はじめに
健診の結果表に「クレアチニン」「eGFR」という項目があり、去年より数値が悪くなっていた——そんな経験をした方は少なくないと思います。「要再検査」「要精査」の欄に丸が付いているのに、何科に行けばいいのか分からず、そのままにしてしまうというケースもよく聞きます。
本記事は、「腎臓内科」がどんな科なのかを、公的な資料に基づいて整理します。特定の医療機関をおすすめする記事ではありません。この記事の説明を読んだうえで、お住まいのエリアの記事から医療機関を選んでいただくための入り口として書いています。
腎臓内科は、血液検査・尿検査の数値をもとに、腎臓の状態を継続的にみていく科です。理由は、腎臓の働きはいちど大きく落ちると元に戻らないため、早い段階から経過をみることに意味があるからです。ただし、人工透析に対応しているかどうかは医療機関によって異なります。
実際に探すときは
現在、以下のエリアで腎臓内科の記事を公開しています。
腎臓内科とは何を診る科か
腎臓には、血液中の老廃物や余分な水分をろ過して尿として排出する働きがあります。この働きが慢性的に低下した状態を、慢性腎臓病(CKD)と呼びます。日本腎臓学会は、CKDを「尿蛋白などの腎臓の障害を示す所見」または「eGFR(推算糸球体濾過量)60未満の腎機能低下」のいずれかが3か月以上続く状態と説明しています。特定の一つの病気の名前ではなく、高血圧・糖尿病・加齢などさまざまな原因で腎臓の働きが落ちていく状態をまとめてこう呼んでいます。
腎臓内科は、このCKDをはじめとする腎臓の病気を専門に診る内科です。健診で指摘された数値の経過をみることから、腎炎・ネフローゼ症候群といった腎臓そのものの病気の診断・治療、そして進行した場合の透析導入前後の管理まで、腎臓の状態を継続してフォローする役割を担っています。
なお、同じ「腎臓」という名前がついていても、泌尿器科は結石や腫瘍など、手術を含む外科的な治療を担う科です。腎臓内科は薬物療法や生活指導を中心とした内科的な管理を担う科という違いがあります。両者は別の科として分かれていますが、必要に応じて連携することもあります。
一般内科との違い
一般内科(プライマリケア)は、日常のさまざまな体調不良や持病の管理を幅広く受け持つ、かかりつけの窓口としての科です。健診結果の相談や発熱など、多くの場面は一般内科の範囲でも対応できます。
一方で、腎臓内科は腎臓の状態を専門的・継続的に評価する科として位置づけられています。健診でクレアチニン値の上昇やeGFRの低下、尿蛋白といった腎臓に関わる数値の異常を指摘された場合、一般内科で経過をみることもあれば、より専門的な評価のために腎臓内科への受診が案内されることもあります。どちらに進むかは、指摘された数値や医療機関の方針によって変わるため、まずは健診結果を持ってかかりつけに相談するという進め方も一般的です。
どんな症状・検査結果で受診する人が多いか
腎臓内科を受診する人の多くは、次のような健診結果・症状をきっかけにしています。
- 健診の血液検査でクレアチニン値が高めと指摘された
- 健診結果にeGFRの低下が記載されていた
- 尿検査で尿蛋白・尿潜血が陽性だった
- むくみ(浮腫)が続く
- すでにCKDと診断されており、経過を継続的にみてもらうため
腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、機能が相当低下するまで自覚症状が出にくいとされています。そのため、自覚症状の有無にかかわらず、健診の数値の指摘をきっかけに受診する人が多いのがこの科の特徴です。
ここで書けるのはあくまで「こういう指摘で受診する人が多い科である」という一般的な説明にとどまります。個々の数値をどう判断するか、受診が必要かどうかは、医師の診察を通じて判断されることです。
透析について
CKDが進行し、腎臓の働きが大きく低下すると、血液中の老廃物や水分を人工的に取り除く人工透析(血液透析・腹膜透析)という治療が必要になる段階があります。日本透析医学会の調査によると、2024年末時点で国内の透析患者数は約33.7万人、その年に新たに透析を導入した人は約3.6万人でした。
腎臓内科を標榜する医療機関のすべてが、透析に対応しているわけではありません。 外来での経過観察・生活指導を中心に行い、院内に透析設備を持たない医療機関も多くあります。一方で、血液透析用のベッドを備え、夜間透析や送迎など通院を続けやすくする体制を整えている医療機関もあります。
