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M&A仲介 選び方
承継・M&A 2026.08.05

M&A仲介の選び方2026|手数料相場と登録支援機関制度で失敗しない確認点

後継者不在のクリニックを次世代へ引き継ぐとき、多くの院長がまず頼るのがM&A仲介会社です。ただ、業者ごとに立場も手数料体系も大きく異なり、選び方を誤ると条件面でも費用面でも後悔しかねません。この記事では、仲介とアドバイザリーの違いから、公的な登録制度、手数料の見方までを一次情報にもとづいて整理します。

動画で解説

この記事の要点

  • M&A仲介の選び方でまず確認したいのは、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者かどうか。事業承継・M&A補助金の利用条件にもなっています(出典:中小企業庁/2026年)。
  • 手数料は着手金・月額報酬・中間金・成功報酬に分かれ、成功報酬は取引額に応じて料率が下がる「レーマン方式」が主流。ただしクリニックのような小規模案件では最低報酬額(500万〜2,000万円程度)が実質的な負担を左右します。
  • 契約前に、手数料の内訳・利益相反への姿勢・担当者の実績を書面で確認することが、2024年改定の「中小M&Aガイドライン(第3版)」でも求められています。

M&A仲介とFA(アドバイザリー)は何が違う?

M&A仲介とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の最大の違いは、誰の立場に立つかにあります。仲介は売り手と買い手の間に入り双方から手数料を受け取って成約を目指す一方、FAは売り手か買い手のどちらか一方と契約し、その依頼者の利益最大化を支援します。

クリニックの承継では、相手を早く見つけたい売り手と買い手をつなぐ仲介型が広く使われています。ただし双方から報酬を得る構造上、利益相反のリスクがある点は理解しておく必要があります。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」では、仲介者に禁止される利益相反事項の具体化や、最終契約前に別の専門家へ意見を求めるセカンドオピニオンの活用が示されています(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版/2024年8月)。売り手として自分の利益をどこまで代弁してもらえるのかを、契約前に確かめておきたいところです。

M&A仲介の選び方で最初に確認すべきことは?

信頼できる相手かどうかを見極める第一歩は、公的な登録の有無です。国が要件を定めた「M&A支援機関登録制度」に登録されているかを確認することで、一定の基準を満たした事業者かを客観的に判断できます。

M&A支援機関登録制度とは?

M&A支援機関登録制度は、中小企業庁が中小企業の安心なM&Aを後押しするために設けた制度です。登録には、中小M&Aガイドラインの遵守宣言、料金表の提出、反社会的勢力の排除、情報公開への同意などが求められます。令和8年度(2026年度)の公募は2026年5月29日から2027年2月12日まで受け付けられています(出典:中小企業庁「M&A支援機関登録制度の申請受付(令和8年度公募)」/2026年5月)。登録事業者は制度の公式サイトで一覧・検索できるため、依頼を検討する業者が登録済みかを事前に照合できます。

なぜ登録された仲介を選ぶと安心なのか?

登録機関を選ぶ実務的なメリットは、公的支援とつながっている点にあります。事業承継・M&Aに関する国の補助金(専門家活用にかかる費用の一部補助)では、登録されたM&A支援機関の関与が支給の要件とされてきました。つまり登録の有無は、信頼性の目安であると同時に、補助金を活用できるかどうかにも直結します(2026年8月時点)。制度の詳細や対象経費は年度で変わるため、申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。

M&A仲介の手数料はいくらかかる?

手数料の全体像は、支払うタイミングごとに分けて捉えると理解しやすくなります。M&A仲介の費用は一般に次の4種類で構成され、どれを採用するかは業者ごとに異なります。

費用の種類支払うタイミング概要
着手金契約締結時依頼開始時に支払う。無料の業者も増えている
月額報酬(リテイナー)契約期間中に毎月支援期間に応じて発生。設定しない業者もある
中間金基本合意時など成約前の節目で支払う。成功報酬の一部前払いの位置づけが多い
成功報酬最終契約・クロージング時成約時に支払う。レーマン方式が主流

近年は着手金や中間金を設けない「完全成功報酬型」も増えています。ただし成功報酬の料率や最低金額が高く設定されていれば総額は膨らむため、「無料」という言葉だけで判断しないことが大切です。

レーマン方式の料率はどう決まる?

成功報酬の計算で最も使われるのがレーマン方式です。取引金額をいくつかの帯に分け、金額が大きい帯ほど低い料率をかけて合算する仕組みで、一般的な料率は以下のとおりです(出典:M&A実務における一般的な料率体系/報道・専門事業者による)。

取引金額の帯料率
5億円以下の部分5%
5億円超〜10億円以下の部分4%
10億円超〜50億円以下の部分3%
50億円超〜100億円以下の部分2%
100億円超の部分1%

注意したいのは、料率をかける「基準額」が業者によって異なる点です。株式価値を基準にするか、負債を含めた企業価値や総資産を基準にするかで、同じ取引でも成功報酬額は変わります。譲渡額(のれんを含む評価)の考え方はクリニックM&Aの相場は?のれん(営業権)の評価方法でも解説しています。見積もりを比べる際は、料率だけでなく何を基準額にしているかまで確認しましょう。

クリニックのM&Aで手数料が割高になりやすいのはなぜ?

