セカンドオピニオンって、どう頼むの?

セカンドオピニオンって、どう頼むの?

本記事について

特定の医療機関を推薦する記事ではありません。また、個々の病気について「意見を聞くべきかどうか」を判断する記事でもありません。 セカンドオピニオンという仕組みが制度上どう位置づけられ、どういう手順と費用で使えるのかという、受診行動の説明にとどめています。

制度の説明は厚生労働省の診療報酬点数表と告示、国立がん研究センターおよび東京都の公開資料を出典にしています(末尾に一覧)。

目次

はじめに

「この治療で本当にいいのだろうか」「手術を勧められたけれど、ほかの選択肢はないのだろうか」——医師から治療方針の説明を受けたあと、こう感じることは珍しくありません。ただ、そこから「別の先生の意見も聞きたい」と口に出すのは、多くの方にとってかなり勇気の要ることです。「主治医に失礼ではないか」「関係が悪くなって、その後診てもらいにくくなるのではないか」という不安が先に立ちます。

本記事は、セカンドオピニオンが制度としてどう位置づけられ、どういう手順で、いくらかかるのかを整理します。当サイトの他の記事と同じく、特定の医療機関をおすすめするものではありません。

セカンドオピニオンは転院することではなく、今の主治医のもとで治療を続けることを前提に、別の医師の意見を聞く仕組みです。 主治医に伝えて紹介状と検査データを用意してもらうのが正式な手順で、意見を聞く外来そのものは公的医療保険が使えず全額自己負担になります(紹介元で書類を作ってもらう費用は保険の対象です)。体制が整っているのは主にがんの領域ですが、保険の仕組みそのものは病気の種類を限定していません。

セカンドオピニオンとは何か

厚生労働省の「がん診療連携拠点病院等の整備について」(令和8年7月30日)は、セカンドオピニオンを「診断及び治療方針等について、現に診療を担っている医師以外の医師による助言及び助言を求める行為」と定義しています。国立がん研究センターのがん情報サービスも、「患者が診断や治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別の医師に求める助言(第2の意見)およびそれを求めること」と説明しています。

ここで押さえておきたい点が2つあります。

ひとつは、セカンドオピニオンは「現在の担当医のもとで治療を受けることを前提に利用するもの」だという点です。がん情報サービスは「セカンドオピニオンを受けること=転院して別の医師のもとで治療を受けることではありません」と明記しています。意見を聞いた結果として主治医のところに戻る、というのが本来の姿です。

もうひとつは、セカンドオピニオンの場では診察・検査・治療を行わないという点です。持参した診療情報をもとに、第三者の立場で診断や治療についての意見を述べる——それがこの枠組みの中身です。東京都がんポータルサイトも、その病院で治療を受けたい場合には別途、転院の手続きが必要になると説明しています。

「受診のための紹介」と「意見を聞くための紹介」は制度上べつもの

紹介状(診療情報提供書)については別記事で解説していますが、実は健康保険の仕組みのうえでは、紹介は2種類に分かれています。

  • 診療情報提供料(Ⅰ)……別の医療機関での診療の必要を認め、患者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて患者を紹介した場合。つまりそこで診てもらうための紹介です
  • 診療情報提供料(Ⅱ)……治療法の選択などについて、その医療機関以外の医師の意見を求める患者からの要望を受けて、治療計画・検査結果・画像診断に係る画像情報などを添付した文書を患者に提供し、助言を得るための支援を行った場合

セカンドオピニオンにあたるのは後者の(Ⅱ)です。令和8年度の医科診療報酬点数表では500点患者1人につき月1回に限り算定できる項目として定められています。3割負担の場合、窓口での負担はおおむね1,500円程度です。

厚生労働省の「保険診療の理解のために【医科】」は、この項目を「診療を担う医師がセカンド・オピニオンを求める患者又はその家族からの申し出に基づき(中略)文書を患者又はその家族に提供した場合に算定する」と説明しています。本人だけでなく家族から頼んでもよいことが、制度の書きぶりからも読み取れます。

受ける手順——主治医に伝えることが最初の一歩

がん情報サービスと東京都がんポータルサイトは、おおむね次の流れを示しています。

  • 今の説明(ファーストオピニオン)を十分に理解する——診断名、病状、進行の程度、勧められている治療法とその理由を確認する
  • 自分が何を聞きたいのかを整理する——「ほかの治療法はあるか」「この治療を選ばなかった場合どうなるか」など、質問の形にしておく
  • 主治医に、別の医師の意見も聞きたいと伝える
  • 受ける医療機関を決め、その窓口に連絡して手続き・費用・所要時間を確認する
  • 紹介状(診療情報提供書)と、これまでの検査結果のデータ(血液検査、病理検査・病理診断の記録、CT・MRIなどの画像データ)を用意してもらう
  • セカンドオピニオンを受ける——聞きたいことをメモにし、可能なら信頼できる人に同席してもらう
  • 結果を主治医に報告し、今後の治療方針をあらためて相談する

