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八王子総合クリニックを徹底解剖|TENET・ウェルパートナーの実像と「コンビニ型クリニック」6ブランド比較
経営・集患 公開 更新 執筆 鎌形 博展

八王子総合クリニックを徹底解剖|TENET・ウェルパートナーの実像と「コンビニ型クリニック」6ブランド比較

監修:医師・医療法人社団季邦会 理事長 鎌形博展

最終確認日:2026年10月3日

この記事の要点

  • 八王子総合クリニックは、2026年10月1日に八王子市椚田町で開院する「365日・8時30分〜21時・CT/MRI完備」の総合診療クリニックです。院長の石川浩平医師は、ニューヨークで見た「アージェントケア」を日本に持ち込みたいと語っています。
  • 開設者は医療法人社団ウェルパートナー、企画・運営支援は株式会社TENETです。医師採用サイトは「プライマリ・ケア×AIで医療を再設計するプロジェクトの第1拠点」と位置づけています。
  • TENETはAGAメディアの起業家・花房弘也氏が2020年に設立し、AGAスマクリなどオンライン自由診療で成長した会社です。元ニトリ社長の武田政則氏、亀田総合病院出身のCMO佐藤暁幸医師が加わり、保険診療の総合診療へ軸足を移しつつあります。
  • 医師の募集条件は常勤年収1,200万〜3,000万円、オンコールなし、直接応募で入職祝い金100万円です。開院前日(9月30日)時点で、公式サイトに紹介されている医師は院長のみです。
  • ドクターランド、CAPS(キャップスクリニック)、クリニックフォア、DMMのキュアステーション、クリニックプラス、ナビタスクリニックと比べると、八王子モデルは「郊外ロードサイド・大型画像機器・全年齢・21時まで・毎日」を1拠点に詰め込んだ、最も投資の重い型です。
  • 先行ブランドの出店ペースは多くても年3〜5拠点です。累計122.3億円を調達したクリニックフォアでも8年で20院弱にとどまっており、TENETの800拠点構想は承継型の積み上げが前提になると考えられます。

八王子総合クリニックの全体像

一言でいえば、救急医が院長を務める「毎日開いている、画像検査まで完結する郊外型の総合外来」です。石川院長は地域メディアの取材で、ニューヨークのスーパーの一角などにある「アージェントケア」に着想を得たと話しています。診療科に関係なくまず診て、重症度を見極め、必要な医療につなげる役割を目指すといいます。

項目内容
開院日2026年10月1日
所在地東京都八王子市椚田町538-5(旧BOOK OFF跡地)。京王高尾線めじろ台駅から徒歩10分、駐車場あり
建物平屋建て約150坪。診療室6室、処置室2室、AI問診ブース併設(医師採用サイトより)
診療時間毎日 8:30〜21:00、休診日なし(予定)。リハビリは8:30〜18:00。日祝は時間調整や昼休憩の可能性あり
標榜科目総合内科、整形外科、リハビリテーション科、皮膚科、小児科、救急科
検査設備16列CT(富士フイルム SUPRIA 2M)、1.5T MRI(ヘリウムレス、心臓検査なし)、内視鏡、レントゲン、エコー(求人票より)
自費診療美容皮膚科、美容点滴・注射、AGA・FAGA治療、ED治療(予定)
救急告示なし(医師採用サイトの募集要項より)
システムクラウド電子カルテ。AI問診・予約・決済・再診と連携
開設者/運営支援医療法人社団ウェルパートナー/株式会社TENET

「救急科」を標榜していますが、救急告示を受けた医療機関ではありません。救急車を受け入れる「救急病院」ではなく、夜間・休日の歩いて来られる患者を受け止める外来と理解するのが正確です。

自費診療のメニューに、TENETの祖業であるAGA治療が並んでいる点も見逃せません。保険診療の総合外来を集患の入り口とし、自費診療で収益を補う設計がうかがえます。

開院前のPRも異例の規模でした。9月の土日6日間に「健康フェスティバル」を開き、救急車の乗車体験や夜の院内探検、キッチンカーまで用意しました。地域メディアの報道によると、初日だけで約500人、最初の2日間で約1,000人が来場しています。なお、この地域メディアの記事にはPR表記が付いています。

届け出た施設基準から読み解く運営方針

公式サイトの院内掲示事項によると、保険医療機関としての指定は2026年10月1日付で、関東信越厚生局に次の施設基準を届け出ています。

区分届け出ている施設基準読み取れること
基本診療料情報通信機器を用いた診療に係る基準オンライン診療に対応。TENETの祖業との接点
基本診療料時間外対応体制加算3継続受診の患者からの電話に、毎日21〜22時に対応
特掲診療料CT撮影及びMRI撮影16列CT・1.5T MRIを、施設基準に応じた点数で算定できる
特掲診療料運動器リハビリテーション料(Ⅲ)リハの点数は1単位85点で、(Ⅰ)の185点の半分以下

