引っ越したら、かかりつけはどう探す?

引っ越したら、かかりつけはどう探す?
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はじめに

引っ越しが決まると、住所変更、電気・水道・ガス、学校や保育園の転入手続きなど、やることが一気に増えます。そのなかで「かかりつけ医をどうするか」は、後回しになりやすい項目のひとつです。

とくに困るのは、何もしないまま新しい土地に着いてしまい、体調を崩したときに初めて「さて、どこに行けばいいのか」と検索し始める場合です。持病があって薬を切らせない方や、小さなお子さんがいるご家庭では、引っ越し前のひと手間で新しい土地での受診がずいぶん楽になります。

この記事では、引っ越し前後にやっておくとよいことと、新しい土地でかかりつけを探す実践的な手順をまとめます。東京の一部エリアだけでなく、どこに引っ越す場合でも使える内容にしています。

引っ越し前に「お薬手帳」「紹介状の相談」「健診結果の控え」の3点を済ませておくと、新しい土地での受診が滞りません。 新しいかかりつけは、口コミだけで決めず、公的な一覧で候補を確認したうえで、実際に一度受診してから合うかどうかを判断してください。持病のある方は治療の引き継ぎ、お子さんがいるご家庭は予防接種の記録の扱いに、とくに注意が必要です。

引っ越し前にやっておくこと

引っ越し日が決まったら、体調が落ち着いているうちに、かかりつけの医療機関で次を済ませておくと安心です。

  • お薬手帳を最新の状態にしておく。 今飲んでいる薬、アレルギー歴、過去の副作用歴が1冊にまとまっていると、初めての医療機関でも問診がスムーズになります
  • 紹介状(診療情報提供書)をお願いするか相談する。 とくに持病があり治療を継続する場合は、これまでの経過や検査結果を新しい医療機関に伝える手段になります。「〇〇市に引っ越すのですが、通院を続けるにあたって紹介状をお願いできますか」と伝えれば、多くの医療機関で対応してもらえます。紹介状の発行には診療情報提供料がかかりますが健康保険が適用され、自己負担はおおむね数千円程度です
  • 直近の健診・人間ドックの結果を控えておく。 新しい医療機関で「前回の数値」を聞かれることはよくあります
  • お薬の残数と次回受診の予定を確認しておく。 引っ越しのタイミングで薬が切れないよう、多めに処方してもらえるか相談しておくと安心です

新しい土地でのかかりつけの探し方

新しい土地に着いてから、実際にどう探すかです。ここでは、口コミサイトの評価だけに頼らない探し方を紹介します。

1. まず「何科を探すか」を決める。 普段の体調管理やちょっとした発熱・体調不良を診てもらう内科・小児科なのか、通院を続けている持病の専門科なのかで、探し方の重点が変わります2. 候補を公的な情報源で確認する。 保険診療を行う医療機関は、各地方厚生局が「保険医療機関の指定状況」として一覧を公表しています。これは保険診療を行う医療機関の指定状況をまとめたもので、名称・所在地・診療科などを確認できます。地域の医師会が作る一覧も参考になりますが、医師会に加入していない医療機関は載らないことがあるため、「一覧に無い=その地域に無い」とは限りません3. 公式サイトで診療時間・予約方法を確認する。 平日の遅い時間や土曜の診療があるか、予約が必要かは、公式サイトで確認するのがもっとも確実です4. 候補を2〜3件に絞り、急がない用件で一度受診してみる。 お薬をもらうタイミングや、健診結果の相談など、緊急性のない機会に一度受診しておくと、通いやすさや説明の受け取り方が自分に合うかを確かめられます5. 合わなければ、変えて構いません。 かかりつけは一度決めたら固定するものではなく、自分に合う医療機関を探し続けてよいものです

なお、当サイトでは自治体ごとに、診療科別のクリニックをまとめた記事を公開しています。厚生局の指定一覧をもとに地域の医療機関の分布を調べ、医師の専門性などの軸で整理する探し方をした記事です。引っ越し先が対象のエリアであれば、選択肢のひとつとして参考になるかもしれません(2026年8月時点で立川市・日野市・豊島区・江東区・三鷹市を公開しています)。対象外のエリアでは、上記の手順そのものが使えます。

持病がある場合の注意点

治療を続けている病気がある場合、新しい土地での受診は「引き継ぎ」が中心になります。

  • 紹介状は、新しい医療機関に治療の経緯を伝える最も確実な手段です。 検査値の推移や、これまで試した薬とその効き方まで書かれていることが多く、同じ検査をやり直す手間も減らせます
  • お薬手帳と合わせて持参する。 紹介状とお薬手帳の両方があると、新しい医療機関側も治療方針を判断しやすくなります
  • 自治体独自の医療費助成や受給者証がある場合は、転入先の自治体窓口で手続きが必要です。 自治体が変われば制度の内容や申請先も変わるため、転入手続きのタイミングで確認しておくと安心です
  • 次回受診の予定が決まっている場合は、その予定も伝えておく。 「次はいつ、何を確認する予定だったか」が分かると、引き継ぎがスムーズです

