眼科ってどんなところ?

眼科ってどんなところ?

本記事について

特定の医療機関を推薦する記事ではありません。また、「あなたの症状なら眼科です」という判断をする記事でもありません。 眼科という診療科名が制度上どう位置づけられ、どんな病気を扱い、ほかの科とどう分担しているのかという、受診行動のしくみの説明にとどめています。

診療科名の根拠は医療法施行令、視能訓練士の業務は視能訓練士法、扱う病気は日本眼科学会の一般向け解説、コンタクトレンズの販売時の受診確認は厚生労働省の通知、救急の目安は総務省消防庁の資料を出典にしています(末尾に一覧・確認日を記載)。

目次

はじめに

コンタクトレンズを買い足したい。最近、新聞の字がかすむ。視界に小さな虫のようなものが飛んで見える。糖尿病の主治医から「眼科にも行ってください」と言われた——こうした場面で名前が挙がるのが眼科です。

ところが外来で話を聞くと、「見えにくくなったら行くところ」「コンタクトはお店で買えるから眼科は要らない」という声を聞きます。実際には、緑内障や糖尿病網膜症のように、自覚症状がないまま進む病気を見つけるのも眼科の大事な役割です。また、急な見え方の変化の中には、眼科ではなく119番を考えるべき場面もあります。

眼科は、目そのもの(角膜・水晶体・網膜など)に加えて、まぶた・涙の通り道・視神経までを診る科です。白内障・緑内障・網膜の病気、子どもの弱視や斜視、コンタクトレンズの検査まで幅広く扱います。ただし、緑内障や糖尿病網膜症は初期に自覚症状がほとんどないため、「見えているから大丈夫」とは言えません。急に見える範囲が狭くなる、ものが二重に見えるといった症状は、脳の病気のこともあり119番を考える場面です。

実際に探すときは

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「眼科」はどんな科名?

医療機関が看板やウェブサイトに掲げられる診療科名は、医療法施行令第3条の2で決められています。循環器内科や消化器内科が「内科」に臓器名を組み合わせて作られる科名なのに対して、眼科は、小児科・皮膚科・耳鼻いんこう科などと並んで、それ自体がひとつの科名として条文に書かれています。

ここで押さえておきたいのは、科名は医療機関が自分で掲げるものだという点です。施行令が決めているのは「この名前なら広告してよい」という枠であって、その院の医師が目の病気をどれだけ診てきたか、どの分野を得意にしているかまでは、科名からは分かりません。医師の専門資格の読み方は「専門医」「指導医」「認定医」の違いって?で解説しています。

眼科ではどんな病気を診る?

日本眼科学会は、一般向けの解説で目の病気を部位ごとに分けて紹介しています。主なものを挙げると次のとおりです。

  • 見え方のピント(屈折・調節)……近視・遠視・乱視、老視(老眼)
  • まぶた……ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)、眼瞼下垂、眼瞼けいれんなど
  • 涙……ドライアイ
  • 結膜(白目)……アレルギー性結膜炎、ウイルス性結膜炎など
  • 角膜(黒目)……角膜の感染症、コンタクトレンズによる障害など
  • 水晶体……白内障
  • 網膜……糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜剥離、網膜の血管が詰まる病気など
  • 視神経……緑内障、視神経炎
  • こどもの目……弱視、斜視、先天性鼻涙管閉塞など
  • その他……ぶどう膜炎、眼精疲労、甲状腺の病気に伴う目の症状(甲状腺眼症)、ロービジョンなど

外来でよく話題になる病気について、学会の説明を要約するとこうなります。

  • 白内障……目の中でレンズの役割をしている水晶体が濁る病気で、主な原因は加齢です。学会は、60歳代で約70%、70歳代で90%、80歳代ではほとんどの人が白内障になるとしています。通常はゆっくり進み、進むと視力低下やまぶしさ、ものがだぶって見えるなどの症状が出ます。手術では濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを入れます
  • 緑内障……視神経が傷み、見える範囲(視野)が欠けていく病気です。学会は、日本の40歳以上の約5%、およそ20人に1人が緑内障だという調査結果を紹介し、初期にはほとんど自覚がないことが多いこと、日本人の後天的な失明原因の第1位であることを挙げています。治療は薬・レーザー・手術のいずれも眼圧を下げるためのものです
  • 加齢黄斑変性……網膜の中心部(黄斑)が傷み、ものの中心がゆがんだり暗く欠けて見えたりする病気です。学会は、方眼紙のような図を片目ずつ見るセルフチェックを紹介し、喫煙を自分で変えられる最も重要な危険因子としています

診療所でできることと、病院の役割は?

