療法として国際的によく知られているのが「DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」です。野菜、果物、低脂肪の乳製品を積極的に摂り、飽和脂肪酸やコレステロールを控えるという食事パターンで、1997年に発表された大規模な臨床試験がその効果の根拠になっています。この試験では、参加者に厳密に管理した食事を提供し、通常の食事と比べてDASH食がどれだけ血圧を下げるかを検証しました。その結果、もともと血圧が高めだった参加者では、DASH食によって収縮期血圧が平均11.4mmHg、拡張期血圧が平均5.5mmHg、通常の食事に比べて低下したことが示されています(出典:Therapeutics Initiative(UBC)「Can blood pressure be lowered by a change in diet? Evidence from the DASH trials」、原論文:Appel LJ, et al. NEJM. 1997;336:1117-1124)。

減塩とDASH食を組み合わせるとさらに効果が高まる

DASH食の効果を確かめた研究では、その後、食塩摂取量を段階的に変えながら効果を検証する追加の試験も行われています。その結果、DASH食に減塩を組み合わせると、それぞれを単独で行うよりも大きな降圧効果が得られることが分かりました。もともと血圧が高めだった参加者では、通常の食事のまま減塩しただけでも収縮期血圧が平均8.3mmHg下がった一方、DASH食と減塩を両方行うと11.5mmHg程度まで低下幅が広がったと報告されています。研究者は、この2つを組み合わせることで得られる血圧の低下幅は、降圧薬1剤による効果を上回る場合もあると位置づけています。もちろん、これは食事だけで治療を完結できるという意味ではなく、生活習慣の改善が治療の重要な柱であることを裏づけるデータとして理解するのが適切です。興味深いことに、この研究では減塩による血圧低下は「塩分に敏感な体質の人だけに起こる」という従来の見方に反して、個人差はあるものの幅広い参加者に共通してみられたことも報告されています。また、減塩を続けたグループでは頭痛を訴える人の割合も少なかったとされ、血圧以外の体調面でもメリットが見られた点は、減塩を続けるモチベーションとして参考になります。

ナトリウムとカリウムのバランスを意識する

ナトリウム(塩分)が血圧を上げる方向に働くのに対し、カリウムは尿へのナトリウム排出を促し、血圧を下げる方向に働きます。JSH2025では、尿中のナトリウムとカリウムの比率(Na/K比)を2未満に近づけることが、血圧管理の新しい目安として提案されています。カリウムはバナナ、ほうれん草、アボカド、トマト、さつまいもといった野菜や果物に豊富に含まれているため、減塩と並行してこうした食品を積極的に取り入れることが効果的です。汁物や煮物では、野菜に含まれるカリウムが茹で汁に溶け出すため、スープごと食べられる調理法(味噌汁や鍋物など)にすると効率よく摂取できます。ただし、腎機能が低下している人はカリウムの摂りすぎがかえって体に負担をかけることがあるため、腎臓病の治療を受けている場合は、増やす前に医師に相談してください。

見えない塩分に注意する

減塩というと調味料を控えることに意識が向きがちですが、実際には加工食品や外食に含まれる「見えない塩分」の影響も見過ごせません。ハムやソーセージ、漬物といった加工食品、しょうゆやソース、ケチャップなどの調味料、インスタント食品やスナック菓子には塩分が多く含まれています。外食では、麺類の汁を残す、ドレッシングやたれを別添えにしてもらう、といった工夫だけでも塩分摂取量を数g単位で減らせることがあります。加工食品を選ぶ際は、パッケージに記載された栄養成分表示の「食塩相当量」を確認する習慣をつけると、意識せずに摂っていた塩分量に気づきやすくなります。同じ種類の食品でも、メーカーや商品によって塩分量が数割単位で異なることも珍しくありません。

無理なく減塩を続けるための工夫

厳しい減塩を急に始めると、味気なさから長続きしないことが少なくありません。だしのうま味や、酢・柑橘類の酸味、しょうがや香辛料の風味を活用すると、塩分を減らしても満足感のある味付けにしやすくなります。

  • 和食の基本であるだしをしっかりきかせ、調味料の使用量そのものを減らす
  • 酢・レモン・ゆず等の酸味や、こしょう・七味・しょうがなどの香辛料で物足りなさを補う
  • 漬物・加工食品・インスタント食品の頻度を少しずつ減らす
  • 外食時は麺類の汁を残す、調味料を別添えにしてもらうよう工夫する

高血圧の人におすすめの食事の組み立て方

毎食すべてを完璧にしようとすると挫折しやすいため、1日のうち1食からでも野菜・果物・低脂肪乳製品を意識的に増やし、主菜は焼く・蒸すなど油を控えた調理法を選ぶところから始めるのが現実的です。朝食に野菜や果物を加える、夕食の汁物を具だくさんにして塩分濃度を薄める、間食を果物やナッツに置き換えるといった小さな積み重ねが、長期的な食塩・カロリー摂取量の削減につながります。糖尿病を合併している場合は、カロリーや糖質のコントロールもあわせて必要になるため、栄養指導を受けながら進めると安心です。

