厚生労働省は2026年9月29日、「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」を公表しました。病院は8,001施設で前年から59施設減り、一般診療所は105,521施設で314施設増えました。病院の病床は1,450,322床で、1年間に19,523床減っています(出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」令和8年9月29日)。

全国の数字は、そのまま自院の判断に使えるものではありません。それでも、周りの医療機関で何が起きているかを測る物差しとして、毎年確認する価値があります。本記事は概況に載っている数値のうち、施設数・病床数・開設と廃止・病院の稼働状況に絞って整理します。統計が理由まで示していない事柄は推測せず、読み取れることと読み取れないことを分けて書きます。

令和7年の医療施設(動態)調査・病院報告は、何を調べた統計なのか?

全国の病院・診療所の施設数と病床数を10月1日時点で数える調査と、病院の患者数を毎月報告させる調査の、2つを合わせた概況です。どちらの調査も、時点や期間が異なる点に注意が必要です。

概況によると、医療施設調査の施設数・病床数は令和7年10月1日現在の値です。開設や廃止などの動態は、令和6年10月から令和7年9月までの1年間の結果にあたります。病院報告の患者数や在院日数は、令和7年1月1日から12月31日までの年間の値です(出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」令和8年9月29日)。

医療施設の総数は181,464施設です。このうち休止中・1年以上休診中の施設を除いた「活動中の施設」は179,146施設で、概況の集計はこの活動中の施設を対象にしています。本記事の施設数もすべて活動中の施設の数です。前年の179,645施設から499施設、0.3%の減少でした。

病院・診療所の数は、1年でどう変わったのか?

病院は59施設減って8,001施設、一般診療所は314施設増えて105,521施設になりました。ただし、有床の一般診療所は255施設減り、増えたのは無床の診療所です。

区分 令和7年 令和6年 増減
病院 8,001 8,060 △59(△0.7%)
 一般病院 6,949 7,003 △54(△0.8%)
 精神科病院 1,052 1,057 △5(△0.5%)
一般診療所 105,521 105,207 +314(+0.3%)
 有床 5,160 5,415 △255(△4.7%)
 無床 100,361 99,792 +569(+0.6%)
歯科診療所 65,624 66,378 △754(△1.1%)

(出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」表1。令和7年10月1日現在、活動中の施設。△は減少)

表のとおり、病院の減少は一般病院が中心です。概況は、療養病床を有する病院が3,290施設で前年比48施設減、病院全体の41.1%にあたることも示しています。有床の一般診療所のうち、療養病床を有するものは378施設で、前年の431施設から53施設、12.3%減りました。

この表から言えるのは「施設の形が変わった」という事実までです。有床診療所が減った理由や、無床診療所が増えた理由は、概況には書かれていません。

開設と廃止は、1年に何件あったのか?

令和6年10月からの1年間で、病院は52施設が開設され101施設が廃止されました。一般診療所は開設11,291、廃止10,607でした。表の増減は、開設・再開から廃止・休止を引いた数に一致します。

区分 開設 再開 廃止 休止 増減数
病院 52 3 101 13 △59
一般診療所 11,291 271 10,607 641 314
歯科診療所 1,282 72 1,915 193 △754

(出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」表2。令和6年10月〜令和7年9月)

検算すると、病院は52+3−101−13で△59、一般診療所は11,291+271−10,607−641で+314となり、表1の増減と合います。この検算は本記事で計算したものです。

読み方の注意が1点あります。概況の注記によると、開設・廃止には施設の移転に伴う旧施設の廃止と新施設の開設が含まれます。したがって、廃止の件数がそのまま閉院の件数ではなく、開設の件数がそのまま新規開業の件数でもありません。

病床は、どの種類で減っているのか?

病床の総数は1,518,172床で、前年から24,185床、1.6%減りました。病院の病床は1.3%減ですが、一般診療所の病床は6.4%減と、減少率は診療所のほうが大きくなっています。

区分 令和7年 令和6年 増減 増減率
総数 1,518,172 1,542,357 △24,185 △1.6%
病院 1,450,322 1,469,845 △19,523 △1.3%
 一般病床 868,807 879,728 △10,921 △1.2%
 精神病床 311,579 316,147 △4,568 △1.4%
 療養病床 264,656 268,521 △3,865 △1.4%
 結核病床 3,331 3,508 △177 △5.0%
 感染症病床 1,949 1,941 +8 +0.4%
一般診療所 67,790 72,451 △4,661 △6.4%

(出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」表7。令和7年10月1日現在)

病院の病床の内訳では、一般病床が868,807床で59.9%、精神病床が21.5%、療養病床が18.2%を占めます。概況は、一般診療所の療養病床も3,553床で、前年から535床、13.1%減ったと記載しています。

1施設あたりの病床数は、病院全体で181.3床、医療法人の病院で146.6床です(いずれも概況の記載)。人口10万人あたりの全病床数は1,178.6床で、前年の1,187.3床から8.7床減りました。この人口10万対の値は、令和7年国勢調査の速報集計による総人口で計算されており、基本集計の公表後に再計算される予定です。

開設者別に見ると、病院と診療所の構成はどうなっているのか?

