本記事について
特定の医療機関を評価する記事ではありません。公式サイトのどこを見れば、書いてある情報の確かさが分かるかという「読み方」を解説する記事です。
医療機関のウェブサイトは、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」により、誇大な表現や体験談の掲載などが規制の対象になっています(出典は末尾)。本記事はその枠組みを踏まえて、読者ご自身が確認できるチェックポイントをまとめたものです。
はじめに
クリニックを探すとき、多くの人がまず公式サイトを開く。写真がきれいで、院内の設備紹介も充実していて、「ここなら大丈夫そうだ」と感じる。しかし、デザインの新しさと、そこに書かれている情報の確かさは別のものだ。
サイトの見栄えは制作会社の力量で決まるが、「診療時間は今も合っているか」「この資格は何を意味するか」といった中身は、書き方そのものから読み取るしかない。 感想やデザインの印象ではなく、どこを見ればよいかを知っていれば、自分で確認できることは意外と多い。
本記事は、公式サイトのどの部分に情報の鮮度や正確さの手がかりが出るかを、一般的なチェックポイントとして整理したものだ。特定の医療機関を良い・悪いと判定するものではない。
公式サイトで実態が分かる手がかりは、主に更新日・お知らせ欄、診療時間の注記、資格の書き方の3か所です。デザインの新しさや写真の量、ホームページの有無自体は、情報の正確さや医師の実力とは関係ありません。気になる点が見つかったら、受診前に電話で確認するのが一番確実です。
更新日・お知らせ欄──最後の更新がいつかで、情報の鮮度が分かる
多くの公式サイトには、フッターやトップページに「更新日」や「お知らせ」の欄がある。ここが数年単位で止まっている場合、診療時間・スタッフ体制・アクセス情報が変わっていても反映されていない可能性がある。逆に、お知らせが定期的に更新されている、あるいは臨時休診の告知が直近まで載っている場合は、サイトの運用自体は生きていると見てよい。
更新日の表示自体が無いサイトも珍しくない。その場合は「更新されていない」と決めつけず、「更新日からは判断できない」として、他の手がかり(診療時間の注記など)で補うのが実務的な考え方だ。
診療時間・休診日の書き方──「変更する場合があります」の注記があるか
診療時間はスタッフの体制や医師の都合で変わることがある。「診療時間は変更になる場合がございます。来院前に電話でご確認ください」といった一文が添えられているサイトは、時間の情報が動きうるものだと認識して書かれていると読める。
反対に、注記が無いサイトが誤っているという意味ではない。ただ、画像になっている診療時間表(スクリーンショットのような形式)は、テキストの更新より後回しになりやすく、他の記載と食い違っていないか照らし合わせる価値がある。迷ったときは、受診の前に電話で確認するのが最も確実だ。
医師の経歴・資格表記──学会名・取得年次まで書いてあるか
「専門医」という言葉だけが書かれているサイトと、「日本内科学会 総合内科専門医(20XX年取得)」のように学会名と年次まで書かれているサイトとでは、読者が確認できる情報の量が違う。学会名が分かれば、その学会の公式サイトで専門医制度の内容を調べることができる。
これは資格の優劣を意味するものではない。 学会名を書く・書かないは各医療機関の方針によるもので、学会名の記載が無いからといって資格が無いとは限らない。「具体的に書かれているか」は、読者が自分で裏付けを取れるかどうかの違いであり、医師の技量や実績の差ではないという点は分けて考えたい。
診療科の標榜──公式サイトの表記と、公的な登録データは必ずしも一致しない
医療機関が実際にどの診療科を掲げているか(標榜科)は、地方厚生局への届出事項として公的に記録されている。公式サイトに書かれている診療科名と、この公的な登録内容は、必ずしも一言一句一致するとは限らない。 サイトでは分かりやすさを優先して独自の呼び方をしていることもあれば、届出上の標榜科の一部だけを前面に出していることもある。
これ自体は珍しいことではないが、「サイトに書いてあること」と「公的に登録されていること」は別の情報源だと知っておくと、疑問に思ったときに厚生局や医療情報ネット(後述)といった公的な情報源に当たる、という選択肢が生まれる。
Googleマップとの整合性──公式サイトとGoogleビジネス情報の食い違い
公式サイトとは別に、Googleマップ上の「Googleビジネスプロフィール」にも診療時間が表示されている。この2つは別々に管理されていることが多く、公式サイトを更新してもGoogle側の表示が古いまま、あるいはその逆、というケースが実務上よく起こる。とくに昼休みの時間帯や祝日診療の有無は、この2つで食い違いやすい項目だ。
実践的な対応は、どちらか一方だけで判断せず、両方を見比べること。2つが食い違っている場合は、更新日が新しい方を参考にしつつ、最終的には電話で確認するのが確実だ。
自由診療の表記──保険診療と自由診療が併記されている場合の見分け方
同じ診療科の中に、健康保険が適用される診療と、適用されない自由診療(自費診療)が併記されていることがある。この場合、公式サイトには「※自由診療となります」「保険適用外」といった注記と、具体的な料金が明記されているのが一般的だ。
見分け方としては、料金表があるかどうかが分かりやすい手がかりになる。保険診療は全国一律の点数で決まるため、通常は料金を細かく提示しない。一方、自由診療は医療機関が独自に価格を設定するため、料金表やプラン名が示されているページは自由診療である可能性が高い。 どちらか判断がつかない場合は、予約や来院の前に電話で確認するとよい。