高血圧向けの食事、実践のヒント

献立を大きく変えなくても、いつもの料理に一手間加えるだけで、減塩とDASH食の考え方を取り入れることができます。たとえば、みそ汁は具だくさんにして汁の量そのものを減らす、焼き魚には塩を振る代わりにレモンや大根おろしを添える、野菜炒めは仕上げにこしょうやしょうがを効かせて調味料を減らす、といった工夫です。主菜を魚や鶏むね肉にして、副菜に野菜やきのこを2品添えるという組み立てにすると、自然とカリウムや食物繊維の摂取量も増えます。間食を選ぶときは、スナック菓子の代わりにバナナやりんご、無塩のナッツを選ぶと、塩分を抑えながらカリウムやミネラルを補うことができます。

お酒との付き合い方もあわせて見直す

食事の見直しとあわせて意識したいのが飲酒です。アルコールは短期的には血管を広げますが、習慣的な多量摂取は血圧を上げる方向に働きます。高血圧とアルコールの関係で詳しく解説しているように、日本高血圧学会は、アルコール量で男性1日20〜30mL以下、女性10〜20mL以下を目安として示しています。外食や飲み会が続くときは、塩分の多いおつまみとお酒の組み合わせで摂取量が想定以上になりやすいため、注意が必要です。

変化を記録して振り返る

食事の工夫がどれだけ効果につながっているかは、体感だけでは分かりにくいものです。家庭血圧の正しい測り方を参考に、朝晩の血圧を記録しておくと、減塩や食事の変化と血圧の動きを自分自身で振り返ることができます。数値がすぐに大きく変わらなくても、数週間から数か月単位で少しずつ効果が表れることも多いため、短期間で結果が出ないからとあきらめず、継続して記録を続けることが大切です。健康診断の結果や血圧手帳を見返して、半年前・1年前と比べてどう変化したかを確認する習慣をつけると、日々の食事の積み重ねが数値としてどう表れているかを実感しやすくなります。

まとめ

減塩とDASH食は、それぞれ単独でも、組み合わせればさらに大きな降圧効果が期待できることが、長年の研究で確認されています。生活習慣全体の見直しの中でも、食事は毎日3回、自分自身でコントロールできる数少ない要素です。完璧を目指さず、できることから少しずつ食生活を変えていくことが、無理なく血圧管理を続けるコツです。

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SUPERVISOR

この記事の監修者

鎌形博展株式会社EN 代表取締役兼CEO、医療法人社団季邦会 理事長

救急医療の最前線で培った臨床経験をもとに、現在は医療法人社団季邦会(首都圏7拠点)の理事長として、高血圧・糖尿病・脂質異常症など生活習慣病の診療にあたっています。日々の診療で得た知見を本メディアの監修に活かしています。

専門科目

救急・地域医療

所属・資格

  • 日本救急医学会
  • 日本災害医学会所属
  • 社会医学系専門医指導医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 国際緊急援助隊・日本災害医学会コーディネーションサポートチーム
  • ICLSプロバイダー(救命救急対応)
  • ABLSプロバイダー(熱傷初期対応)
  • Emergo Train System シニアインストラクター(災害医療訓練企画・運営)
  • FCCSプロバイダー(集中治療対応)
  • MCLSプロバイダー(多数傷病者対応)

研究実績

  • 災害医療救護訓練の科学的解析に基づく都市減災コミュニティの創造に関する研究開発 佐々木 亮,武田 宗和,内田 康太郎,上杉 泰隆,鎌形 博展,川島 理恵,黒嶋 智美,江川 香奈,依田 育士,太田 祥一 救急医学 = The Japanese journal of acute medicine 41 (1), 107-112, 2017-01
  • 基礎自治体による互助を活用した災害時要援護者対策 : Edutainment・Medutainmentで創る地域コミュニティの力 鎌形博展, 中村洋 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 修士論文 2016

メディア出演

  • フジテレビ 『イット』『めざまし8』
  • 共同通信
  • メディカルジャパン など多数

SNS・関連リンク

  • YouTube Dr.鎌形の正しい医療ナビ
  • X(Twitter)
  • 株式会社EN
  • 医療法人社団季邦会

参考文献

  • 日本高血圧学会「JSH2025 Key highlights」Hypertension Research誌
  • Therapeutics Initiative(UBC)「DASH trials」、原論文:Appel LJ, et al. NEJM. 1997;336:1117-1124
生活習慣
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血圧の学校編集部は、医師・医学生・看護師・臨床工学技士・理学療法士・医療事務によって構成されています。日本高血圧学会のガイドラインや国内外の論文をもとに、血圧と上手に付き合うための情報をわかりやすくお届けします。すべての記事は鎌形博展医師(株式会社EN 代表取締役兼CEO、医療法人社団季邦会 理事長)の監修のもとに制作しています。

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