認定看護師(CN)の認定更新審査と再認定審査の申請要件が変わります。日本看護協会認定部が2026年6月に公表した資料によれば、2028年度に完全移行し、以降は変更後の申請要件に基づく自己研鑽での申請が必要になります。従来の「看護実践時間2,000時間以上」と「実践報告書」は要件から外れ、代わりに「審査対象期間(5年間)における60時間の研修受講」が求められます。
同じ2026年度は、特定行為研修を組み込んでいないA課程認定看護師教育課程の教育が終わる年でもあり、A課程認定看護師がB課程認定看護師(特定認定看護師)へ移る移行手続きの2026年度秋期申請は2026年9月30日に受付が始まります。本記事は認定看護師本人と、認定看護師を抱える看護管理者・事務長に向けて、日本看護協会が公表する一次資料だけを典拠に整理します。
認定看護師の更新審査は2028年度に何が変わるのか
結論から言えば、「働いた時間」を証明する要件が消え、「学んだ時間」を証明する要件に置き換わります。変更前は、看護実践として「看護実践時間2,000時間以上」と「実践報告書(1回目の更新申請者のみ)」、自己研鑽として「審査対象期間に50点以上の自己研鑽の実績」が必要でした。変更後は看護実践は「問わない」となり、看護実践時間の証明資料も実践報告書も提出不要、自己研鑽は「5年間で60時間の研修受講」に一本化されます(出典:日本看護協会「認定看護師(CN)更新審査・再認定審査の変更について」認定部 2026年6月)。
実践報告書を外した理由は、あわせて公表されているFAQに説明があります。従来の実践報告書は活動のエビデンスになり得るものの、審査の一環として提出されるためその内容の公表や二次利用ができなかった——だから学術集会等での発表または論文掲載という、外に出る形での可視化に置き換えた、という説明です。単なる要件の緩和ではなく、実践の記録を組織の内側で完結させるのをやめる方向への設計変更として説明されています。
60時間の研修受講は何が対象で、何が対象外か
「60時間」という数字だけを見て研修を積むと、申請時に足りない事態が起こり得ます。前掲資料は対象範囲を具体的に限定しているためです。
| 論点 | 資料の記載 |
|---|---|
| 主催者 | 国または医療・看護系の職能団体・学術団体・教育機関等が主催する研修に限る。営利団体の実施する研修は対象とならない |
| 証明 | 「研修主催者名、研修名、受講者氏名、受講年月日・期間、研修時間数」を確認できる受講証明が必要 |
| 時間の数え方 | みなし時間ではなく、60分を1時間とする実時間で申請する。コマ数は実時間に換算する |
| 学会参加 | 学会の参加そのものは研修受講に該当しない。ただし学術集会等で開催される研修で受講証や修了証等が発行されている場合は対象 |
| 大学院の単位 | 学生を対象とした授業(講義・実習)であるため該当しない |
| 講師を務めた時間 | 自施設外での講師等としての講義時間を12時間まで充てることを認める。自施設内の研修で講師を務めた時間は認められない |
| 実習指導 | 教育課程での演習支援・実習指導者として携わった時間は研修時間として認められない |
実務上とくに効くのは、営利団体主催の研修が対象外である点と、学会参加が研修に当たらない点でしょう。医療機器メーカーや製薬企業、人材会社が主催するセミナーで時間は積めません。学会に何度足を運んでも、受講証が出る研修枠に入っていなければ数えられません。5年で60時間を職能団体・学術団体・教育機関の研修から集める前提で計画を立てる必要があります。
60時間の研修を受けずに要件を満たす道はあるか
あります。前掲資料は次の4つを「60時間の研修受講と同等とみなす」と定めています。
- 認定看護師教育課程の専任教員・主任教員を1年以上務めた場合
- A課程認定看護師(審査対象期間内にB課程認定看護師に移行した者を含む)が特定行為研修を受講したことを証明した場合。ただし1回に限り、特定行為区分の追加受講等は認められない
- 筆頭での「学術集会等での発表または論文掲載」を2回実施した場合
- 筆頭での「学術集会等での発表または論文掲載」を1回と「30時間の研修受講」を実施した場合
2番目に注目してください。特定行為研修の受講が、更新要件を1回だけ丸ごと肩代わりします。後述する特定認定看護師への移行を考えている人にとっては、移行と更新の負担が同じ研修で片付くことになります。ただし「1回に限る」ため、次の更新で同じ手は使えません。
3番目・4番目の発表・論文についても、資料は細かく線を引いています。発表内容は研究にも専門分野の活動内容にも限定されず、シンポジストやパネリストの発表も内容が抄録等に掲載されていれば対象です。一方で座長は掲載の有無にかかわらず対象外、書籍や教科書は論文に含まない、自施設内の発表・論文掲載は認められない、共同発表者・共同研究者は対象外で筆頭のみとされています。「2回」は発表と論文のいずれかの合計が2件以上であればよい、と回答されています。
2025〜2027年度の特例措置は誰に適用されるのか
変更後の審査は2025年度から実施が始まっており、2025〜2027年度は特例措置が適用されます。対象は「2025〜2027年度に有効期間を迎える方」で、具体的には2020〜2022年度に認定・更新・再認定をされた方と、認定期間を延長していて2025〜2027年度に有効期間を迎える方です。