注目したいのは、リハビリが最も低い区分の(Ⅲ)で届け出られている点です。(Ⅲ)は少ない理学療法士でも届け出られる区分で、人件費を抑えられる反面、リハのみの患者の単価は1回2,400円前後にとどまります。リハビリを収益の柱ではなく、整形外科の診察とMRI・CTに付随する機能として位置づけていると読めます。脳・神経疾患のリハビリは行わないことも明記されています。

また、放射線科医の読影体制を前提とする画像診断管理加算は、届出の一覧にありません。CT・MRIの読影は、外部への委託か、診療した医師自身が担う形になるとみられます。

公式サイトには、10月2日以降の受付時間に関するお知らせも掲載されています。内科・小児科・救急外来・発熱外来は21時まで受け付ける一方、整形外科と皮膚科は混雑状況により当日受付を終了する場合があるとしています。「全科・毎日21時まで」の看板は、開院直後から科によって調整が入っていることになります。

医師体制と採用条件:年収1,200万〜3,000万円の意味

八王子モデルの成否を握るのは医師の確保であり、提示条件はクリニック勤務としては最上位の水準です。一方で、開院前日時点で公式サイトに紹介されている医師は院長のみで、他の医師は「決まり次第紹介」とされています。

院長と統括医師

石川浩平院長は2007年川崎医科大学卒業で、順天堂大学医学部附属静岡病院 救急診療科の准教授などを務めた救急医です。救急科指導医・専門医、集中治療専門医の資格を持ち、医師採用サイトではドクターヘリでの現場出動が1,300件を超えると紹介されています。2023年からは米国のFeinstein Institutes for Medical Researchで研究に従事していました。

統括医師はTENETのCMOでもある佐藤暁幸医師です。2002年慶應義塾大学医学部卒業で、亀田総合病院の総合内科部長、亀田クリニック副院長を経て、2025年にTENETへ参画しました。総合内科専門医、家庭医療専門医・指導医です。

医師の募集条件

項目常勤非常勤
給与年収1,200万〜3,000万円(賞与含む、院長手当別)時給12,000円(日勤)、13,000円(18〜22時)
年収モデル免許5年目1,200万円〜、15年目1,800万円〜、20年目2,200万円〜―
勤務8:00〜21:30のシフト制、平均週40時間、週4日も相談可8:00〜22:00のうち週1日から
休日・オンコール年間休日120日、オンコールなし、残業月20時間以内―
応募要件免許取得5年以上かつ外来経験5年以上。内科・整形・リハ・皮膚・小児のいずれかジェネラリスト志向、AI活用に関心のある方を歓迎
直接応募特典入職祝い金100万円、面接御礼Amazonギフト1万円面接御礼のみ

注目したいのは、採用サイトの訴求が「開業だけがキャリアじゃない」である点です。集患・経営・採用を法人が引き受け、開業相当の年収と自由度を得られるとうたっています。開業を考える中堅医師そのものを、競合として取り込みにいく設計です。

比較の目安として、365日診療のキャップスクリニックは過去の医師募集で「週4日勤務で年収約2,000万〜2,300万円」を提示していました。八王子の条件はこれと同等か上回る水準で、夜間・休日診療の医師は奪い合いになっていることがわかります。2026年10月3日現在、八王子総合クリニックでは時給2万円で総合診療科、整形外科、皮膚科の求人が多数出しているようです。立地やコンセプトからは、医師確保が大きな課題になるのが予測されます。

求人票に記載された開院時のスタッフ構成(見込)は、医師が院長+常勤2名、看護師が常勤5名、理学療法士が常勤2名、放射線技師が常勤3名、医療事務が常勤10名です。医師以外の職種でも、遅番・土日祝は非常勤のダブルワークを中心に採用するとしています。

常勤医3名だけでは、3診を毎日12.5時間開ける体制の4割程度しか埋まりません。実際、医師アルバイト求人サイトには、八王子市内の匿名クリニックとして、内科・整形外科・皮膚科の夕方〜22時のスポット勤務が多数掲載されています。報酬は5時間で10万円、6時間で12万円と、時給換算で2万円です。診療科と時間帯の組み合わせは八王子総合クリニックの体制と一致します。

筆者の見立てでは、開院直後はスポット医で枠を埋めつつ、徐々に時給1.5万円前後の定期非常勤へ置き換えていく段階にあると考えられます。この切り替えの速さが初期の収支を大きく左右することは、後述の試算で示します。

なお、クリニック公式サイトには「掲載画像の一部はAIにより生成したイメージ」との注記があります。写真に写る医療者が実際の在籍者とは限らない点は押さえておくべきでしょう。

TENETとは何者か:AGAメディアから総合診療へ

TENETは、ネット広告とD2Cで育った起業家が、自由診療のオンライン医療で稼いだ力を保険診療の対面クリニックへ振り向けている会社です。八王子総合クリニックは、その転換の最初の実店舗にあたります。