よくある誤解
「ホームページがきれい=良い医療機関」ではない。 サイトのデザインは制作会社の力量や予算で決まるものであり、診療の中身とは別の要素だ。逆に、素朴な作りのサイトでも、更新日やお知らせが定期的に動いていれば、運用自体は生きていると読める。ホームページが無い、あるいは何年も更新されていない医療機関の中にも、地域で長く支持されている人気の医師、実力のある医師は数多くいる。 ホームページへの力の入れ方と、診療の実力は別の軸だと考えたほうがよい。
「専門医と書いてあれば、どれも同じ意味」でもない。 前述のとおり、学会名や取得年次が明記されているかどうかで、読者が確認できる範囲が変わる。ただしこれは資格そのものの価値の差ではなく、書き方の違いにすぎない。
「更新日が新しい=すべての情報が正しい」とも限らない。 トップページのお知らせだけを更新し、診療時間表などの別ページが古いまま残っているサイトもある。更新日はあくまで手がかりの一つであり、気になる項目は個別に確認する姿勢が必要になる。
「Google口コミの星が高い=安心」でもない。 口コミの件数や評価は、医療の中身よりも「口コミを集める運用をしているかどうか」を強く反映するといわれている。星の数を公式サイトの情報の正確さの代わりに使うことはできない。
こう考えて選ぶとよい
公式サイトを見るときに、次の点を順番に確認すると効率がよい。
- 更新日・お知らせ欄――最後の更新はいつか。数年単位で止まっていないか
- 診療時間の注記――「変更する場合があります」といった一文があるか。画像の時間表は他の記載と一致しているか
- 資格の書き方――学会名・取得年次まで書かれているか(無いことを問題視する必要はない)
- 標榜科の確認――公式サイトの表記だけで判断せず、疑問があれば地方厚生局や医療情報ネットの公開情報も見てみる
- Googleマップとの照合――公式サイトとGoogleビジネスプロフィールの診療時間を見比べる。食い違っていたら更新日が新しい方を優先しつつ、電話で確認する
- 料金表の有無――保険診療と自由診療が併記されている場合、料金表やプラン名があるページは自由診療の可能性が高いと考える
- 最後は電話――どれだけサイトを読み込んでも、確実なのは受診前に電話で確認することだ
監修者からのひとこと
ホームページがださくても、なんならホームページが無くても、人気があって力のある医師はたくさんいます。臨床の現場では、患者さんから「ホームページを見てきました」と言われることもありますが、実際に大事なのは、更新日や診療時間の注記といった、地味で目立たない部分だったりします。デザインの新しさや有無と、診療の中身は別物だということは、もっと知られてよいと感じています。
※この節は監修医師本人のコメントをもとにしていますが、公開前に本人の最終確認・文言調整が必要です。
よくある質問
Q. 公式サイトに更新日が書かれていない場合、情報は古いと考えるべきですか?
A. 更新日が無いことだけでは、情報が古いとも新しいとも判断できません。診療時間の注記や、お知らせ欄の有無など、他の手がかりと合わせて確認してください。
Q. 「専門医」とだけ書かれていて学会名が無い場合、資格が無いということですか?
A. いいえ、そう決めつけることはできません。学会名の記載が無いからといって資格が無いとは限らず、各医療機関の表記の方針によるものです。気になる場合は電話で確認できます。
Q. 公式サイトとGoogleマップで診療時間が違っていたら、どちらを信じればよいですか?
A. どちらか一方だけで判断せず、両方を見比べたうえで、更新日が新しい方を参考にしつつ、最終的には受診前に電話で確認することをお勧めします。
Q. 公式サイトに書かれている診療科と、厚生局のデータが違うことはありますか?
A. あり得ます。公式サイトの表記と、地方厚生局への届出内容は別の情報源であり、必ずしも一致するとは限りません。疑問がある場合は、地方厚生局や医療情報ネットなど公的な情報源も確認できます。
Q. 料金表が載っているページは、必ず自由診療なのですか?
A. 一般的には、保険診療は全国一律の点数で決まるため料金表を細かく載せることは少なく、料金表やプラン名がある場合は自由診療である可能性が高いといえます。ただし判断がつかない場合は、予約前に電話で確認するのが確実です。
Q. ホームページのデザインが古い医療機関は、避けたほうがよいですか?
A. デザインの新しさと診療の中身は別の要素です。素朴な作りのサイトでも、更新日やお知らせが定期的に動いていれば、運用自体は生きていると考えられます。デザインだけで判断しないことをお勧めします。
Q. ホームページが無い医療機関は、避けたほうがよいですか?
A. そうとは言えません。ホームページを持つかどうかは医療機関ごとの方針の違いであり、ホームページが無い、あるいは長く更新されていない医療機関の中にも、地域で長く支持されている医師は数多くいます。気になる点は電話で確認することをお勧めします。
出典・参考文献
- 厚生労働省「医療に関する広告規制について」(医療広告ガイドライン):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
- 厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」:https://www.mhlw.go.jp/content/000371812.pdf
- 選定ポリシー(当サイトの情報の扱い方):https://med-pro.jp/clinic/policy/

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