眼科の外来では、視力検査や眼圧検査に加えて、顕微鏡で目の表面や中を見る検査(細隙灯顕微鏡検査)、眼底検査、網膜の断面を撮る検査(光干渉断層計、OCT)、視野検査などが行われます。学会は緑内障の検査としてこれらを挙げ、視野検査は緑内障の進行を判定する基本の検査だと説明しています。

こうした検査を担う国家資格の職種に、視能訓練士があります。視能訓練士法は、視能訓練士を国家資格と定め、医師の指示の下で、両眼視機能の回復のための訓練と眼科の検査を行う職種としています。眼科で医師の診察の前に検査を受けることがあるのは、このしくみによるものです。

どの検査や治療を院内で行えるかは、医療機関によって違います。 OCTや視野検査の機器の有無、白内障の日帰り手術や網膜の病気の注射治療(抗VEGF療法)を院内で行うかどうかは、院によってさまざまです。一方、網膜剥離の手術(硝子体手術など)や、全身麻酔が必要な手術、入院が必要な治療は、設備のある病院の役割になることが多くなります。診療所で見つかった病気を病院へ紹介し、落ち着いたら再び診療所で経過をみる流れは、紹介状(診療情報提供書)はなぜ必要?で解説しています。

コンタクトレンズは、なぜ眼科で検査を受けるの?

コンタクトレンズは、度の入っていないおしゃれ用のカラーコンタクトレンズも含めて、高度管理医療機器に分類されています。日本眼科学会は、使い方を間違えると目に障害を与えるとし、レンズのケアが不十分なこと、レンズケースの汚れ、装用時間や交換期間を守らないことを、角膜の感染症の原因として挙げています。

厚生労働省は、2017年(平成29年)の通知で、コンタクトレンズを売る販売業者に対し、次のことを求めています。インターネットや通信販売も含め、対面か非対面かを問いません。

  • 販売時に医療機関の受診状況を確認し、受診している場合は医師の指示に基づいて販売すること
  • 受診していない購入者には、不適切な使い方で重い目の障害が起こりうること、予防には医療機関を受診して医師の指示に基づいて使う必要があることを説明し、受診を勧めること
  • 「処方箋不要」「検査不要」のように、受診が不要だと誤解させる販売は不適切であること
  • 購入者に、自覚症状がなくても医療機関で定期検査を受けること、異常を感じたら直ちに受診することを伝えること

この通知は、背景として、インターネットや通信販売で購入した人に目の障害が多いという研究報告を挙げています。お店で買えることと、眼科の検査が要らないことは別の話です。

症状がなくても眼科を考えたいのは、どんなとき?

眼科は「見えにくくなってから行くところ」と思われがちですが、学会の説明からは、症状が出る前に見つけることに意味がある病気が少なくないことが分かります。

  • 40歳を過ぎたら……緑内障は40歳以上の約5%にみられ、初期にはほとんど自覚がないと学会は説明しています。職場や自治体の健診で眼底検査や眼圧検査を受ける機会がない方は、一度眼科で相談してみる価値があります
  • 糖尿病と言われたら……学会は、糖尿病網膜症は初期に自覚症状がほとんどなく、糖尿病と診断された方は症状がなくても年1回の定期検査が推奨されるとしています。糖尿病内科との連携は糖尿病内科ってどんなところ?で整理しています
  • 子どもの目……学会は、視力が育つ大切な時期(感受性期)を生後1か月から8歳ごろまでとし、その時期に目に適切な刺激が入らないと視力の発達が止まったり遅れたりする(弱視)と説明しています。弱視の治療は眼鏡が基本で、必要に応じて良いほうの目を隠す訓練を行います。乳幼児健診や学校の健診で目について指摘されたら、眼科で相談してください
  • コンタクトレンズを使っているなら……前述の厚生労働省の通知どおり、自覚症状がなくても定期検査を受けることが勧められています

健診の結果票の読み方や、指摘を受けたあとの受診先は、健診で「要再検査」と言われたら、どこへ行けばいい?でも扱っています。

ほかの科とは、どう分担している?