時期出来事
2026年10月八王子総合クリニック開院(総合診療クリニックの第1拠点)
2026年8月従業員34名(契約社員・アルバイト含む)
2025年10月医療機関向け採用代行「病院人事部」を展開するmedrepの子会社化を決議。対面の医療機関への支援を強化すると説明
2025年CMOに佐藤暁幸医師(元亀田総合病院 総合内科部長)が参画
2024年4月CTOに河西智哉氏が参画
2023年10月資金調達。調達後評価額(潜在株含む)約83.7億円
2021年ジャフコが初回投資
2020年4月以降初診オンライン診療の特例を追い風に、AGA治療「AGAスマクリ」、不眠治療「ネムレルくん」のDX支援を開始
2020年3月花房弘也氏と澤口拓朗氏が株式会社TENETを設立
2016年頃花房氏が24歳で、評価額13.5億円でアラン・プロダクツをユナイテッドに売却。のちに同社執行役員
2014年頃花房氏が21歳でアラン・プロダクツを創業。薄毛情報メディア「ヘアラボ(旧ハゲラボ)」を運営

創業初期の採用ページには、最初の2〜5年は自由診療に集中すると明記されていました。性感染症、ED、AGAなど「恥ずかしい」「高い」という悩みと結びつく領域を、オンライン化で解決するという戦略です。インターン募集では、月1億円規模の広告予算を運用すると書いていた時期もあります。

現在のTENETは事業を7つに整理しています。オンライン診療、医療メディア、事業承継・病院再生、クリニック・病院向けDX/AX、少額短期保険、総合診療クリニックのプロデュース、医薬品企画製造・医療機器開発です。各事業が患者・データ・人材を相互に回す「エコシステム」だと説明しています。

TENETの経営陣・株主・資金はどうなっているか

経営陣は「IT起業家+総合診療医+小売の経営者」という組み合わせで、医療機関の経営経験者より、プロダクト・マーケティング・店舗運営の経験者が厚い布陣です。

氏名役割主な経歴
花房弘也代表取締役CEOアラン・プロダクツ創業、ユナイテッド執行役員
佐藤暁幸CMO(医師)亀田総合病院 総合内科部長、亀田クリニック副院長
武田政則パートナー/総合診療クリニック統括責任者2020年ニトリ代表取締役社長、2024年ニトリホールディングス副社長
河西智哉CTO・開発本部長複数社のCTOを歴任
天羽公平オペレーション統括KLabで開発部管掌役員、人事部長
澤口拓朗共同創業者ユナイテッド、アラン・プロダクツで新規事業

武田氏については、東洋経済は「ニトリ元社長」、TENETの会社紹介資料は「元ニトリホールディングス副社長」と書いています。公式サイトの経歴によれば両方とも事実で、表記の違いに過ぎません。武田氏は「ユニクロが衣料を、ニトリが家具を変えたように、私たちは医療を変えていく」という採用サイトのメッセージの中心人物で、チェーンストア理論を医療に持ち込む役割を担っているとみられます。

項目内容
所在地東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー
資本金60,059,000円(2023年1月1日時点)
従業員数34名(2026年8月1日時点、契約社員・アルバイト含む)
累計調達額25億〜34億円(資料により幅あり)
主要株主ジャフコ、East Ventures、サイバーエージェント、NOW、15th Rock、HIRAC FUND、GMOVP、みずほキャピタル、SMBCVC、三井住友信託銀行、静岡キャピタル、広島VC など
融資静岡銀行(創業初期から融資、静岡キャピタル経由で出資も)

公式サイトには投資家のコメントも掲載されています。三井住友信託銀行は、オンライン診療の支援にとどまらず「店舗型総合診療クリニック」の運営支援に取り組むことを出資の文脈として挙げています。サイバーエージェントの藤田晋氏は、花房氏への出資は2度目だとコメントしています。

従業員34名という規模は、800拠点を目指す組織としてはまだ小さいと言えます。採用サイトからは、医療現場の人材を法人側が大量に抱え込むのではなく、AIとシステムで少人数運営を目指す姿勢が読み取れます。

医療法人社団ウェルパートナーとはどんな法人か

ウェルパートナーは、TENETが支援するオンライン診療サービスの提供主体として実績を積んできた医療法人で、八王子総合クリニックの開設者です。

項目内容
所在地東京都江戸川区臨海町3-6-3
代表者理事長 高橋一志
法人番号4020005001954
診療科目(法人)皮膚科、内科、心療内科、精神科、泌尿器科
主な医療機関・サービスみんなのスマートクリニック(江戸川区・恵比寿、心療内科・精神科)、AGAスマクリ(オンライン中心、恵比寿で対面も可)、八王子総合クリニック

AGAスマクリの運営ページには「ウェルパートナー」の名で記事が掲載されています。月額3,000円からのAGA治療をオンライン完結で提供するサービスです。看護師のフルリモート求人も、ウェルパートナー名義で出されています。

興味深いのは、八王子総合クリニックのコメディカル採用ページがTENETのNotion(tenetinc)上にあることです。採用・広報・システムといった法人運営の実務は、TENETが担っていることがうかがえます。医師採用サイトの武田氏のメッセージでも、「IT・AIネイティブなウェル・パートナー」が自社開発でシステムを作ると書かれています。

静岡県磐田市には、同名の別法人(歯科)が存在します。両者に関係はないとみられるため、取材や引用の際は法人番号で区別してください。

株式会社と医療法人の2層構造をどう見るか

株式会社が企画・システム・集患を担い、医療法人が開設者として診療する構造自体は、多拠点クリニックでは珍しくありません。比較対象のブランドも、多くが同じ形をとっています。