順番として大事なのは、最初に主治医に伝えることです。紹介状と検査データは主治医の側で用意するものなので、黙って進めようとすると手続きそのものが成り立ちません。

費用——意見を聞く外来は自費、紹介元の書類は保険

費用は2か所で発生し、扱いが異なります。

意見を聞く側(セカンドオピニオン外来)は公的医療保険が適用されない自由診療で、全額自己負担です。金額は医療機関ごとに設定されており、東京都がんポータルサイトには都内のがん診療連携拠点病院等のセカンドオピニオン窓口の一覧(窓口名・対応時間・料金)が掲載されていて、そこには「30分11,000円」から数万円台までの設定が並んでいます。時間制になっていることが多いため、聞きたいことを事前に絞っておくと無駄がありません。

紹介元(今の主治医の医療機関)で書類と検査データを用意してもらう費用は、健康保険の対象です。前述の診療情報提供料(Ⅱ)にあたり、3割負担ならおおむね1,500円程度です。「セカンドオピニオンは全部自費で高額」というイメージがありますが、書類の部分は保険の枠内です。

がん以外の病気でも受けられるのか

保険の条文は病気の種類を限定していません。 診療情報提供料(Ⅱ)は「治療法の選択等に関して当該保険医療機関以外の医師の意見を求める患者からの要望を受けて」と書かれているだけで、がんに限る条件は付いていません。制度上は、整形外科の手術やその他の領域でも同じ枠組みを使えます。

一方で、受け入れ側の体制が整っているのは主にがんの領域です。厚生労働省の整備指針は、がん診療連携拠点病院の指定要件として、対応可能ながんについて手術療法・放射線療法・薬物療法または緩和ケアの専門的な知識・技能を有する医師によりセカンドオピニオンを提示する体制を整備し、患者にわかりやすく公表することを求めています。がん以外の領域では、そこまで一律の整備は行われていません。

したがって実務的には、がん以外の相談では「セカンドオピニオン外来」という窓口が用意されているかを、受けたい医療機関に個別に確認することになります。窓口が無い場合でも、主治医に相談すれば、意見を聞ける医師を紹介してもらえることがあります。

探すときの入り口——がん相談支援センター

どこで受けられるかが分からないとき、がんについては公的な相談窓口があります。全国のがん診療連携拠点病院などに設置されているがん相談支援センターです。

  • 誰でも無料で利用できます。 患者本人でも家族でもよく、その病院にかかっていない地域の人でも相談できます
  • 匿名でも相談できます。 相談した内容は、本人の同意なく主治医やほかの人に伝わることはありません
  • 看護師やソーシャルワーカーなど、がんについて詳しい相談員が対応します
  • 業務のひとつとして「患者の治療に関する意思決定支援、セカンドオピニオンに関する情報提供」が整備指針に明記されており、地域でセカンドオピニオンを受けられる病院や、各病院の専門領域についての情報が得られます

なお整備指針は、拠点病院の側にも説明を求めています。 診断結果や病状の説明時および治療方針の決定時などに、すべてのがん患者とその家族に対して、他施設でセカンドオピニオンを受けられることを説明すること、その際「心理的な障壁を取り除くことができるよう留意すること」という要件です。言い出しにくさは、制度の側もあらかじめ想定しているわけです。

また、移動が難しい場合には、オンラインでのセカンドオピニオンを行う医療機関もあります。整備指針も、拠点病院に対してオンラインでの相談を受け付ける体制の確保を求めています(都道府県拠点病院では、居住地域にかかわらず受けられるようオンラインの実施体制を整備することが要件)。オンラインでの診療全般についてはオンライン診療のつかいどころもあわせてご覧ください。

よくある誤解

誤解1:「セカンドオピニオンを受けるのは、転院すること」

違います。前述のとおり、今の主治医のもとで治療を続けることを前提に、別の医師の意見を聞く仕組みです。意見を聞いた結果、その病院で治療を受けたくなった場合には、あらためて転院の手続きが必要になります。

誤解2:「主治医に黙って受けるものだ」

黙って受けることは、事実上できません。紹介状とこれまでの検査データを持参することが前提だからです。データが無いまま口頭の説明だけで意見を求めても、判断のもとになる情報が足りず、意見の精度が落ちます。同じ検査をやり直すことになれば、時間も費用も余計にかかります。

誤解3:「セカンドオピニオンにも健康保険が使える」

意見を聞く外来は自由診療で、全額自己負担です。ただし紹介元で書類と検査データを用意してもらう費用は保険の対象で、負担額は大きくありません。「自費の部分」と「保険の部分」が分かれていると理解しておくと、費用の見通しが立てやすくなります。

誤解4:「別の医療機関を普通に受診すれば、それがセカンドオピニオンになる」

紹介状を持たずに別の医療機関を受診するのは、通常の受診です。診察も検査も受けられますが、それまでの経過や検査結果が伝わらないため、検査のやり直しが生じ、判断の材料もそろいません。意見だけを聞く枠組みと、あらためて一から診てもらうことは別のものです。