病院は医療法人が5,585施設で全体の69.8%を占め、一般診療所は医療法人が45.8%、個人が36.3%です。病院の医療法人は前年から41施設減り、診療所の医療法人は606施設増えました。

開設者 病院 一般診療所
医療法人 5,585(△41・69.8%) 48,317(+606・45.8%)
個人 82(△10) 38,292(△427・36.3%)
公的医療機関 1,175(△7) 3,438(△63)
国 317 550
社会保険関係団体 47 394(△15)
その他 795(△1) 14,530(+214)

(出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」開設者別施設数。カッコ内は前年比の増減と構成割合。増減が資料に記載されていない欄は省略)

病院の病床で見ても、医療法人が818,851床で56.5%と最も多くを担っています。一方で、前年からの減少も医療法人の病院の病床が8,472床と、開設者別で最大でした。個人の診療所は1年で427施設減り、医療法人の診療所は606施設増えています。個人の診療所の減少と、医療法人の診療所の増加が同時に起きています。ただし概況は法人化や承継といった理由を書いておらず、移転・承継・法人化の実数はこの資料だけでは分かりません。

一般病院の診療科別の施設数は、どう変わったのか?

外科・小児科・産婦人科を標ぼうする一般病院は減り、救急科・腎臓内科・糖尿病内科は増えました。診療科別の施設数は、1施設が複数の診療科を標ぼうできるため、重複して数えられています。

概況では、外科が4,228施設(前年比△65)、小児科が2,397施設(△30)、産婦人科が1,041施設(△11)、産科が189施設(△4)でした。産婦人科と産科を合わせた施設は1,230施設で、一般病院の17.7%にあたり、報道発表資料では前年から15施設の減少と記されています(出典:厚生労働省 令和7年医療施設(動態)調査・病院報告の概況(報道発表資料)令和8年9月29日)。

増えた側では、救急科が953施設(+34)、腎臓内科が1,557施設(+39)、糖尿病内科(代謝内科)が1,823施設(+36)でした。内科は6,461施設で、一般病院の93.0%が標ぼうしています。標ぼう科の施設数は診療体制や医師数そのものを示す指標ではないため、人員の増減とは分けて読む必要があります。

病院の入院・外来は、1年でどう変わったのか?

病院の1日平均在院患者数は1,134,901人で0.2%増、新入院患者は2.1%増でした。一方で、1日平均外来患者数は1,193,754人で1.5%減っています。病床利用率は全病床で77.9%と、前年から0.9ポイント上がりました。

指標(病院・令和7年1〜12月) 令和7年 令和6年 増減
病床利用率(全病床) 77.9% 77.0% +0.9ポイント
病床利用率(一般病床) 74.7% 73.3% +1.4ポイント
病床利用率(療養病床) 85.4% 85.0% +0.4ポイント
病床利用率(精神病床) 81.4% 81.4% △0.0ポイント
平均在院日数(全病床) 25.1日 25.6日 △0.5日
平均在院日数(一般病床) 15.3日 15.5日 △0.2日
平均在院日数(療養病床) 114.7日 117.4日 △2.7日
1日平均外来患者数 1,193,754人 1,212,243人 △1.5%

(出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」病院報告の表)

1日平均の新入院患者数は45,126人(+2.1%)、退院患者数は45,204人(+2.4%)でした。一般病床の1日平均在院患者数は651,941人で1.1%増えています。病床は減り、入院患者は微増したため、利用率は上がりました。一方で平均在院日数は短くなっています。外来は一般病院で1.6%減でした。

これらは全国の病院の平均で、病院の種類や地域による差は表に出ていません。外来が減った理由、在院日数が短くなった要因も、概況は説明していません。

この統計を、自院の経営判断にどう使えばよいのか?

全国の増減を自院の数字と並べて見るための「基準線」として使うのが適切です。この統計から自院の将来の患者数や収益を推測することはできません。使い方は大きく3つあります。

1つ目は、自院の稼働指標を同じ算式で計算し、全国値と比べることです。概況は病床利用率を「年間在院患者延数÷(月間日数×月末病床数)の1〜12月合計」、平均在院日数を「年間在院患者延数÷{1/2×(年間新入院患者数+年間退院患者数)}」と定義しています。自院の数字を出すときは、この定義に合わせないと比較になりません。

2つ目は、地域の数字を見ることです。全国値は地域ごとの差をならした平均で、概況には都道府県別の人口10万対病床数も載っています。自院のある地域の数字は、全国値より判断に近い材料になります。公的データの使い分けは、経営コンサルに頼む前に|自院を診断できる公的データ4種と使い分けで整理しています。

3つ目は、制度の動きと切り分けて読むことです。病床や施設の減少は確定した統計ですが、その背景にある国の支援や地域の再編の動きは別の話です。例えば重点支援区域に岡山県の高梁・新見構想区域が選定のような制度の動きは、この統計の増減の理由として資料に書かれているわけではありません。統計の増減と制度を結びつけるのは、読み手の解釈です。

よくある質問

病院の廃止101施設は、すべて閉院ですか。

そうとは限りません。概況の注記では、開設・廃止に施設の移転に伴う旧施設の廃止と新施設の開設を含むとされています。移転を除いた閉院の件数は、この表からは分かりません。

診療所は増えているのに、有床診療所は減っているのはなぜですか。

概況は理由を記載していません。数字の上では、無床の一般診療所が569施設増え、有床の一般診療所が255施設減っています。無床への転換や廃止がそれぞれ何件かは、この資料では確認できません。

人口10万対の病床数は、確定した数字ですか。

確定値ではありません。令和7年国勢調査の速報集計による総人口を使って計算されており、基本集計の公表後に再計算される予定と注記されています。

この統計に、医師数や在宅医療の実績は載っていますか。

本記事で参照した範囲では、載っているのは施設数・病床数・開設と廃止・診療科別の施設数・病院の患者数や在院日数などで、医師数や在宅医療の実績は確認できませんでした。それらは別の統計で確認する必要があります。

参考資料

※本記事の数値は、上記の概況(公表資料)の記載に基づきます。検算(開設・再開・廃止・休止の増減)は本記事で計算したものです。都道府県別の数値と診療科別の全項目は本記事では取り上げておらず、個々の調査票は参照していません。

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