ブランド医療法人(開設者)支援する株式会社
八王子総合クリニック医療法人社団ウェルパートナー株式会社TENET
キャップスクリニック医療法人社団ナイズCAPS株式会社
クリニックフォア医療法人社団エムズ、CFI、CFS など複数株式会社Linc’well
キュアステーション/DMMオンラインクリニック医療法人社団DMH(DMMオンラインクリニック、キュアステーション)合同会社DMM.com

この形の論点は、医療法人から株式会社へ支払われる業務委託料などの水準です。医療法人は剰余金の配当が禁じられており、関係事業者との取引は事業報告の対象になっています。委託料が実態より高ければ、実質的な利益移転と見られかねません。

800拠点を承継で増やす場合、どの医療法人が開設者になるのかも焦点です。ウェルパートナーが分院として増やすのか、承継した既存の医療法人ごと支援先に加えるのか、クリニックフォアのように複数の医療法人を並べるのかで、ガバナンスの姿は大きく変わります。現時点で、この点についての公式な説明は見当たりません。

「病院の8割、診療所の5割が赤字」は本当か

病院の赤字割合は、統計の選び方次第で「約7割」にも「約9割」にもなります。一方、診療所の「5割赤字」を裏付ける公的データは見当たりません。

花房社長は東洋経済の取材で、病院の8割、診療所の5割が赤字だと述べました。TENET公式サイトの代表メッセージでは「病院の約86%が赤字」と書いています。主要な調査と照らし合わせた結果は次のとおりです。

主張照合したデータ(2024年度)判定
病院の約86%が赤字(公式サイト)四病協の7年連続追跡集計:医業赤字87.0%、経常赤字77.8%医業利益・追跡集計ならほぼ一致
病院の8割が赤字(東洋経済)四病協 最終報告:医業赤字74.6%、経常赤字65.6%医業ベースならやや高め
同上医療経済実態調査:一般病院の赤字施設67.6%、損益率▲7.3%高めの表現
診療所の5割が赤字医療経済実態調査:一般診療所の損益率 医療法人4.8%、個人28.8%(平均は黒字)裏付けとなる公的データなし
コロナ後、受診は7〜8割しか戻らない出典を確認できず要出典

四病協の7年連続追跡集計は、毎年回答している病院に限った数字です。全体の傾向を示す数字としては、最終報告や医療経済実態調査のほうが一般的に使われます。どの統計を使ったかを示さずに「86%」を掲げると、読者の受け止めは実態より強くなりやすいと言えるでしょう。

とはいえ、診療所の余裕が急速に失われているのは事実です。医療法人立の一般診療所の損益率は、前年度からほぼ半減しました。「半数が赤字」とまでは言えないものの、後継者のいない診療所が承継先を探す動きは今後さらに強まると考えられます。

コンビニ型クリニック6ブランドとの比較

「いつでも行ける」をうたうクリニックは八王子総合クリニックが初めてではなく、先行ブランドはそれぞれ立地・対象・時間帯の絞り込みで成立してきました。主要6ブランドと並べると、八王子モデルの位置づけがはっきりします。

ブランド運営(医療法人/支援企業)開始拠点数(時点)立地診療時間主な対象・特徴
八王子総合クリニックウェルパートナー/TENET2026年1(2026年10月)郊外ロードサイド、駐車場あり毎日 8:30〜21:00全年齢の総合外来。CT・MRI・内視鏡、整形・リハ、自費(AGA・ED・美容)
ドクターランド白報会(王子病院、在宅診療所20拠点などを持つグループ)―6院(松戸・船橋・幕張・浦和美園・大宮・錦糸町)イオンモールなど大型商業施設内年中無休(年始3日を除く)。例:浦和美園は各科 9:30〜18:30、内科・リハビリは夜9時最終受付内科・整形外科・皮膚科・小児科・耳鼻咽喉科・リハビリの複数科。健診・人間ドック、美容皮膚科、在宅医療も
キャップスクリニックナイズ/CAPS2012年41拠点目を2025年7月に開院、以降も出店継続商業施設内が中心(ららテラス、イオンなど)毎日 9:00〜21:00小児科中心の家族のかかりつけ。1都3県と関西に展開
クリニックフォアエムズ・CFI・CFSなど/Linc’well2018年15院目を2026年2月に開院、2026年は年5〜6院のペースで出店都心の駅前・オフィス街、商業施設例:平日 10:00〜19:30、土曜 9:00〜18:00(院により休診日あり)働く世代の内科・皮膚科・アレルギー科と幅広い自費。オンライン診療と一体運営、累計調達122.3億円
キュアステーション(DMM)DMH(DMMオンラインクリニックの診療を担う法人)/DMM2024年前後4院(2026年9月:葛西・北戸田・南砂・市川)イオンなど商業施設内例:9:00〜14:00/15:30〜20:30(土日祝も診療、北戸田は21時まで)一般内科・アレルギー・生活習慣病など保険診療中心(美容注射のみ自費)。オンライン診療と併用
クリニックプラス公式サイト上で運営法人の記載を確認できず―16院(2026年9月、東京12・千葉4)駅徒歩1分圏平日 9:00〜20:00、土日祝 9:00〜17:30内科・皮膚科・小児科・アレルギー科。LINEで予約・問診・診察券が完結
ナビタスクリニック鉄医会2008年立川・川崎・新宿など少数駅ナカ(駅ビル直結)平日21時まで(新宿は土日祝も診療)内科・小児科・皮膚科、トラベルクリニック、血液内科

