
厚生労働省は令和8年(2026年)10月1日付の事務連絡で、令和8年度の医療機関機能・病床機能報告と外来機能報告の報告期間を変更しました。報告様式1は10月19日〜12月11日、報告様式2は11月2日〜12月11日となり、報告事項と報告基準の整理が終わって別途通知があるまでは、報告様式の作成も報告データの提出も行わないよう求められています。旧日程のマニュアルを手元に置いているクリニックは、入力を始める前に、自院がどの報告の対象なのかを確認してください。
どちらも、医療法にもとづいて都道府県知事へ報告する制度です。名前が似ていますが、根拠条文も対象も別です。
| 医療機関機能・病床機能報告 | 外来機能報告 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 医療法第30条の13 | 医療法第30条の18の2(無床診療所は第30条の18の3) |
| 報告する人 | 療養病床または一般病床を有する病院・診療所の管理者 | 医療機関機能等報告対象病院等であって外来医療を提供するものの管理者 |
| 義務か任意か | 義務(「報告しなければならない」) | 上記の対象は義務。無床診療所は「報告することができる」(任意) |
| 主な報告内容 | 基準日の医療機関機能と病床の機能、その予定、入院患者に提供する医療の内容など | 重点的に活用する外来医療の内容、基幹的な病院・診療所としての役割を担う意向の有無など |
条文は、e-Gov法令検索の現行版(令和7年法律第87号「医療法等の一部を改正する法律」による改正を反映し、令和8年10月1日施行)で確認しました。医療機関機能・病床機能報告の対象を「療養病床又は一般病床を有する病院又は診療所」とする点は、第30条の13第1項のとおりです。厚生労働省の掲載ページも、報告対象を「一般病床・療養病床を有する病院・有床診療所」と整理しています。
令和8年度の報告マニュアルでは、医療機関機能・病床機能報告の対象を、令和8年7月1日時点で一般病床・療養病床を有する病院と有床診療所としています。報告様式1は、病院が基本票・施設票・病棟票・医療機関機能票、有床診療所が診療所票と医療機関機能票です。外来機能報告とはG-MIS(医療機関等情報支援システム)上で一部の項目が重複し、エラーが生じることがある、という注意書きもあります。
令和8年10月1日付の事務連絡(厚生労働省医政局地域医療計画課)は、「報告事項及び報告基準等の変更に伴い」、医療機関機能・病床機能報告と外来機能報告の実施期間を次のとおり変更するとしています。
| 報告様式 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 報告様式1 | 令和8年10月1日〜11月30日 | 令和8年10月19日〜12月11日 |
| 報告様式2 | 令和8年11月2日〜11月30日 | 令和8年11月2日〜12月11日 |
注意したいのは、この表に示されているのが「報告様式1」と「報告様式2」の期間だけだという点です。事務連絡の件名と本文は医療機関機能・病床機能報告と並べて外来機能報告に触れていますが、表の中には、どの様式が外来機能報告に当たるのかは書かれていません。外来機能報告の期間を自院の都合で読み替えず、都道府県や事務局からの案内、厚生労働省の掲載ページで確認してください。
もう一つの注意点は、旧日程が各所に残っていることです。2026年10月13日時点で、厚生労働省の医療機関機能・病床機能報告のページ(令和8年度分)には、制度概要として、報告様式1は10月1日から、報告様式2は11月2日から報告が始まるという記載が残っています。報告マニュアルの様式1も「10月1日〜11月30日」のままです。変更後の期間は、10月1日付の事務連絡のほうを基準にします。
事務連絡は、報告再開までの留意点として次の点を挙げています。変更後の期間が示されている一方で、「別途通知するまでは報告を行わない」という扱いも併記されているため、期間の表だけを見て入力を始めないことが大切です。
G-MISのアカウントやログイン情報を持つ担当者が院内に決まっていない場合は、この機会に決めておくと、通知が出たときに動きやすくなります。
条文のうえでは、しなくても構いません。医療法第30条の18の3は、患者を入院させるための施設を有しない診療所(無床診療所)の管理者は、外来医療の機能の分化・連携の推進のため、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事に報告「することができる」と定めています。第30条の18の2が病院・有床診療所の管理者に課す「報告しなければならない」とは書きぶりが違います。
