2027年度の専攻医シーリングは、何が示された?

2026年9月4日の医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会で、令和9(2027)年度専攻医募集のシーリング(採用数の上限)の基本方針と、厚生労働大臣意見案が議題になりました。会議資料では、一定の条件を満たす医師をシーリングの対象外とすること、シーリング数を3年平均の採用数と人口比で算出することが示されています。2028年度以降の見直しは、同じ会議で「検討してはどうか」という案の段階です。

この記事では、資料の記載をもとに「2027年度向けに示された内容」と「2028年度以降の検討段階の論点」を分けて整理します。なお、資料の位置づけは「意見案」「修正案」であり、会議後の最終的な取りまとめ内容は、本記事の確認時点で原典から確認できていません。

(出典:厚生労働省「令和8年度第2回医道審議会医師分科会医師専門研修部会」)

どの医師がシーリングの対象外になる?

2027年度向けの基本方針(日本専門医機構資料の修正案)では、次の医師がシーリング対象外とされています。

  1. 次の①または②に該当し、専攻医の期間中に医師少数区域または医師少数スポットで専門研修を行う予定の人
    • ① 都道府県と、卒業後一定期間その都道府県内で医師として就業する契約を結んだ人(修学資金の貸与の有無は問わない)
    • ② 自治医科大学を卒業した医師
  2. すでに基本領域の専門医を取得済みで、ダブルボード(別の基本領域の専門医)の取得を希望する人
  3. 小児科に限り、相対的医師少数区域で専門研修を行う医師

厚労省の意見案にも、小児科では、都道府県の小児科医師確保計画で定める相対的医師少数区域で研修する地域枠等の医師をシーリング対象外に含める、との記載があります。

(出典:日本専門医機構「令和9(2027)年度専攻医募集におけるシーリングの基本的な方針」[修正案](令和8年9月4日・資料1-2)、厚生労働省「厚生労働大臣からの意見案」)

シーリング数は、どう計算されている?

通常募集プログラムの「基本数」は、その診療科の直近3年間(令和5〜7年度)の全国専攻医採用数の平均に、都道府県の人口が全国総人口に占める割合を掛けて算出します。小児科は15歳未満人口で按分します。

基本数が過去3年間の平均採用数に届かない場合は、指導医派遣の実績に応じて「加算数」が付きます。加算は、届かない範囲かつ基本数の15%までです。

そのほか、基本方針には次のプログラムが記載されています。

  • 連携プログラム:通常プログラム数が3年平均の採用数に満たない場合に、満たない範囲で設置できます。通常プログラムの地域貢献率が原則20%以上であることが条件です。
  • 特別地域連携プログラム:足下充足率が0.8以下(小児科は0.9以下)の都道府県で、その都道府県が候補とした施設で行う、研修期間1年以上のプログラムです。
  • 留意分:算出されたシーリング数が全国採用数平均の1.7%に満たない場合、前回シーリング数を超えない範囲で通常プログラムを追加できます。
  • 常勤派遣分:医師少数区域へ週5日派遣している実績を評価して通常プログラムを追加できます。この枠での採用は、次年度以降の採用実績には計上されません。

(出典:日本専門医機構「シーリングの基本的な方針」[修正案])

募集はいつ始まる?

厚労省の基本方針の資料には、募集時期の記載はありません。大臣意見案には、専攻医募集の全体スケジュールを早期化するとの記載があります。募集開始の時期について、医療系の報道は「11月ごろの見込み」と伝えていますが、これは二次情報です。応募を考える方は、日本専門医機構と各プログラムの案内で確認してください。

(出典:厚生労働省「厚生労働大臣からの意見案」)

【検討段階】2028年度以降のシーリングは、どう見直される?

同じ会議の資料2「令和10(2028)年度以降のシーリングに向けた検討について」は、「以下の事項を中心に検討を行ってはどうか」という案であり、決定事項ではありません。具体的な日程や期限も示されていません。

検討の中心とされているのは次の2点です。

  • 指導医派遣実績:前年度からの派遣数の増加や新規派遣を評価する仕組み、実績の収集頻度・項目、加算の在り方(加算上限の扱いなど)。加算上限は当面現行の15%の範囲を維持しつつ、実績の蓄積を踏まえて検討する、との進め方が案として書かれています。
  • 連携プログラム等:連携期間の妥当性、連携期間の上限設定、特別地域連携プログラムの推進。

大臣意見案でも、令和8年度に行ったシーリングの見直しと、令和9年度から導入した特別地域連携プログラムの連携先要件の見直しについて、偏在是正の効果や地域医療への影響を継続的に検証し、令和10年度以降の検討に生かすとされています。

(出典:厚生労働省「令和10(2028)年度以降のシーリングに向けた検討について」(資料2))

よくある質問

地域枠で入学した場合、必ずシーリングの対象外になりますか。

資料上の条件は、都道府県と就業契約を結び、かつ専攻医の期間中に医師少数区域または医師少数スポットで専門研修を行う予定であることです。両方を満たす必要がある書き方になっているため、契約の内容と研修先は個別に確認が必要です。

自治医科大学の卒業生はどうなりますか。

資料では、医師少数区域または医師少数スポットで専門研修を行う予定の自治医科大学卒業生が対象外とされています。

ダブルボードを目指す場合は対象外ですか。

すでに基本領域専門医を取得済みで、ダブルボードの取得を希望する人が対象外とされています。

まとめ

2027年度向けには、除外対象と、シーリング数の算出方法(3年平均の採用数、人口比、指導医派遣による加算など)が部会資料で示されました。ただし資料は「意見案」「修正案」であり、会議後の最終取りまとめと募集開始時期は、各機関の発表で確認する必要があります。2028年度以降の指導医派遣実績や連携プログラムの扱いは、現時点では検討段階です。

参考資料

※資料1-1は意見案、資料1-2は修正案、資料2は検討案です。会議後に確定した内容は本記事では確認できていません。

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