拠点数の時点がブランドごとに異なるため、単純な大小比較には注意してください。クリニックプラスの運営主体は、公開情報で確認できた範囲では特定できませんでした。

比較から見える八王子モデルの独自性とリスク

先行ブランドが「何かを捨てて」長時間診療を成り立たせてきたのに対し、八王子モデルはほとんど何も捨てていません。そこが最大の独自性であり、最大のリスクでもあります。

先行ブランドが捨ててきたもの

  • ドクターランドは、八王子モデルに最も近い先行例です。イオンモール内で内科・整形外科・小児科・皮膚科・耳鼻科・リハビリを年中無休で並べ、「何科かわからなくても1か所で診る」を実現しています。ただし夜間まで開けるのは内科とリハビリに限り、院によっては頭部外傷の受診を受けていません。夜の診療科と重症度の範囲を絞ることで成り立たせている形です。
  • キャップスクリニックは対象を小児に絞りました。小児の急な発熱は夜間・休日に集中しやすく、365日・21時までの需要が最も読みやすい領域です。商業施設内に出店し、買い物客の動線と子育て世代の生活時間に合わせています。
  • クリニックフォアは都心の働く世代に絞り、休診日を設ける代わりに予約の取りやすさと自費診療の幅で勝負しています。オンライン診療と一体で運営し、実店舗は患者を獲得する接点の一つという位置づけです。
  • キュアステーションは、DMMオンラインクリニックの診療を担う医療法人社団DMHの対面ブランドです。イオン内で内科・アレルギー・生活習慣病の保険診療に絞り、整形外科や画像機器は持ちません。
  • クリニックプラスは駅前立地とLINE完結の予約体験に絞り、土日祝は17時半で閉めています。
  • ナビタスクリニックは駅ナカという立地に特化し、拠点数を無理に増やしてきませんでした。

八王子モデルが抱え込んだもの

八王子総合クリニックは、全年齢、整形外科とリハビリ、CT・MRI・内視鏡、毎日21時まで、郊外の車社会、自費診療をすべて1拠点に載せています。ドクターランドの複数科構成を、全科21時まで・毎日に広げ、そこにCT・MRIという病院の外来機能の一部まで加えた形です。

これは、採算面では重い賭けです。大型機器は減価償却と保守費がかかり、診療放射線技師を毎日21時まで配置する必要があります。一方で、MRIまで即日完結できれば、整形外科・頭痛・腹痛などで病院の外来に流れていた患者を取り込める可能性があります。駅ナカ型にはできない、郊外ならではの戦い方です。

TENETの出自との関係

TENETの原点であるAGAスマクリは、DMMオンラインクリニックと同じ「オンライン×自費」の型でした。八王子では、その対極にある「対面×保険×大型設備」に挑んでいます。オンライン自費で磨いた集患・CRM・システムの力が、保険診療の総合外来でも通用するかどうかが、800拠点構想の最初の試金石になります。

実は、同じ道を先に歩み始めているのがDMMです。DMMオンラインクリニックの診療を担う医療法人社団DMH(理事長は元メドレー上級執行役員の島佑介医師)は、イオン内に保険診療中心の「キュアステーション」を展開しています。オンライン自費で患者基盤とシステムを築いた事業者が、対面の保険診療へ進出する流れはTENETに限りません。違いは、DMMが内科中心の小型店で着実に店舗を増やしているのに対し、TENETは大型設備の旗艦拠点から始めた点です。

八王子・多摩エリアの競合環境はどうなっているか

多摩地域には、すでに先行ブランドの拠点と、医師会による夜間・休日の体制があります。八王子総合クリニックは、それらと重なりつつも、郊外の車移動圏という別の土俵に立っています。

医療機関・体制場所夜間・休日の対応
八王子市夜間救急診療室(八王子市医師会)八王子市台町(西八王子駅近く)夜間は23時まで診療
休日当番医(八王子市医師会)市内の会員医療機関休日 9:00〜17:00
ナビタスクリニック立川JR立川駅 駅ビル平日21時まで
クリニックプラス立川・町田立川駅・町田駅周辺平日20時、土日祝17時半まで
キャップスクリニック国立国立市毎日21時まで(小児科)
八王子総合クリニック椚田町(めじろ台駅から徒歩10分)毎日21時まで

先行ブランドの多くは駅前・駅ナカに立地し、電車で通勤・通学する層を取り込んでいます。これに対し、めじろ台・椚田エリアは住宅地で、駐車場付きの郊外型です。車で家族を連れて来る層、画像検査が必要な整形外科や高齢者の患者を主な対象と考えるのが自然でしょう。

