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ベースアップ評価料 2026
経営・集患 2026.08.10

ベースアップ評価料2026とは?点数・対象職種・届出を解説【令和8年度】

ベースアップ評価料は、2026年6月1日施行の令和8年度診療報酬改定で点数が最大約3.8倍に拡充され、対象職種も広がりました。賃上げ財源を確保できる制度である一方、「現に算定している医療機関も再届出が必要」という見落としやすい落とし穴があります。クリニック経営者が今、何を確認し、どう動くべきかを一次情報で整理します。

この記事の要点

  • 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の初診は、2024年度版の6点から新規17点・継続23点へ増点された(令和8年厚生労働省告示第69号)。
  • 対象は医師・歯科医師以外の幅広い医療従事者が基本で、2026年改定では事務職員の裾野拡大に加え、40歳未満の勤務医師などが新たに対象へ加わったとされる。
  • 6月1日の当初期限は終了しているが、要件を満たせば以降も届出により翌月から算定でき、算定中の医療機関は毎年8月の実績報告(様式98)を忘れてはならない。

ベースアップ評価料とは?2026年改定でどう変わった?

ベースアップ評価料は、医療従事者の賃上げ(ベースアップ)を診療報酬で下支えするために2024年6月改定で新設された加算です。令和8年度改定では点数が大幅に引き上げられ、賃上げ財源としての役割が一段と重くなりました。

制度は二階建てで理解すると整理しやすくなります。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)が受診1件ごとに算定する「一般枠」、同(Ⅱ)はⅠだけでは賃金改善の原資が足りない医療機関向けの「上乗せ枠」です。今回の改定率は本体プラス3.09%(全体プラス2.22%)で、本体が3%台となるのは約30年ぶり。賃上げと医療DXの推進が2大テーマに位置づけられています(出典:日本医師会「日医on-line」/2026年1月)。なお内科クリニックの改定対応は生活習慣病管理料2026改定の実務対応もあわせてご確認ください。

ベースアップ評価料2026の点数はいくら?

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は、「新規賃上げ機関」と「継続賃上げ機関」の2区分で点数が設定されています。継続枠のほうが高く評価される構造です。

区分新規賃上げ機関継続賃上げ機関2024年度版(参考)
初診17点23点6点
再診時等4点6点2点
訪問診療(同一建物居住者以外)79点107点28点
訪問診療(その他)19点26点

初診で見ると、新規で約2.8倍、継続で約3.8倍の増点です(出典:令和8年厚生労働省告示第69号/2026年3月5日)。上乗せ枠である(Ⅱ)は初診8〜96点・再診1〜12点の12段階へ、入院ベースアップ評価料は1点刻みで1〜250段階へと拡大し、2027年6月以降はさらに区分が広がる予定とされています(2026年8月時点)。

「継続」枠に入れるかは、次のいずれかで判定します。令和8年3月31日時点で既にベースアップ評価料を届け出済みであること、または令和6年3月と比べて対象職員に所定水準のベースアップ実績(一般職員は令和8年度時点で5.5%以上、看護補助者・事務職員は8%以上など)を達成していることです(出典:厚労省 疑義解釈資料その3/2026年4月20日、告示第69号)。

ベースアップ評価料2026の対象職種は?事務職員や勤務医は入る?

対象となるのは、医師・歯科医師を除く幅広い医療従事者です。看護職員、薬剤師、リハビリ職、そして受付などの事務職員が含まれます。一方で、開設者・管理者・法人代表者・役員は対象職員に含まれません。院長本人や勤務医は賃金改善の計算から除外するのが原則です(出典:厚労省 疑義解釈資料その4 別添2 問1/2026年4月21日)。

注目すべきは対象の裾野の広がりです。2026年改定では、これまで対象外だった40歳未満の勤務医師・歯科医師や薬局の勤務薬剤師などが新たに賃上げの対象へ加わったとされ、若手層の処遇改善に踏み込む内容になっています(2026年8月時点。詳細は自院の状況に照らし厚労省資料で確認が必要です)。なお、一定要件を満たす派遣職員は対象にできますが、請負業務の従事者は対象外です。

小規模なクリニックでも、医師と受付事務の少人数体制であれば、事務職員1名の賃金改善を計画・実行することで算定できる場合があります。制度は大病院だけのものではありません。

ベースアップ評価料2026の届出はいつまで?6月1日を過ぎたら?

届出のスケジュールは、算定を始めたい診療月の前月末を軸に動きます。令和8年6月診療分から算定するための当初受付は5月7日〜6月1日必着(混雑回避のため5月18日までが推奨、電子申請は5月25日開始)とされていました(出典:厚労省 疑義解釈資料その3 別添1 問2/2026年4月20日)。

当初期限は既に過ぎていますが、算定の道が閉じたわけではありません。要件を整えて届出をすれば、以降も原則として翌月以降の診療分から算定できます。期限を過ぎた月の分は算定できず翌月以降にずれ込むため、着手の遅れがそのまま加算収入の空白につながる点に注意してください。医療DX関連の加算対応は電子処方箋の導入補助(2026年)もあわせて検討するとよいでしょう。

見落としやすいのが「再届出」です。改定で点数と施設基準が変わったため、改定前から算定していた医療機関も、2026年6月以降に算定を続けるには改めて施設基準を届け出る必要があります。以前の届出は自動では引き継がれません(出典:厚労省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料に係る施設基準の届出について(周知)」/2026年4月24日事務連絡)。

ベースアップ評価料の施設基準と実績報告は?