特例措置期間の要件は、看護実践については変更後と同じく「問わない」。自己研鑽については更新審査は従来どおり「50点以上の自己研鑽の実績」、再認定審査は「50点以上の自己研鑽の実績」または「24時間の研修受講」のいずれかです。この24時間は1年ごとに必要な時間数ではなく、この期間の再認定審査に一律で適用される時間数だと明記されています。
整理すると、いま更新期を迎えている人は旧来の50点方式で申請できる一方、2028年度以降に有効期間を迎える人は60時間方式に切り替わります。5年の審査対象期間を逆算すれば、2028年度に更新を迎える人の対象期間はすでに始まっています。
なお制度規程の一部改正に伴い、2021年4月以降に初めてA課程認定看護師名簿に登録した認定看護師と、B課程認定看護師名簿に登録された認定看護師が、新たに再認定審査の対象になっています。
A課程の教育は2026年度で終わる。では資格はどうなるのか
ここが最も説明の混同されやすいところです。前掲FAQは「A課程認定看護師です。A課程教育課程は2026年度に終了しますが、以降も更新審査は続くのでしょうか」という問いに、「現在の認定看護師制度規程では、A課程認定看護師の更新審査は、永続的に実施することになっています」と回答しています。
つまり2026年度で終わるのは「A課程の教育」であって、「A課程認定看護師という資格」ではありません。この2つを一括りにした説明を見かけますが、少なくとも本記事で確認した同会の資料に、資格そのものの終期は示されていません。
教育側がどこまで縮んでいるかは、開講状況の一覧から数字で確認できます。いずれも2026年4月13日現在の値です(出典:日本看護協会「認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(A課程)」/同(B課程))。
| 項目 | A課程(特定行為研修を組み込んでいない) | B課程(特定行為研修を組み込んでいる) |
|---|---|---|
| 認定されている教育機関/教育課程 | 9教育機関/11課程 | 43教育機関/75課程 |
| 2026年度の開講課程数 | 6課程 | 58課程 |
| 2026年度の受講定員総計 | 170人 | 1,025人 |
| 開講している分野 | 救急看護・集中ケア・訪問看護・感染管理・認知症看護(各30人)/脳卒中リハビリテーション看護(20人)の6分野 | 19分野。感染管理226人・認知症看護162人・皮膚・排泄ケア121人・クリティカルケア107人が上位 |
A課程の最終年度に実際に開講しているのは、教育機関が認定申請できるA課程の21分野のうち6分野・定員170人だけです。B課程の1,025人と比べれば、養成の主軸はすでに移り終えていると読めます。
特定認定看護師への移行は何を満たせば申請できるのか
日本看護協会は、特定行為研修を修了した認定看護師を「特定認定看護師」と呼称することができるとしています。A課程認定看護師が同会の定める移行手続きを完了すると、B課程認定看護師名簿に登録され、この名称を用いることができます。申請資格は認定看護師制度規程第38条に基づき、申請時に①現在A課程認定看護師の名簿に登録されていること、②特定行為研修を修了していることの2つをすべて満たすこと。研修機関の縛りはなく、いずれの指定研修機関で受講してもよく、どの特定行為区分・パッケージを修了していても移行できます(出典:日本看護協会「2026年度秋期 認定看護師(CN)移行手続き申請の手引き」)。特定行為研修そのものの位置づけは特定行為研修は看護師のキャリアをどう変えるのかで整理しています。
実務上の要点は3つあります。第一に、認定登録番号は新しく付番され、分野名も新たな認定看護分野の名称に変わります。手引きの対応表では、救急看護と集中ケアが「クリティカルケア」に、がん化学療法看護が「がん薬物療法看護」に、訪問看護が「在宅ケア」に、透析看護が「腎不全看護」に統合・改称されます。名刺や院内掲示、施設案内の記載は差し替えが必要です。
第二に、移行後の有効期間は、A課程認定看護師名簿に登録されていた有効期間を引き継ぎます。移行で更新時期がリセットされることはなく、移行後の最初の認定更新は、A課程認定看護師として認定された年または最後に更新した年から起算して5年後に行います。
第三に日程です。2026年度秋期は2026年9月30日10時から10月15日15時までが申請と特定行為研修修了証画像の提出の期間で、手続き料3,000円(税込)の振込も10月15日15時が期限。11月25日15時以降に認定資格情報の変更を確認でき、認定証の受領は2027年1月以降の予定です。手引きは各日程を締め切り厳守とし、申請期間終了後はいかなる理由があっても取下げを受け付けないと明記しています。A課程の資格を2分野以上持ち同時に移行する場合は、手続きが2回必要です。
ひとつ注意が要ります。手引きは「2026年度の更新審査の申請者は、このたびの移行手続きは申請せず、2027年度(春期)以降に移行手続きをしてください」と指示しています。今年度に更新審査を出す人は、秋期の移行に乗ってはいけません。
なお制度規程第30条5項に基づき、新たにB課程認定看護師名簿に登録した者は、本人の公開/非公開の設定にかかわらず同会公式サイトで1か月間公表されます。所属施設名の公開は自身で施設の許諾を得るよう手引きが求めており、看護管理者はこの公表を前提に院内の周知と広報の扱いを決めておくとよいでしょう。