お子さんがいる場合

お子さんの記録は、母子健康手帳の扱いと、自治体発行の書類の扱いを分けて考えます。

  • 母子健康手帳そのものは、転居のたびに新しく作り直す必要はありません。 住所欄を書き換えるだけで、これまでの記録はそのまま使えます
  • 一方で、乳幼児健診の受診票や予防接種の予診票・接種券は、自治体が独自に発行しているものです。 転入先の自治体で新しく交付を受ける必要があります。転入の手続きをする際に、窓口で確認しておきましょう
  • 予防接種の記録は母子健康手帳に残っているので、転入先の小児科を受診する際に持参すれば、これまでの接種状況を伝えられます。 接種のスケジュールが引っ越しをまたぐ場合は、次にいつ・何を受ける予定だったかも伝えておくと安心です
  • 子ども医療費助成制度も自治体ごとの制度です。 転入先での申請が必要になる場合があるため、自治体窓口で確認してください

よくある誤解

「近所で一番口コミが良い医院を選べばいい」

医療機関の口コミには構造的な偏りがあります。満足した人は投稿せず、不満を持った人ほど自分から書く傾向があり、件数や星の高さは「口コミを集める運用をしているか」を反映している面があります。星の数だけで医療の中身を判断するのではなく、実際に受診してみた自分の実感を優先することをおすすめします。

「紹介状がないと新しい医療機関では診てもらえない」

そうとは限りません。紹介状が無くても初診として診てもらえるのが通常です。ただし、持病があり治療の経緯を正確に伝えたい場合は、紹介状があったほうが引き継ぎがスムーズになる、という位置づけです。

「かかりつけは一度決めたら変えてはいけない」

そうした決まりはありません。実際に受診してみて、説明の受け取り方や通いやすさが合わないと感じたら、別の医療機関を試すことは何も問題ありません。

「大きな病院のほうが安心だから、最初から大きな病院にかかればよい」

日常的な体調管理や軽い症状は、まず地域のクリニックで相談し、専門的な検査や入院が必要な場合にかかりつけから紹介してもらう、という流れのほうがスムーズなことが多いです。大きな病院の多くは紹介状を前提とした予約制で、直接の受診がなじまない場合があります。

こう考えて選ぶとよい

新しい土地でかかりつけを探すときの、実践的なチェックリストです。

  • お薬手帳・紹介状・健診結果など、引き継ぎに必要な書類を持参できる状態か
  • 通いやすい場所にあるか(自宅からだけでなく、勤務先や学校からの通いやすさも含めて)
  • 平日の診療時間・土曜や休日の診療の有無が、自分の生活リズムに合っているか
  • 予約の方式(Web・電話・予約不要)が自分に合っているか
  • 持病がある場合、その領域を診てもらえるか(専門的な治療が必要な段階では、より専門性の高い医療機関やかかりつけからの紹介が適切な場合があります)
  • お子さんがいる場合、小児の診療に対応しているか、予防接種の相談ができるか
  • 一度受診してみて、説明の受け取り方や待ち時間など、自分にとって続けやすいと感じたか

監修者からのひとこと

引っ越してきた患者さんを診ていて感じるのは、紹介状とお薬手帳を持ってきてくれる方は、初診の診察がとても早く進むということです。逆に「前の病院で何を飲んでいたか覚えていない」という状態だと、同じ検査をやり直したり、薬の調整に余計な時間がかかったりします。持病がある方ほど、引っ越し前のひと手間を惜しまないでいただきたいです。

※この節は監修医師本人の確認前の草案です

よくある質問

Q. お薬手帳と紹介状、両方必要ですか?

A. お薬手帳は普段飲んでいる薬やアレルギー歴を伝えるためのもの、紹介状はこれまでの治療の経過や検査結果を伝えるためのものです。役割が違うため、持病があって治療を継続する場合は両方あると引き継ぎがスムーズです。

Q. 紹介状をもらうのにお金はかかりますか?

A. 診療情報提供料として費用がかかりますが、健康保険が適用され、自己負担はおおむね数千円程度です。金額は医療機関によって差があります。

Q. 母子健康手帳は引っ越しのたびに新しく作り直す必要がありますか?

A. 母子健康手帳そのものは作り直す必要はなく、住所欄を書き換えるだけで、これまでの記録はそのまま使えます。ただし、乳幼児健診の受診票や予防接種の予診票・接種券は自治体ごとの発行物のため、転入先の自治体で新しく交付を受ける必要があります。

Q. 予防接種の記録はどう引き継げばいいですか?

A. 母子健康手帳に接種記録が残っているので、転入先の小児科を受診する際に持参すれば伝えられます。次の接種予定が引っ越しをまたぐ場合は、いつ・何を受ける予定だったかも伝えておくと安心です。

Q. 今のかかりつけ医に「転院します」と言いにくいのですが。

A. 引っ越しを理由に紹介状をお願いすることは、多くの医療機関にとって日常的な依頼です。「〇〇市に引っ越すので、通院を続けるために紹介状をお願いできますか」と伝えれば問題ありません。

Q. 新しいかかりつけがなかなか決まりません。何件か試してもいいですか?

A. 問題ありません。かかりつけは一度決めたら固定するものではなく、実際に受診してみて自分に合うかどうかで選んでよいものです。急がない用件のときに候補をいくつか試してみることをおすすめします。

出典・参考文献

  • 厚生労働省——医療機関にかかる際の基本的な考え方、子ども医療費助成などの制度に関する情報
  • 各地方厚生局「保険医療機関・保険薬局の指定状況」——例:関東信越厚生局。保険診療を行う医療機関の指定状況を公表している一次情報で、地域ごとに同様のページがあります
  • 母子健康手帳および乳幼児健診・予防接種に関する手続きは、転入先の市区町村ごとに異なります。詳細は各自治体の窓口・ウェブサイトでご確認ください
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