夜間の軽症患者については、医師会の夜間救急診療室と役割が重なる部分があります。地域の救急医療体制とどう連携するのかは、開院後に注目したい点です。

365日・21時まで診療の売上とコストはどうなるか

公表情報と診療報酬の点数から組み立てた本記事のモデルでは、損益分岐は1日あたり約200〜220人です。求人票にある開院時見込みの1日160人では年1億円前後の赤字になり、1日250人を集めてようやく年0.7億〜1.1億円の黒字になります。以下はすべて本記事の仮定に基づく試算で、実際の患者数・単価・給与・設備費は公表されていません。

前提

  • 診療時間は1日12.5時間×365日。医師は内科・整形外科・皮膚科の3診を毎日開けるとし、年13,688時間分を配置します。
  • 職員数は、求人票の「開院時スタッフ構成(見込)」をもとにしました。医師は院長+常勤2名、看護師は常勤5名、理学療法士は常勤2名、放射線技師は常勤3名、医療事務は常勤10名です。足りない時間は非常勤で埋めます。
  • 常勤の実働は、休暇・研修などを除いて年約1,810時間(週40時間×52週×87%)と置きました。
  • 単価は窓口負担を含む保険の医業収入です(1点10円、院外処方)。自費の美容皮膚科・AGAなどは含めていません。

売上:診療科別の単価

区分1日の患者数(標準ケース)1人あたりの単価単価の内訳(概算)
内科50人約8,500円初再診・処方箋・検査で約550点。15%がCT(撮影900点+診断450点+電子画像管理120点)、3%がMRI、2%が内視鏡
整形外科(診察)80人約9,600円レントゲンを含む基本部分で約600点。15%がMRI(1,330点+診断・管理料)、5%がCT
整形外科(リハのみ)20人約2,430円再診料73点+運動器リハ(Ⅲ)85点×2単位
皮膚科100人約4,000円再診・外来管理・処置・処方箋で約400点
夜間・早朝等加算―受診の半数に+500円平日18時以降、土曜12時以降、日祝の初再診に50点

リハのみの患者を1日20人に絞ったのは、理学療法士の人数による制約です。常勤2名を中心とした体制では、同時に2人がリハを行っても1日40単位前後が上限で、2単位ずつなら20人程度になります。

標準ケースの平均単価は約6,800円です。皮膚科とリハの単価が低いため、CT・MRIを積極的に撮っても全体の平均は1万円に届きません。

コスト:人件費

職種配置の考え方年間人件費
医師(スポット中心)常勤3名(年収2,500万円)+残り約8,260時間を時給2万円のスポットで充足約2.40億円
医師(定期非常勤中心)常勤3名+残りを時給1.5万円の定期非常勤で充足約1.99億円
看護師常勤5名(年500万円)+不足分を時給2,000円の非常勤で約3,430万円
診療放射線技師常勤3名(年550万円)約1,650万円
理学療法士常勤2名(想定年収541万円)+同時2人体制の不足分を時給2,100円の非常勤で約1,780万円
医療事務常勤10名(月給25万円+賞与3か月分)+常時5人体制の不足分を時給1,300円の非常勤で約4,360万円
法定福利費常勤職員の給与の約15%。常勤医は標準報酬の上限があるため1人200万円約1,950万円
人件費 合計―スポット中心 約3.72億円/定期非常勤中心 約3.31億円

医師の非常勤の時給は、開院直後の現在はスポット求人の相場である2万円前後です。定期非常勤が揃えば1.5万円程度に下がると見込み、2つの段階に分けました。人材紹介会社への手数料は含めていません。

コスト:人件費以外の経費

項目仮定年額
医療機器の償却取得額 約2.5億円(ヘリウムレス1.5T MRI、16列CT、内視鏡、X線・エコー)を6年で約4,200万円
機器の保守MRI・CTの保守契約が中心約1,200万円
内装・建物設備の償却平屋150坪の改装 約1.2億円を12年で約1,000万円
家賃旧店舗跡地の平屋150坪+駐車場約1,200万円
広告宣伝月100万円程度約1,200万円
水道光熱費MRIの冷却・長時間営業を含む約600万円
電子カルテ・AI問診・予約決済システムクラウド型の利用料約200万円
その他管理費清掃・警備・リネン・保険・消耗品など約1,000万円
固定経費 小計―約1.06億円
遠隔読影の委託(変動費)CT・MRI 1件4,000円。標準ケースは1日25件約3,650万円
薬剤・診療材料・検査外注(変動費)医業収入の約6%約3,700万円

TENETへの経営支援委託料は、水準が公表されていないため含めていません。

シナリオ別の損益

項目立ち上がり期標準ケース(スポット中心)標準ケース(定期非常勤中心)求人票の見込み(定期非常勤中心)
1日の患者数120人(内科30・整形50・皮膚40)250人(内科50・整形100・皮膚100)250人160人(内科35・整形70・皮膚55)
医師の非常勤時給2万円2万円1.5万円1.5万円
年間売上約3.1億円約6.2億円約6.2億円約4.0億円
人件費約3.72億円約3.72億円約3.31億円約3.31億円
固定経費約1.06億円約1.06億円約1.06億円約1.06億円
変動費(読影・材料等)約0.38億円約0.74億円約0.74億円約0.47億円
年間損益約▲2.05億円約+0.69億円約+1.10億円約▲0.89億円
損益分岐の患者数(1日)約210人約220人約200人約200人