厚生労働省の外来機能報告のページには、令和7年度の取扱いとして、無床診療所は報告の意向があれば外来機能報告を行えると書かれています。令和7年度の資料(外来機能報告における報告結果の利用に係る留意事項)も、無床診療所は報告対象外が原則で、報告の意向を有する場合は対象になると整理しています。
なお、令和8年度の外来機能報告の取扱いは、2026年10月13日時点では、このページに令和7年度の資料が掲載されたままで、令和8年度分を確認できませんでした。本記事の無床診療所の説明は、条文と令和7年度の取扱いにもとづいています。令和8年度の最新の案内は、都道府県や事務局からの文書で確認してください。
報告するかどうかを決めるときは、条文が報告事項として挙げている次の2点が目安になります。
この2点にどう答えるかは院長の方針に関わります。「報告しない」と決めること自体は法令上の問題になりませんが、決めたこと、決めた時期、案内文書をいつ受け取ったかは、記録に残しておくと、あとで経緯を説明しやすくなります。
一般病床または療養病床を持つ有床診療所は、医療機関機能・病床機能報告の対象です。外来医療を提供している場合は、外来機能報告の対象にもなります(第30条の18の2第1項)。つまり、2つの報告が同じG-MIS上で並行して求められます。
外来機能報告の対象となる病院・有床診療所が報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりしたとき、都道府県知事は、期間を定めて開設者に対し、管理者に報告を行わせるか、報告内容を是正させることを命ずることができます(医療法第30条の18の2第2項)。ただし、この規定が除かれているのは、基幹的な病院・診療所としての役割を担う意向を答える部分(第1項第2号)です。
無床診療所の報告は、そもそも「することができる」というものなので、報告しないこと自体が命令の対象になる構造ではありません。罰則の有無や、命令に従わなかった場合の扱いまでは、本記事では確認できていないため書いていません。個別の事情は都道府県の担当窓口に確認してください。
医療法第30条の18の3は、無床診療所の管理者は報告「することができる」と定めており、義務ではありません。令和7年度の取扱いでも、報告の意向があれば報告できるとされています。令和8年度の取扱いは、都道府県や事務局の案内で確認してください。
事務連絡は、別途通知があるまで報告様式の作成と報告データの提出を行わないよう求めています。すでに入力した内容の扱いは、事務連絡には書かれていません。提出済みかどうかにかかわらず、G-MISの問合せ窓口か都道府県の担当窓口に確認し、入力に使った診療実績などの資料は保管しておいてください。
別の制度です。医療機関機能・病床機能報告は医療法第30条の13、外来機能報告は第30条の18の2・第30条の18の3が根拠で、対象も報告内容も違います。ただし、どちらもG-MISで報告し、一部の項目が重複するため、令和8年度の事務連絡は2つを並べて期間変更を示しています。
事務連絡の表は、報告様式1の期間を「10月19日〜12月11日」としています。一方で、報告事項と報告基準の整理が完了し、別途通知があるまでは報告を行わないとも書かれています。再開の具体的な日付は、事務連絡には示されていません。厚生労働省の掲載ページと、都道府県・事務局からの通知を見て判断してください。
外来機能報告の対象となる病院・有床診療所が、報告をしなかったり虚偽の報告をしたりしたときは、都道府県知事が期間を定めて報告や是正を命ずることができます(医療法第30条の18の2第2項。基幹的な役割を担う意向を答える部分は除く)。無床診療所は報告が任意のため、同じ構造ではありません。罰則までは本記事では確認していません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の報告義務の有無や報告内容の適否を保証するものではありません。実際の報告にあたっては、所在地の都道府県の担当窓口およびG-MIS・制度運営事務局に必ずご確認ください。数値・制度は2026年10月時点の情報に基づきます。
公開日:2026年10月13日/最終更新日:2026年10月13日
鎌形 博展(かまがた ひろのぶ)/ 株式会社EN 代表取締役社長。クリニックの開業支援・事務長代行・医業承継(M&A)をワンストップで手がける株式会社ENを率いる。制度改正が相次ぐ医療業界において、開業・承継の実務に精通した立場から現場に即した情報発信を行っている。
医療法人社団季邦会 理事長(首都圏7拠点運営)、東京医科大学救急災害医学講座 非常勤医師
社会医学系専門医指導医、慶應義塾大学大学院経営管理研究科 田中滋・中村洋ゼミ出身