小規模なクリニックの承継では、料率よりも「最低報酬額」が費用を左右します。多くの仲介会社は成功報酬に最低金額を設けており、その水準は500万円から2,000万円程度まで業者によって幅があります(報道・専門事業者による)。譲渡額が小さい案件では、レーマン方式で計算した金額より最低報酬額のほうが高くなり、実質的な負担率が跳ね上がることがあります。小規模案件では固定報酬型のほうが総額を抑えられる場合もあるため、最低報酬額がいくらに設定されているかを最初に確認し、無理のない収支計画を立てることが欠かせません。

失敗しないM&A仲介の選び方チェックポイントは?

選定の判断は、次の観点を書面ベースで突き合わせると精度が上がります。中小M&Aガイドライン(第3版)は、手数料の内訳やプロセスごとの提供業務、担当者の保有資格・経験年数・成約実績を説明するよう仲介者に求めています。

  • M&A支援機関登録制度に登録されているか(公式サイトで照合)
  • 手数料の種類・料率・最低報酬額・基準額が料金表で明示されているか
  • 医療機関やクリニックの承継実績があるか
  • 利益相反への方針とセカンドオピニオンの取り扱いが説明されるか
  • 担当者の資格・経験年数・成約実績が確認できるか
  • 契約前に業務内容と対価の説明を書面で受けられるか

よくある質問(FAQ)

Q. M&A仲介とFAはどちらを選ぶべきですか?

A. 相手探しから成約まで一気通貫で任せたい場合は仲介、自分の利益を最優先に交渉してほしい場合はFAが向くとされます。クリニック承継では仲介型が多いものの、利益相反の説明を受けたうえで選ぶことが重要です。

Q. M&A支援機関に登録されているか、どこで確認できますか?

A. 中小企業庁のM&A支援機関登録制度の公式サイトで、登録事業者を一覧・検索できます。依頼前に業者名で照合することをおすすめします(2026年8月時点)。

Q. 手数料の相場はどのくらいですか?

A. 成功報酬はレーマン方式(取引額5億円以下の部分で5%など)が主流ですが、小規模なクリニックでは最低報酬額(500万〜2,000万円程度)が適用されるケースが多く、これが実質的な費用を決めます(報道・専門事業者による)。

Q. 事業承継・M&Aの補助金は使えますか?

A. 国の補助金では、登録されたM&A支援機関の関与が要件とされてきました。対象経費や公募期間は年度で変わるため、申請前に最新の公募要領を確認してください。

Q. 契約前に必ず確認すべきことは何ですか?

A. 手数料の内訳と最低報酬額、利益相反への方針、担当者の実績です。中小M&Aガイドライン(第3版)でも、これらを書面で説明するよう求められています。

今すべきこと(チェックリスト)

  • 検討中の仲介会社が「M&A支援機関登録制度」に登録されているかを公式サイトで確認する
  • 複数社から見積もりを取り、料率・最低報酬額・基準額を並べて比較する
  • 手数料と提供業務の説明を書面で受け取り、利益相反の方針を確かめる

後継者不在の解消は、条件の良し悪しだけでなく、患者やスタッフをどう引き継ぐかまで含めた設計が成否を分けます。承継全体の進め方は医院承継の流れを6ステップで解説、選択肢の整理は後継者不在のクリニックはどうする?5つの選択肢もあわせてご覧ください。株式会社ENでは、開業支援・事務長代行から医業承継(M&A)までをワンストップで支援しています。仲介会社の選定や手数料の妥当性、承継後の運営体制に不安がある場合は、早めにご相談ください。


公開日:2026年8月5日/最終更新日:2026年8月5日

本記事は制度・手数料に関する一般的な情報を整理したものです。個別のM&Aの進め方や税務・法務の判断は、医師・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

著者プロフィール
鎌形 博展(かまがた ひろのぶ)/ 株式会社EN 代表取締役社長。クリニックの開業支援・事務長代行・医業承継(M&A)をワンストップで手がける株式会社ENを率いる。制度改正が相次ぐ医療業界において、開業・承継の実務に精通した立場から現場に即した情報発信を行っている。
医療法人社団季邦会 理事長(首都圏7拠点運営)、東京医科大学救急災害医学講座 非常勤医師
社会医学系専門医指導医、慶應義塾大学大学院経営管理研究科 田中滋・中村洋ゼミ出身

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参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の契約判断を保証するものではありません。実際の仲介契約の締結にあたっては、弁護士・税理士等の専門家に必ずご確認ください。数値・制度は2026年8月時点の情報に基づきます。

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