目の症状は、目以外の病気がきっかけで起こることもあります。このため、いくつかの科と守備範囲が重なります。

  • 糖尿病内科・一般内科……糖尿病網膜症の治療の基本は、学会によれば血糖・血圧・脂質の全身の管理です。眼科での検査と内科での管理は、どちらか一方では足りません
  • 脳神経内科・脳神経外科(救急)……見える範囲が急に狭くなる、ものが二重に見えるといった症状は、脳の病気で起こることがあります。総務省消防庁は、これらをためらわず救急車を呼んでほしい症状に挙げています(次の節)
  • 小児科……子どもの目の症状を、まずかかりつけの小児科で相談し、目の検査が必要なら眼科を紹介してもらう進め方もあります。小児科の対象年齢については子どもは何歳まで小児科?で整理しています
  • 耳鼻いんこう科……花粉症の季節は、目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)と鼻の症状が同時に出ることがよくあります。鼻の症状は耳鼻いんこう科、目の症状は眼科という分け方もあれば、かかりつけでまとめて相談する方法もあります。耳鼻いんこう科については耳鼻いんこう科ってどんなところ?で解説しています

どちらが正しいということではありません。 診察の結果、別の科を紹介されるのはよくある流れです。

急いで受診したほうがいいのは、どんな場面?

ここまでは、外来で計画的に受診する場面の話です。日本眼科学会の一般向け解説や総務省消防庁の資料からは、次のような場面は急ぐべきだと読み取れます。

  • 薬品や洗剤などが目に入った……学会は、受診する前にその場でなるべく早く、目を開けたまま水道水などの流水で10分以上洗い、洗い終わったらただちに眼科を受診するよう説明しています
  • 飛んで見えるものが数えきれないほど多い、光が走って見える……学会は、飛蚊症(虫やゴミのようなものが飛んで見える症状)の大半は加齢による生理的なものだとしつつ、網膜剥離などの病気の徴候のこともあり注意が必要だとしています。網膜剥離は初期に飛蚊症や光視症(閃光のような光が見える)を自覚することがあり、早期発見・早期治療が視力を守る鍵だと説明しています

一方、次のような症状が急に出たときは、診療所の診療時間を待たずに119番を考える場面です。総務省消防庁の「救急車を上手に使いましょう」は、大人のためらわず救急車を呼んでほしい症状として、次のようなものを挙げています。

  • 見える範囲が狭くなる/突然、周りが二重に見える
  • 顔半分が動きにくい、しびれる/笑うと口や顔の片方がゆがむ/ろれつがまわりにくい
  • 突然の激しい頭痛

迷ったときの相談窓口(#7119)や、夜間・休日の医療のしくみについては、夜間や休日に具合が悪くなったら、どこへ行けばいい?で整理しています。

よくある誤解

誤解1:「よく見えているから、目の病気はない」

日本眼科学会は、緑内障の視野の欠けは初期にはほとんど自覚がない場合が多く、糖尿病網膜症も初期には自覚症状がほとんどないと説明しています。見え方に困っていないことと、病気がないことは同じではありません。

誤解2:「コンタクトレンズはお店やネットで買えるので、眼科の検査は要らない」

コンタクトレンズは高度管理医療機器です。厚生労働省の通知は、販売業者に受診状況の確認と未受診者への受診の勧めを求め、「処方箋不要」「検査不要」といった受診が不要だと誤解させる販売を不適切としています。自覚症状がなくても定期検査を受けることも、購入者に伝えるべき事項に含まれています。

誤解3:「白内障の手術をすれば、ほかの目の病気も治る」

白内障の手術は、濁った水晶体を取り除いて眼内レンズを入れる治療です。緑内障や網膜の病気は別の病気で、それぞれの検査と治療が続きます。緑内障について学会は、多くの場合、生涯にわたる治療が必要になると説明しています。

誤解4:「眼科と書いてあれば、どこでも同じ検査や手術ができる」

診療科名は医療機関が施行令の枠の中で掲げるもので、OCTや視野検査、白内障手術、注射治療などを院内で行えるかどうかは院によって違います。目的の検査や治療がある場合は、公式サイトで確認する必要があります。

