循環器内科ってどんなところ?

循環器内科ってどんなところ?

本記事について

特定の医療機関を推薦する記事ではありません。また、「あなたの症状なら循環器内科です」という判断をする記事でもありません。 循環器内科という診療科名が制度上どう位置づけられ、どんな病気を扱い、ほかの科とどう分担しているのかという、受診行動のしくみの説明にとどめています。

診療科名の根拠は医療法施行令と厚生労働省の通知、扱う範囲は日本循環器学会の専門研修制度の整備基準、血圧の基準は日本高血圧学会と厚生労働省の資料、救急の目安は総務省消防庁の資料を出典にしています(末尾に一覧)。

目次

はじめに

健診の結果票に「心電図:要精密検査」と書かれていた。血圧が高めと言われ続けている。階段で息が切れる、脈が飛ぶ気がする——そんなとき、検索すると「循環器内科」という科名が出てきます。

ところが、外来で話を聞くと「心臓の科というと、手術をするところだと思っていた」「大きな病院に行かないと診てもらえないのでは」と身構えている方が少なくありません。逆に、高血圧のような身近な病気も循環器内科の守備範囲だということは、あまり知られていません。

循環器内科は、心臓と血管の病気を、薬や検査を中心とした内科の方法で診る科です。高血圧・不整脈・心不全・狭心症などが対象で、健診の心電図や血圧の指摘をきっかけに受診する人も多い科です。ただし、診療所でできる検査の範囲は医療機関ごとに違い、カテーテル治療や手術は病院の役割になります。

実際に探すときは

現在、以下のエリアで循環器内科の記事を公開しています。

「循環器内科」は、内科と「循環器」を組み合わせた科名

医療機関が看板やウェブサイトに掲げられる診療科名は、医療法施行令第3条の2で決められています。循環器内科は、単独の科名としては出てきません。 「内科又は外科と次に定める事項とを組み合わせた名称」という枠があり、その組み合わせられる事項のひとつに「循環器」が挙げられています。つまり「内科」+「循環器」=「循環器内科」という組み立てです。呼吸器内科・消化器内科・腎臓内科も同じ並びにあります。

外科の側にも、同じ枠組みで組み立てられた科名があります。心臓や大血管の手術を担う心臓血管外科です。名前が似ていても、循環器内科は薬・検査・カテーテルなどの内科的な方法を、心臓血管外科は手術を主に担うという分担があります。

ここで押さえておきたいのは、科名は医療機関が自分で掲げるものだという点です。施行令が決めているのは「この名前なら広告してよい」という枠であって、その院の医師がどこまで心臓を専門に診てきたかまでは、科名からは分かりません(後述)。

循環器内科ではどんな病気を診る?

法律の上では、「脳卒中、心臓病その他の循環器病」をまとめて循環器病と呼んでいます(健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法・第1条)。この法律は、循環器病が国民の死亡と、介護が必要になる原因の主要なものになっていることを、制定の理由に挙げています。実際、2024年(令和6年)の人口動態統計では、心疾患(高血圧性を除く)は死因の第2位で、死亡全体の14.1%を占めました。

このうち脳卒中は、脳神経内科・脳神経外科が中心になって診ることが多い病気です。循環器内科が主に受け持つのは、心臓と血管の病気です。日本循環器学会が定めた循環器内科専門医の研修の基準では、経験すべき分野として次のようなものが並んでいます。

  • 血圧の異常(高血圧など)
  • 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など、心臓の血管が狭くなったり詰まったりする病気)
  • 不整脈
  • 心不全
  • 弁膜症・心筋の病気
  • 肺の血管の病気・先天性の心臓病など

この並びを見ると、高血圧のように多くの人が抱える病気から、緊急の治療が必要な心筋梗塞まで、幅がとても広い科だということが分かります。

一般内科とは何が違う?

