健診結果に「要再検査」「要医療」「要保健指導」の文字。多くの方が「そのうち行こう」と机の上に置いたまま、次の健診を迎えます。行かない理由の多くは、面倒だからではなく、「何科に行けばよいのか」「何をされるのか」「どのくらいかかるのか」が分からないからです。この記事では、その不安に一つずつ答えます。
まず、判定の意味を確認する
健診結果の判定は、実施機関によって表記が異なりますが、おおむね次の意味です。
| 判定 | 意味 | 目安 |
|---|---|---|
| 異常なし・軽度異常 | 現時点で問題なし | 次回の健診まで様子を見る |
| 要保健指導 | 生活を見直す段階 | 空腹時血糖100以上、HbA1c 5.6%以上など |
| 要再検査・要精密検査 | 医療機関でもう一度調べる | 空腹時血糖110以上、HbA1c 6.0%以上など |
| 要医療・要治療 | 医療機関を受診して治療の要否を判断 | 空腹時血糖126以上、HbA1c 6.5%以上など |
「要保健指導」は医療機関の受診が必須ではありませんが、家族歴があったり、血圧や脂質も指摘されていたりする場合は受診をおすすめします。「要再検査」以上は、症状がなくても受診してください。
何科に行けばよいのか
血糖値やHbA1cの指摘であれば、内科、あるいは糖尿病内科(糖尿病・内分泌内科、代謝内科などの名称もあります)です。
最初の受診は一般的な内科で構いません。診断の確定、生活指導、飲み薬による治療の多くは内科で対応できます。次のような場合は、糖尿病を専門に診ている医療機関(糖尿病専門医がいる医療機関)を選ぶとよいでしょう。
- HbA1cが8%以上など、血糖がかなり高い
- 1型糖尿病の可能性がある(急な体重減少、若い年齢など)
- 妊娠中、または妊娠を考えている
- すでに合併症が疑われる
- 治療しているが血糖が下がらず、転院を考えている
どの医療機関に行くか迷って受診が遅れるより、まず近くの内科に行くほうが確実です。必要があれば、そこから専門の医療機関へ紹介してもらえます。
予約から初診までの流れ
1. 予約する
多くの医療機関がWEB予約に対応しています。初診時に「健診で血糖値(HbA1c)を指摘された」と伝えておくと、当日の検査の準備がスムーズです。
空腹時血糖を測る場合、朝食を抜いて午前中に受診する必要があります。予約時に絶食が必要かどうかを確認してください。HbA1cだけなら食事の影響を受けないので、午後の受診でも問題ありません。
2. 持っていくもの
- 健康保険証、またはマイナ保険証
- 健康診断の結果(直近のもの。数年分あるとHbA1cの推移が分かり、診断にも役立ちます)
- お薬手帳(服用中の薬がある方)
- 各種医療証(お持ちの方)
- 家族の病歴を思い出しておく(親・兄弟に糖尿病の人がいるか)
健診結果は「1回目の検査」として扱えることがあり、当日の採血と合わせてその日に診断が確定することもあります。忘れずに持参してください。
3. 初診で行うこと
- 問診:健診の結果、症状の有無、家族歴、食事・運動・飲酒・喫煙の習慣、体重の変化、服薬中の薬など
- 診察:血圧、体重、腹囲の測定、必要に応じて足や神経の診察
- 検査:血液検査(血糖、HbA1c、脂質、肝機能、腎機能など)、尿検査(尿糖、尿蛋白、尿アルブミン)
血液検査の結果は、院内で測れる項目ならその日のうちに、外部の検査機関に出す項目なら数日後に分かります。
4. 結果の説明と方針の相談
いまの状態が「正常」「予備群」「糖尿病」のどれにあたるか、糖尿病ならどの型か、合併症の兆候はあるかを説明したうえで、次のどれから始めるかを相談して決めます。
- 生活の調整(食事・運動)から始めて、数か月後に再評価する
- 生活の調整に加えて、飲み薬を始める
- 血糖が非常に高い場合は、早めにインスリンを検討する
予備群や軽い糖尿病なら、初診の日に薬が始まることは多くありません。「受診=薬」ではないので、その点は安心してください。
どのくらい時間がかかるのか
初診は、問診・診察・採血・説明を含めて、待ち時間を除けば30〜45分程度が目安です。75gブドウ糖負荷試験を行う場合は2時間以上かかりますが、これは初診時ではなく、必要と判断された場合に別の日に行うことが一般的です。
費用の考え方
糖尿病の診察・検査・治療は健康保険が適用されます。初診で血液検査と尿検査を行った場合、3割負担の方でおおむね数千円が目安ですが、検査の項目や医療機関によって異なります。事前に目安を知りたい場合は、受診予定の医療機関にお問い合わせください。
なお、企業や自治体の健診で指摘を受けた場合、健診機関が発行する「紹介状」や「精密検査依頼書」があれば持参してください。健診の結果を踏まえた診療がしやすくなります。
通院はどのくらい続くのか
治療を始めた場合、血糖が安定するまでは1か月に1回程度、安定してからは1〜3か月に1回程度が一般的です。HbA1cが過去1〜2か月の平均を反映する検査なので、この間隔で効果を確認します。
通院が続くかどうかは、治療の結果を大きく左右します。医療機関を選ぶときは、専門性だけでなく、通いやすさ(自宅や職場からの距離、診療時間、予約の取りやすさ、オンライン診療の有無)も重要な条件です。「よい病院だが遠くて通えなくなった」より、「近くの内科に通い続けた」ほうが、10年後の結果はよくなります。
受診をためらっている方へ
「症状がないのに行くのは大げさ」「行ったら怒られそう」「薬を飲みたくない」。受診をためらう理由はさまざまですが、どれも受診しない理由にはなりません。予備群の段階で受診すれば、薬なしで戻せる可能性が高いこと。糖尿病と診断されても、早く保ち始めるほど合併症を防げること。医師の側は、健診結果を持ってきた時点で「よく来てくれた」と考えています。
まとめ
- 「要再検査」以上は、症状がなくても受診を。「要保健指導」も家族歴や他の指摘があれば
- 行き先は内科または糖尿病内科。まず近くの内科で構いません
- 持ち物は保険証・健診結果(数年分あるとよい)・お薬手帳。健診結果は診断に使えます
- 初診は問診・診察・採血・尿検査で30〜45分程度。健康保険が適用されます
- 予備群や軽い糖尿病では、初診日に薬が始まることは多くありません
- 通院は1〜3か月に1回。通いやすさは専門性と同じくらい大切です
健診結果を持って、一度だけ受診してみてください。そこから先を決めるのは、状態を確かめてからで大丈夫です。
参考文献
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」 https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4
- 日本糖尿病学会 糖尿病診断基準に関する調査検討委員会「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)」糖尿病 55(7): 485-504, 2012 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/55/7/55_485/_article/-char/ja/
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html
- 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター https://dmic.ncgm.go.jp/