モデルから見えること

第一に、コストの大半は患者数にかかわらず発生します。3診を毎日12.5時間開ける体制では、患者が少ない日でも医師の人件費だけで1日50万円以上かかります。立ち上がり期の1日120人では、月1,700万円前後の赤字が続く計算です。

第二に、損益分岐の約200人は、求人票の見込み(160人)を大きく上回ります。平均単価が約6,800円にとどまるためで、黒字化には患者数をさらに積み上げるか、CT・MRIの撮影比率や自費診療で単価を引き上げる必要があります。

第三に、医師の時給を2万円から1.5万円に下げられるかどうかで、年約4,000万円の差が生まれます。スポットから定期非常勤への切り替えを早く進められるかが、初期の収支を左右します。

単価を上げる手段として最も効くのはCT・MRIですが、撮影が多すぎれば審査支払機関の査定や、過剰検査という批判を招きます。CT・MRIを即日撮れることは患者にとって大きな利点である一方、採算と適正な医療のバランスをどう取るかが、この業態の根本的な課題と言えます。

800拠点に広げると、開院時間の合計は週7万時間(87.5時間×800拠点)です。医師だけで常勤換算4,000人規模が必要になります。2024年4月に始まった医師の働き方改革で、夜間・休日に働ける医師はすでに取り合いの状態にあります。

800拠点構想は実現できるのか:先行ブランドの出店ペースとの比較

先行ブランドの実績から見ると、新設だけで800拠点に届くことはまず考えられず、構想の実体は後継者不足の診療所の承継になると考えられます。TENETも、八王子に続いて後継者不足の地方診療所を傘下に収め、最終的に全国800カ所で展開する計画だと説明しています。

ブランド開始直近の拠点数年あたりの平均出店数(概算)
キャップスクリニック2012年41拠点目(2025年7月)約3拠点
クリニックフォア2018年10月15院目(2026年2月)、以降も出店約2〜3院(2026年は5〜6院)
クリニックプラス―16院(2026年9月)―
ドクターランド―6院(2026年9月)―
キュアステーション(DMM)2024年前後4院(2026年9月)約2院
ナビタスクリニック2008年少数1未満

最も速いキャップスクリニックでも年3拠点前後です。クリニックフォアは2019年の資金調達時に「将来的には都市部を中心に数百規模」の展開を掲げていましたが、累計122.3億円を調達した現在も20院弱です。八王子と同じ設備の拠点を新設すれば1拠点で数億円かかり、TENETの調達額(25億〜34億円)では1桁の拠点数が限界でしょう。

新設と承継では、揃えるものがまったく違います。

観点新設(八王子型)承継(地方展開の想定)
建物・機器ゼロから投資(1拠点で数億円)既存のものを引き継ぐ。老朽化していれば更新投資
職員全員を新たに採用既存職員を引き継ぐ。夜間・休日勤務への同意は別問題
患者開院前のPRで集める既存患者を引き継ぐ
手続き新規開設の手続き医療法人の社員・理事の交代、または事業譲渡に伴う手続き
最大の論点集患と初期投資の回収365日・21時までの営業を既存の人員に上乗せできるか

承継型では、前院長の時代と働き方が大きく変わります。引き継いだ職員の離職は、承継直後の最大のリスクになりやすいと言えます。また、地方の診療所は、八王子のような大型機器を持たないことが多いはずです。全拠点が「八王子型」になるのではなく、八王子で標準化したAI問診や運営ノウハウを、規模の違う拠点に載せていく形が現実的でしょう。

開業医・承継を考える院長は何に備えるべきか

影響が出やすいのは、患者の流れ、医師・看護師の採用、承継市場、勤務医のキャリア選択の4つです。

1. 夜間・休日と画像検査の患者の流れ

近隣の診療所では、平日夜や土日の急性期の軽症患者が流れる可能性があります。特に影響を受けやすいのは、MRIやCTを外部に依頼している整形外科・内科の患者です。自院の強みを「時間の長さ」ではなく、慢性疾患の継続管理、専門外来、在宅医療など、長時間型の総合外来では代わりにくい部分に置けるかが問われます。

2. 医師・看護師の採用単価の上昇

非常勤医の時給12,000〜13,000円(スポットでは時給換算2万円)、常勤の入職祝い金100万円という条件は、地域の相場を押し上げる要因になりえます。夜間・土日に非常勤医師を頼っている診療所ほど、影響を受けやすいでしょう。

3. 承継市場に資金力のある買い手が加わる

800拠点を承継で目指すなら、TENETは後継者不足の診療所の有力な買い手になります。売り手の院長にとって選択肢が増えるのはプラスですが、確認すべき点もあります。