一般内科(プライマリケア)は、日常の体調不良や持病の管理を幅広く受け持つ、かかりつけの窓口としての科です。高血圧の治療や健診結果の相談の多くは、一般内科でも行われています。

循環器内科は、そのうち心臓と血管について、より専門的に評価し、継続して診ていく科という位置づけです。たとえば高血圧について、日本高血圧学会のガイドラインは、高血圧の基準を診察室で140/90mmHg以上としています(厚生労働省の解説では、家庭で測る血圧では135/85mmHg以上)。2025年に改訂された同学会のガイドラインでは、治療で目指す血圧(降圧目標)を、年齢にかかわらず診察室で130/80mmHg未満としました。こうした数字を踏まえて薬を調整するのは一般内科でも循環器内科でも同じですが、心臓の形や働きに変化が出ていないかを検査で確かめるところに、循環器内科の専門性が出やすくなります。

どちらに行くべきかは、症状や指摘された内容、その医療機関の体制によって変わります。 まず健診結果を持ってかかりつけに相談し、必要に応じて循環器内科を紹介してもらう、という進め方も一般的です。

診療所でできる検査と、病院の役割

循環器内科の検査は、大きく2つの層に分かれます。日本循環器学会の研修基準でも、まず身につけるべき検査として胸部X線・12誘導心電図・運動負荷心電図・ホルター心電図(24時間心電図)・心エコー(心臓超音波)などが挙げられ、その先に冠動脈CT・心臓MRI・心臓カテーテル検査などが続きます。

  • 外来で比較的行いやすい検査……心電図、ホルター心電図、心エコー、24時間血圧測定など。これらを院内で行える診療所も多くあります
  • 病院が中心になる検査・治療……心臓カテーテル検査・治療(狭くなった血管を広げる治療など)、ペースメーカの植え込み、手術など

「循環器内科」を掲げる診療所のすべてが、同じ検査を行っているわけではありません。 心エコーやホルター心電図を院内で行う院もあれば、検査は連携する病院に依頼する院もあります。どの検査ができるかは、各医療機関の公式サイトで確認する必要があります。

また、診療所の大事な役割のひとつが病院との橋渡しです。カテーテル治療などが必要になったときにどの病院へ紹介するか、治療が落ち着いたあと再び診療所で経過をみる(逆紹介)か——こうした連携の流れは、紹介状(診療情報提供書)はなぜ必要?で解説しています。

急な胸の痛みは、診療所の受診を待たない

ここまでは、外来で計画的に受診する場面の話です。次のような症状が急に出たときは、診療所の診療時間を待たずに119番を考える場面です。総務省消防庁の「救急車を上手に使いましょう」は、大人で救急車を呼ぶべき症状として、次のようなものを挙げています。

  • 突然の激痛(胸や背中)
  • 急な息切れ、呼吸困難
  • 胸の中央が締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが2〜3分続く
  • 痛む場所が移動する

迷ったときの相談窓口(#7119)や、夜間・休日の医療のしくみについては、夜間や休日に具合が悪くなったら、どこへ行けばいい?で整理しています。

よくある誤解

誤解1:「循環器内科は、心臓の手術をするところ」

手術を担うのは主に心臓血管外科です。循環器内科は薬や検査を中心にした内科の科で、診療所の循環器内科の多くは、高血圧・不整脈・心不全などを外来で継続して診ています。カテーテルを使った治療は循環器内科の医師が行いますが、これは設備のある病院での話です。

誤解2:「高血圧くらいで循環器内科に行くのは大げさ」

高血圧は、日本循環器学会の研修基準でも循環器内科の扱う分野として挙げられている病気です。日本高血圧学会は、高血圧が将来の脳卒中・心臓病・腎臓病などのリスクを高めると説明しています。もちろん一般内科で治療を続けることも多く、どちらが正しいということではありません。

誤解3:「循環器内科と書いてあれば、心臓の専門医がいる」

診療科名は医療機関が施行令の枠の中で掲げるもので、医師の専門資格とは別の話です。循環器内科の専門医は、内科専門医を取ったうえで研修を受けて取得する資格で、日本専門医機構の制度のもとで認定されています。資格表記の読み方は「専門医」「指導医」「認定医」の違いって?で解説しています。