こう考えて使うとよい

自分の場面に当てはめて考えるときの軸を挙げます。

  • 選択肢が複数あり、どれも一長一短のときは、意見を聞く価値が大きくなります。「これしか方法がない」という状況より、「いくつかの方法があり、どれを選ぶか」という状況のほうが、第2の意見が効きます
  • あとから元に戻せない選択の前は、時間を使う理由になります。判断に迷いが残ったまま進めるより、一度立ち止まったほうが納得して臨めます
  • まず主治医にもう一度聞く。 「説明が理解できていない」段階なら、別の医師を探すより、主治医に聞き直すほうが早く解決することが多くあります。それでも判断がつかないときが、セカンドオピニオンの出番です
  • 急ぐべき状況かどうかを主治医に確認する。 治療の開始を遅らせてよい状況かは病状によって異なります。「意見を聞くために何週間かかけても差し支えないか」は、率直に聞いてよい質問です
  • 聞きたいことを質問の形にしてから行く。 時間制の外来なので、「ほかにどんな方法があるか」「この方法を選ばない場合どうなるか」など、あらかじめ絞っておくと得られるものが増えます
  • 主治医への不信が理由なら、目的を分けて考える。 「別の意見が聞きたい」のか「別の医師に診てもらいたい」のかで、必要な手続き(セカンドオピニオンか、転院の相談か)が変わります

監修者からのひとこと

外来で「実は、別の先生の意見も聞いてみたいのですが」と言われて、気分を害したことは一度もありません。むしろ、自分の治療を自分のこととして考えている方だと受け取ります。

困るのは、黙って他院に行き、こちらの検査結果が渡らないまま話が進んでしまう場合です。同じ検査をやり直すことになり、患者さんの時間と費用が余計にかかります。データをそろえて送り出すのは、こちらの仕事です。迷ったら、まず一言かけてください。

よくある質問

Q. セカンドオピニオンを希望すると、主治医との関係が悪くなりませんか。

A. セカンドオピニオンは、今の主治医のもとで治療を続けることを前提とした仕組みで、紹介状と検査データを主治医に用意してもらうことが手続きの一部になっています。がん診療連携拠点病院については、治療方針を決めるときなどに他施設でセカンドオピニオンを受けられることを患者と家族に説明すること、その際に心理的な障壁を取り除くよう留意することが、厚生労働省の整備指針で求められています。

Q. 費用はどれくらいかかりますか。

A. 意見を聞くセカンドオピニオン外来は公的医療保険が適用されない自由診療で、金額は医療機関ごとに異なります。東京都がんポータルサイトの一覧では、都内の拠点病院等の窓口について「30分11,000円」から数万円台までの設定が掲載されています。一方、紹介元で書類と検査データを用意してもらう費用は健康保険の対象で、3割負担の場合はおおむね1,500円程度です。

Q. 主治医に言わずに受けることはできますか。

A. 事実上できません。紹介状(診療情報提供書)とこれまでの検査結果のデータを持参することが前提で、それを用意するのは今かかっている医療機関です。データが無いまま意見を求めても、判断の材料が足りません。

Q. がん以外の病気でも受けられますか。

A. 健康保険の仕組み(診療情報提供料(Ⅱ))は病気の種類を限定していないため、制度上はがん以外でも使えます。ただし、セカンドオピニオンを提示する体制が指定要件として整備されているのは主にがんの領域です。がん以外では、受けたい医療機関に窓口があるかを個別に確認するか、主治医に相談して意見を聞ける医師を紹介してもらう形になります。

Q. 本人が行けない場合、家族だけで受けられますか。

A. 厚生労働省の資料では、診療情報提供料(Ⅱ)は「患者又はその家族からの申し出」に基づき、患者または家族に文書を提供した場合に算定するとされており、家族が窓口になる場面は制度上も想定されています。ただし、本人が同席しない相談を受け付けるかどうかは医療機関ごとに異なるため、予約の際に確認してください。

Q. セカンドオピニオンを受けた病院で、そのまま治療を受けられますか。

A. セカンドオピニオンの場では診察・検査・治療は行いません。その病院で治療を受けたい場合は、あらためて受診・転院の手続きが必要になります。まず意見を聞き、そのうえで主治医と相談して決める、という順番が本来の使い方です。

Q. どこで受けられるか分からないときは、どこに相談すればよいですか。

A. がんについては、全国のがん診療連携拠点病院などに設置されているがん相談支援センターが相談先になります。誰でも無料・匿名で利用でき、その病院にかかっていない人でも相談できます。地域でセカンドオピニオンを受けられる病院や、各病院の専門領域についての情報が得られます。

出典・参考文献

あわせて読みたい記事:紹介状(診療情報提供書)はなぜ必要?「かかりつけ医」を持つと何がいいの?「専門医」「指導医」「認定医」の違いって?

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