そのため、「腎臓内科」という標榜だけでは、透析に対応しているかどうかは分かりません。 透析施設の有無や対応内容は、各医療機関の公式サイトで確認する必要があります。
よくある誤解
誤解1:「腎臓内科は、透析を受ける人だけが行く科」
そう思われがちですが、腎臓内科の役割の多くは、透析に至る前の段階——健診で指摘された数値の経過をみて、腎臓の働きをできるだけ保つことです。透析施設を持たず、外来診療のみを行っている腎臓内科も多くあります。
誤解2:「腎臓内科と泌尿器科は同じ科」
名前は似ていますが、役割は異なります。腎臓内科は薬物療法・生活指導を中心とした内科的な管理を、泌尿器科は結石・腫瘍などに対する外科的な治療を主に担っています。
誤解3:「クレアチニンが少し高いくらいなら、様子を見ていれば大丈夫」
腎臓の働きは、いちど大きく低下すると元に戻らないとされています。数値をどう判断するかは医師の診察によりますが、「少し高め」の段階から継続的にみていく意味があるという考え方が、この科の存在理由でもあります。
こう考えて選ぶとよい
腎臓内科の医療機関を探すときに、手がかりになる軸を挙げます。
- 今の段階が、外来での経過観察なのか、透析を検討する段階なのか——前者であれば通院頻度は比較的少なく済むことが多く、後者であれば通いやすさ(駅からの距離・夜間透析の有無・送迎など)が重要になります
- 透析施設の有無——標榜だけでは分からないため、公式サイトで確認します
- かかりつけとの役割分担——一般内科のかかりつけがある場合、そこから腎臓内科への紹介という流れになることもあります
いずれの場合も、最終的にどの医療機関を選ぶかは、お住まいのエリアの記事を参考にご自身で判断してください。 本記事はその前段階の、制度の説明にとどまります。
監修者からのひとこと
健診で「クレアチニンが去年より高いですね」と伝えると、「痛いところも辛いところもないのに、そんなに大変なことなんですか」と驚かれることがよくあります。腎臓は自覚症状が出にくい臓器なので、数値の変化だけが唯一の手がかりになる場面が多いのです。
だからこそ、「様子を見ましょう」で終わらせず、早い段階から専門的に経過をみていくことに意味があります。透析が必要になるかどうかは人それぞれですが、そこに至る前にできることは、思っている以上にあります。
※この節は監修医師本人の確認前の草案です。
よくある質問
Q. 腎臓内科は、どんな症状のときに受診する科ですか。
A. 健診でクレアチニン値の上昇やeGFRの低下、尿蛋白・尿潜血の陽性を指摘された場合に受診する人が多い科です。腎臓は自覚症状が出にくいため、健診の数値がきっかけになることが目立ちます。
Q. 腎臓内科と一般内科は何が違うのですか。
A. 一般内科は日常のさまざまな体調不良や持病の管理を幅広く受け持つかかりつけの科です。腎臓内科は、腎臓の状態を専門的・継続的に評価する科という位置づけになります。健診結果の相談はまずかかりつけの一般内科で受けられることも多く、そこから腎臓内科への受診が案内される場合もあります。
Q. 腎臓内科と泌尿器科は同じ科ですか。
A. 異なります。腎臓内科は薬物療法や生活指導を中心とした内科的な管理を担い、泌尿器科は結石や腫瘍などに対する外科的な治療を主に担っています。
Q. クレアチニンの値が少し高いだけでも受診したほうがいいのでしょうか。
A. 受診の要否は個々の数値や状況によるため、本記事では一律にお答えできません。ただし、腎臓の働きはいちど大きく低下すると元に戻らないとされており、健診で指摘された段階から経過をみていく考え方が一般的です。判断は医師の診察を通じて行われます。
Q. 腎臓内科のクリニックなら、どこでも透析を受けられますか。
A. いいえ。腎臓内科を標榜する医療機関のすべてが透析設備を備えているわけではありません。外来での経過観察を中心とし、院内に透析施設を持たない医療機関も多くあります。透析への対応状況は、各医療機関の公式サイトで確認する必要があります。
Q. 具体的にどの医療機関に行けばいいですか。
A. 本記事では特定の医療機関をおすすめしていません。上記の「実際に探すときは」から、お住まいのエリアの記事をご覧のうえ、ご自身で判断してください。

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