施設基準の柱は、賃金改善を実際に行う体制をつくり、その計画と実績を届け出ることです。届出時には賃金改善計画書(様式95〜97)や対象職員の状況(様式99)、月額賃金総額算出表(様式100)などを提出します。あわせて、対象職員への「賃金改善実施方法」の周知(計画書の配布や休憩室への掲示など)が求められます。

年間の運用で特に重要なのが実績報告です。算定中の医療機関は、前年度の賃金改善実績を賃金改善実績報告書(様式98)として毎年8月に地方厚生(支)局へ提出します。8月は実績報告の時期にあたるため、計画と実績の突き合わせを早めに進めておくと安心です。賃上げの原資は基本給のベースアップだけでなく、賞与・時間外手当・法定福利費(事業者負担の増加分、概算で最大16.5%まで)にも充てられます(出典:厚労省 疑義解釈資料その3 別添2/2026年4月20日)。窓口対応の制度変更は「期限切れ健康保険証」は8月1日から使用不可もあわせて確認しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1. スタッフが医師と受付事務の2名だけでも算定できますか?

算定できる可能性があります。開設者である医師本人は対象外ですが、受付の事務職員は「幅広い医療従事者」に含まれます。ただし、その職員の賃金改善を計画・実行し、計画書と実績報告を継続して提出する体制が必要です。

Q2. これまで同じ評価料を算定してきました。何もしなくてよいですか?

再届出が必要です。改定で点数・要件が変わったため、改定前の届出はそのまま生きません。2026年6月以降も算定するには、改めて施設基準を届け出る必要があります。

Q3. 「新規」枠と「継続」枠はどう決まりますか?

令和8年3月31日時点で届出済みか、令和6年3月比で所定水準のベースアップ実績(一般職員5.5%以上、事務職員等8%以上など)を満たすかで「継続」枠に入れます。いずれも満たさない場合は「新規」枠の点数になります。

Q4. ベースアップさせた職員が年度途中で退職したらどうなりますか?

実績報告(様式98)では、退職者・入職者を含めた実際の賃金改善額を計上します。実績が計画を下回った場合は、差額をベア・賞与・一時金で補填することが求められるため、会計・社労士と早めに相談するのが安全です。

Q5. 算定しない選択もできますか?

「算定しない」ことも選べます。ただしその場合も届出をしないと、以前の加算収入はそこで打ち切りになります。賃上げ財源を手放す判断は、院長・会計・社労士で共有したうえで行うことをおすすめします。

今すべきこと(クリニック経営者向けチェックリスト)

  • 自院が「新規」か「継続」かを判定する:届出履歴(令和8年3月31日時点)と、令和6年3月比のベースアップ実績を確認する。
  • 未届出なら翌月算定に向けて準備する:賃金改善計画書(様式95〜100)を作成し、前月末までの届出を目指す。
  • 算定中なら8月の実績報告を優先する:賃金改善実績報告書(様式98)の提出に向け、計画と実績を突き合わせる。
  • 対象職員への周知を整える:計画書の配布や休憩室掲示など、施設基準を満たす形にする。

制度の対象範囲・区分判定・賃金改善計画は、医療機関ごとの職員構成や賃金体系によって最適解が変わります。届出書類の作成、事務長業務の負荷、賃上げ原資の設計に不安がある場合は、開業支援・事務長代行・医業承継をワンストップで手がける株式会社ENにご相談ください。制度対応と日々の運営を、現場に即した形で伴走支援します。


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参考・出典

※本記事は2026年8月時点で公表されている情報に基づく一般的な解説です。点数・対象範囲・届出要件は今後の疑義解釈や通知で更新される可能性があります。自院の具体的な算定可否・区分判定・賃金改善計画の妥当性については、所轄の地方厚生(支)局や税理士・社会保険労務士など専門家に必ずご確認ください。

公開日:2026年8月10日/最終更新日:2026年8月10日


鎌形 博展(かまがた ひろのぶ)/ 株式会社EN 代表取締役社長。クリニックの開業支援・事務長代行・医業承継(M&A)をワンストップで手がける株式会社ENを率いる。制度改正が相次ぐ医療業界において、開業・承継の実務に精通した立場から現場に即した情報発信を行っている。
医療法人社団季邦会 理事長(首都圏7拠点運営)、東京医科大学救急災害医学講座 非常勤医師
社会医学系専門医指導医、慶應義塾大学大学院経営管理研究科 田中滋・中村洋ゼミ出身

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の算定可否を保証するものではありません。実際の届出や賃金改善の実施にあたっては、管轄の地方厚生局および社会保険労務士等の専門家に必ずご確認ください。数値・制度は2026年8月時点の情報に基づきます。

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