  • 承継後の診療時間。365日・21時までの営業に切り替わるのか
  • 職員の雇用と処遇。夜間・休日勤務への移行を求められるのか
  • 医療法人の役員構成と、理事長を誰が務めるのか
  • 株式会社との経営支援契約の内容と委託料の水準
  • 地域の医師会や連携病院との関係をどう引き継ぐのか

買い手の資金の出所と、承継後の運営方針を事前に確認することが欠かせません。

4. 開業を考える勤務医にとって

採用サイトは「開業だけがキャリアじゃない」と訴え、開業のリスクを負わずに開業相当の年収を得る道を示しています。開業を検討する医師にとっては、比較すべき選択肢が1つ増えたと言えます。開業の魅力を、年収以外の軸(診療方針の自由、地域との関係、事業の承継性)で改めて整理しておく価値があるでしょう。

よくある質問

八王子総合クリニックの運営元はどこですか?

開設者は医療法人社団ウェルパートナー(東京都江戸川区、理事長 高橋一志)です。企画・運営支援は株式会社TENET(東京都港区、代表取締役 花房弘也)が担っています。

八王子総合クリニックは救急病院ですか?

いいえ。救急科を標榜していますが、医師採用サイトの募集要項では「救急告示なし」とされています。救急車を受け入れる医療機関ではなく、夜間・休日に自力で来院できる患者を診る外来です。

TENETはどんな会社ですか?

2020年設立のヘルステック企業です。AGA治療や不眠治療のオンライン診療支援から始まり、現在は総合診療クリニックのプロデュース、事業承継・病院再生など7事業を掲げています。元ニトリ社長の武田政則氏、元亀田総合病院 総合内科部長の佐藤暁幸医師が経営に加わっています。

キャップスクリニックやクリニックフォアとは何が違いますか?

キャップスクリニックは小児科中心、クリニックフォアは都心の働く世代と自費診療が中心です。最も近いドクターランドは商業施設内の複数科クリニックですが、夜間まで開けるのは内科などに限られます。八王子総合クリニックは全年齢を対象に、CT・MRIを備えた郊外型の総合外来を毎日21時まで開く点が異なります。

全国800拠点構想は実現可能ですか?

先行ブランドの出店ペースは多くても年3〜6拠点で、新設だけで800拠点に届くのは現実的ではありません。後継者不足の診療所を承継する形が前提になると考えられ、その場合も夜間・休日を支える医師・看護師の確保が最大の課題です。

近隣の開業医にはどんな影響がありますか?

夜間・休日の軽症患者や、画像検査が必要な患者の受診先が分散する可能性があります。また、非常勤医師や看護師の採用条件が上がる可能性があります。

事業承継を考えている院長は、TENETのような買い手をどう見ればよいですか?

買い手の選択肢が増えることは売り手にとってプラスです。ただし、承継後の診療時間、職員の処遇、医療法人の役員構成、経営支援契約の内容は、事前に必ず確認すべき事項です。

今すべきこと(チェックリスト)

開業医・院長の方

  • 自院の夜間・土日の受診患者数と、CT・MRIを外部に依頼している件数を把握する
  • 近隣5km圏に、長時間診療型のクリニックがいくつあるかを確認する
  • 自院の強み(慢性疾患の継続管理、専門外来、在宅など)を患者に伝わる言葉で整理する
  • 非常勤医師・看護師の時給相場を確認し、採用条件を見直す

事業承継を検討している院長の方

  • 承継後に守りたい条件(診療時間、職員の雇用・処遇、地域での役割)を書き出す
  • 買い手候補ごとに、承継後の運営方針と経営支援契約の中身を確認する
  • 医療法人の場合、出資持分・社員・理事の交代手続きを専門家と確認する

開業を検討している勤務医の方

  • 開業した場合と、法人の常勤医として働く場合の10年間の収入・リスクを並べて比較する
  • 開業で実現したいこと(診療方針、地域との関係、承継)を年収以外の軸で書き出す

まとめ

八王子総合クリニックは、オンライン自費診療で育ったTENETが、元ニトリ社長と総合診療医を迎えて挑む「対面×保険×大型設備」の第1拠点です。救急医の院長が掲げるアージェントケアの理念と、チェーンストアの標準化の発想が組み合わさっています。

先行するコンビニ型クリニックは、小児、都心の働く世代、駅ナカ、自費など、何かに絞ることで長時間診療を成り立たせてきました。八王子モデルは絞らずに全部を載せた点で最も野心的で、同時に最も採算のハードルが高い型です。

800拠点構想は、先行ブランドの出店ペースと調達額から見て、新設ではなく承継の積み上げになると考えられます。成否を分けるのは、夜間・休日を支える医師・看護師を確保できるか、そして承継した職員・患者・地域との関係を保てるかです。

開業医にとっては、競合の出現であると同時に、承継市場に資金力のある買い手が現れたことを意味します。自院の強みの再整理と、承継の条件の明文化を今のうちに進めておくことをおすすめします。開院後の実際の医師数、受診者数、地域医療との連携は、引き続き追っていきます。

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参考リンク

八王子総合クリニック・医療法人社団ウェルパートナー

株式会社TENET

報道

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統計・地域医療

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