こう考えて選ぶとよい

循環器内科の医療機関を探すときに、手がかりになる軸を挙げます。

  • 今の目的が、長く続く管理なのか、一度しっかり調べることなのか——高血圧などの継続的な管理なら通いやすさが大事になり、心電図の異常や動悸の原因を調べたいなら、どの検査を院内でできるかが大事になります
  • 院内でできる検査——心エコー・ホルター心電図などを院内で行っているかは、公式サイトで確認します
  • 医師がどんな分野を診てきたか——同じ循環器内科でも、不整脈、カテーテル治療、心不全など、病院時代に中心にしてきた分野は医師によって違います。経歴の欄が手がかりになります
  • どの病院とつながっているか——いざというときの紹介先がはっきりしているかどうかも、診療所を選ぶ判断材料になります
  • かかりつけとの役割分担——一般内科のかかりつけがある場合は、まずそこに相談し、紹介を受けるという流れもあります

いずれの場合も、最終的にどの医療機関を選ぶかは、お住まいのエリアの記事を参考にご自身で判断してください。 本記事はその前段階の、制度と役割分担の説明にとどまります。

監修者からのひとこと

健診で心電図の所見を指摘された方が、「心臓が悪いと言われた」とひどく不安な顔で来られることがあります。実際には、詳しく調べてみると経過をみるだけでよいことも少なくありません。大切なのは、指摘を放っておかず、一度きちんと確かめることです。

反対に、血圧が高いと言われ続けているのに、症状がないからとそのままにしている方も多くいます。心臓や血管の病気は、静かに進んでから表に出てくることがあります。家で測った血圧の記録を持って、気軽に相談に来ていただくのがいちばんの近道です。

よくある質問

Q. 循環器内科は、何を診る科ですか。

A. 心臓と血管の病気を、薬や検査を中心とした内科の方法で診る科です。高血圧、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、不整脈、心不全、弁膜症などが対象です。

Q. 循環器内科と心臓血管外科は何が違うのですか。

A. 循環器内科は内科の側の科で、薬物療法や検査、カテーテルを使った治療などを担います。心臓血管外科は外科の側の科で、心臓や大血管の手術を主に担います。必要に応じて両者が連携します。

Q. 高血圧は一般内科と循環器内科、どちらで診てもらえばいいですか。

A. どちらでも治療は行われています。本記事では一律にお答えできませんが、まずかかりつけに相談し、心臓の検査が必要な場合などに循環器内科を紹介してもらうという進め方も一般的です。

Q. 健診で「心電図異常」と言われました。循環器内科に行けばいいですか。

A. 心電図の所見を詳しく調べる検査(心エコーやホルター心電図など)を行うのは、循環器内科が多い分野です。ただし受診の要否や急ぐかどうかは所見の内容によるため、本記事では判断できません。結果票を持ってかかりつけか循環器内科に相談してください。

Q. 循環器内科の診療所なら、どこでも心エコーやカテーテル検査ができますか。

A. いいえ。心エコーやホルター心電図を院内で行う診療所は多いものの、対応は医療機関によって異なります。心臓カテーテル検査・治療は、設備のある病院で行われるのが一般的です。各医療機関の公式サイトで確認してください。

Q. 急に胸が痛くなったときも、循環器内科の診療所を受診すればいいですか。

A. 突然の激しい胸や背中の痛み、急な息切れ、胸の中央が締め付けられるような痛みが2〜3分続くといった場合は、総務省消防庁が救急車を呼ぶべき症状として挙げています。診療時間を待たず、119番を考えてください。迷う場合は#7119などの相談窓口があります。

Q. 具体的にどの医療機関に行けばいいですか。

A. 本記事では特定の医療機関をおすすめしていません。上記の「実際に探すときは」から、お住まいのエリアの記事をご覧のうえ、ご自身で判断してください。

出典・参考文献

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