こう考えて選ぶとよい

眼科の医療機関を探すときに、手がかりになる軸を挙げます。

  • 今の目的が、急な症状の相談なのか、長く付き合う病気の管理なのか、コンタクトレンズの検査なのか——緑内障のように定期的な検査が続く場合は、通いやすさや予約の取りやすさが大事になります
  • 院内でできる検査と治療——OCT、視野検査、白内障の日帰り手術、網膜の病気の注射治療などを院内で行っているかは、公式サイトで確認します
  • 子どもの目を診てもらいたいなら、小児の診療に対応しているか——弱視や斜視の検査・訓練に対応しているか、視能訓練士がいるかは、院の説明で確かめます
  • コンタクトレンズを使っているなら、定期検査をどう案内しているか——前述の通知のとおり、自覚症状がなくても定期検査を受けることが勧められています。検査の間隔や、目の病気についても相談できるかは、院の説明で確かめます
  • 医師がどんな分野を診てきたか——同じ眼科でも、緑内障、網膜、角膜、小児の目、白内障手術など、病院時代に中心にしてきた分野は医師によって違います。経歴の欄が手がかりになります

いずれの場合も、最終的にどの医療機関を選ぶかは、お住まいのエリアの記事を参考にご自身で判断してください。 本記事はその前段階の、制度と役割分担の説明にとどまります。

監修者からのひとこと

内科の外来では、糖尿病の方に「眼科には行っていますか」と必ずお聞きしますが、「見えているから行っていない」という答えが少なくありません。目の病気の中には、見えにくさを感じたときにはかなり進んでいるものがあります。

糖尿病と言われた方、40歳を過ぎて一度も目の検査を受けたことがない方は、困りごとがなくても一度眼科で相談してみてください。また、コンタクトレンズを長く使っている方ほど、定期検査を後回しにしがちです。年に一度の検査を、レンズを買い足すときの習慣にしてみてください。

よくある質問

Q. 眼科は、何を診る科ですか。

A. 目そのものに加えて、まぶた、涙、視神経までを診る科です。日本眼科学会は、近視・遠視などのピントの異常、ものもらい、ドライアイ、結膜炎、白内障、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜剥離、子どもの弱視・斜視などを目の病気として紹介しています。

Q. 眼科で、医師の診察の前に検査をするのは誰ですか。

A. 視能訓練士が担当することがあります。視能訓練士法は、視能訓練士を厚生労働大臣の免許を受けた国家資格とし、医師の指示の下で、両眼視機能の回復のための訓練や眼科の検査を行う職種と定めています。

Q. コンタクトレンズを買うのに、眼科の受診は必要ですか。

A. 厚生労働省は2017年の通知で、販売業者に対し、販売時に医療機関の受診状況を確認し、受診している場合は医師の指示に基づいて販売すること、受診していない購入者には受診を勧めることを求めています。インターネットや通信販売も対象です。自覚症状がなくても定期検査を受けることも勧められています。

Q. 見え方に問題がなくても、眼科で検査を受けたほうがいいですか。

A. 日本眼科学会は、緑内障は40歳以上の約5%にみられ初期にはほとんど自覚がないこと、糖尿病網膜症も初期には自覚症状がほとんどなく、糖尿病と診断された方は症状がなくても年1回の定期検査が推奨されることを説明しています。該当する方は、症状がなくても眼科で相談する価値があります。

Q. 子どもの目は、何歳ごろまでに診てもらうとよいですか。

A. 日本眼科学会は、視力が育つ大切な時期を生後1か月から8歳ごろまでとし、この時期に目に適切な刺激が入らないと弱視になると説明しています。乳幼児健診や学校の健診で目について指摘されたら、早めに眼科で相談してください。

Q. 洗剤などが目に入ったら、どうすればいいですか。

A. 日本眼科学会は、受診する前にその場でなるべく早く、目を開けたまま水道水などの流水で10分以上洗い、洗い終わったらただちに眼科を受診するよう説明しています。

Q. 具体的にどの医療機関に行けばいいですか。

A. 本記事では特定の医療機関をおすすめしていません。上記の「実際に探すときは」から、お住まいのエリアの記事をご覧のうえ、ご自身で判断してください。

出典・参考文献

確認日:2026年10月20日

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