よくある質問
自施設の院内研修は60時間に数えられますか。
資料が示す主催者の範囲は「国または医療・看護系の職能団体・学術団体・教育機関等」で、営利団体の研修は対象外とされています。院内研修が対象になるかについて、本記事で確認した資料に明示的な記載はありません。一方で自施設内の研修で講師を務めた時間は研修時間として認められないこと、自施設内の発表・論文掲載は認められないことは明記されています。個別の研修の可否は同会が「個別の内容についての回答はいたしかねます」としているため、受講証明の要件を満たすかどうかで判断することになります。
A課程認定看護師のまま更新し続けることはできますか。
前掲FAQは「現在の認定看護師制度規程では、A課程認定看護師の更新審査は、永続的に実施することになっています」と回答しています。ただしこれは「現在の制度規程では」という留保付きの回答であり、規程が将来改正されない保証を示すものではありません。本記事は制度規程の条文そのものには当たっていないため、判断が必要な場合は同会の最新の手引きと規程をご確認ください。
移行手続きに要件審査はありますか。費用はいくらですか。
手引きが定める申請資格は、A課程認定看護師名簿への登録と特定行為研修の修了の2点です。移行にあたって特定行為研修以外の追加研修を求める記載は、本記事で確認した手引きにはありません。2026年度秋期の手続き料は3,000円(税込)で、振込手数料は申請者の負担、既納の手続き料は返還されないとされています。
まとめ:どの経路に乗るかを、期限から逆算して決める
2026年度に動いているのは性質の異なる3つの変更です。更新審査の要件が実践時間から研修時間へ移ること、A課程の教育が終わること、特定認定看護師への移行手続きが継続していること。連動していますが、同じものではありません。
個人がまずすべきことは、自分の資格の有効期間満了年度を確認し、2027年度までの特例措置に入るのか2028年度以降の60時間方式に入るのかを見極めることです。そのうえで、特定行為研修の受講が更新要件を1回だけ肩代わりすること、今年度に更新審査を申請するなら秋期の移行には乗らないことを踏まえて順序を組みます。
組織の側では、認定看護師の更新期を一覧化し、対象期間内に職能団体・学術団体・教育機関の研修へ計画的に送り出せるかを確認しておくことが効きます。営利団体の研修と学会参加が時間として数えられない以上、従来の研修予算の組み方では要件を満たせない可能性があります。看護職員の確保をめぐる政策全体の議論は2040年に向けた看護職員確保策の論点で扱っています。
参考資料
- 公益社団法人日本看護協会 認定部 / 認定看護師(CN)更新審査・再認定審査の変更について(2028年度の審査から) / 2026年6月(同一PDFに「2025年度以降の専門看護師・認定看護師・認定看護管理者の個人審査変更に関するFAQ(2026年6月更新)」を含む) / https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/cn_kousin_sinsa_202606.pdf / 確認日 2026年9月8日
- 公益社団法人日本看護協会 / 2026年度秋期 認定看護師(CN)移行手続き申請の手引き / 2026年度 / https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/qv_cn_tebiki_ikou_2026_a.pdf / 確認日 2026年9月8日
- 公益社団法人日本看護協会 認定部 / 認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいない教育機関:A課程認定看護師教育機関) / 2026年4月13日現在 / https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/qe_cn_kaikojokyo_A_2026.pdf / 確認日 2026年9月8日
- 公益社団法人日本看護協会 認定部 / 認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関:B課程認定看護師教育機関) / 2026年4月13日現在 / https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/qe_cn_kaikojokyo_B_2026.pdf / 確認日 2026年9月8日
本記事は公益社団法人日本看護協会が公表する上記4資料のみを典拠としています。(a)資料が引用する「認定看護師制度規程」(第30条第5項・第38条など)の条文そのものは参照していません。(b)A課程認定看護師教育課程が2026年度に終了することは、同会FAQの設問文および回答が前提としている記載を典拠としており、教育課程の終了を告知する文書そのものは参照していません。(c)認定看護分野の数(A課程21分野・B課程19分野・重複を除く計31分野)は、移行手続きの手引き巻末の一覧表を数えた値です。(d)開講状況・定員数は2026年4月13日現在の値であり、年度途中の変更は反映されていません。(e)移行手続きの日程・手続き料は2026年度秋期のものです。申請にあたっては、必ず申請年度の最新の手引きをご確認ください。


