お医者さんの学歴って重要なの?

お医者さんの学歴って重要なの?

本記事について

この記事は、特定の大学・特定の医師を評価するものではありません。「学歴をどう見るか」という考え方の整理にとどめ、特定の医療機関や医師を推薦するものでもありません。

医学的な制度の説明は厚生労働省の公開資料を出典にしています(末尾に一覧)。学歴と臨床能力の関係を直接示す公的な研究は確認できませんでした。確認できないことは、確認できないと書きます。

目次

はじめに

「有名な大学を出ている先生のほうが、なんとなく安心できる気がする」——クリニックや病院を選ぶとき、こう感じたことがある方は多いのではないでしょうか。医師のプロフィールに出身大学が書かれていると、つい目が行きますし、聞いたことのある大学名だと「この先生は優秀そうだ」と思ってしまうのも自然なことです。

当サイトでは、これまでの記事で各院の院長について「専門医資格」や「研修・勤務の経歴」を中心に紹介してきました。出身大学そのものを選定の軸にはしていません。なぜ学歴を軸にしないのか、そして経歴とは何が違うのかを、この記事で整理します。

出身大学(学歴)は、医学部に入学した時点の学力を示すものであり、卒業後にどれだけ臨床経験を積み、どんな専門性を身につけたかとは別の情報です。当サイトの監修医師の見解では、経歴(研修先・勤務先)や専門医資格、研究テーマのほうが、学歴よりも今の臨床能力との関連性が高いと考えられます。もちろん、学力が高いに越したことはありませんが、それだけで診療の実力が決まるわけではありません。「どこでどんな研修・研究をしてきたか」という経歴は学歴とは別のものとして意味を持つため、学歴と経歴を混同しないことが大切です。

学歴が示すもの、示さないもの

出身大学という情報が直接示しているのは、基本的には「医学部を受験した時点での学力」です。医学部への入学は難易度の高い試験を経る必要があるため、どの大学であっても一定の学力があったことは分かります。

一方で、医師としての臨床能力は、卒業後の臨床研修・専門研修・その後の診療経験の積み重ねによって形づくられていきます。入学時点の学力と、その後何十年にもわたって続く研鑽の中身は、別の時間軸の話です。

この点は、日本の医師の研修制度そのものにも表れています。医学部卒業後の「臨床研修」は、出身大学の枠にとらわれず全国の病院から研修先を選べる仕組み(医師臨床研修マッチング制度)になっており、多くの医師が出身大学とは別の病院で最初の研修を積みます。制度の設計自体が、卒業後のキャリアを出身大学に固定していないということです。

経歴(研修歴・勤務歴)は学歴とは別のもの

当サイトの他の記事では、院長の紹介で「〇〇大学を卒業後、〇〇病院で研修」「大学病院の〇〇科に所属」といった経歴を紹介することがあります。これは学歴を評価しているのではなく、卒業後にどこで何を経験してきたかという経歴の情報です。

大学病院での研修歴や研究歴は、症例数の多い環境で研鑽を積んだ、特定の領域を深く学んだ、といった実績として意味を持つ場合があります。ただし、それは「どの大学の医学部に入ったか」ではなく「卒業後にどこで何をしてきたか」という別の軸の話です。同じ大学の出身であっても、その後の経歴は医師によって大きく異なります。

学力と臨床能力の関係について、一般的に言えること

「学力の高い人ほど、その後の臨床能力も高くなる」という単純な関係を直接示す公的な研究・統計は、調べた範囲では確認できませんでした。医学教育や医師のキャリアに関する議論の中では、入学時点の学力と、卒業後何十年にもわたる臨床能力の関係は別問題として扱われるという見方が一般的です。

学歴と臨床能力を直接結びつける公的な根拠が無い一方で、当サイトの監修医師は、経歴(どこでどんな研修・診療を積んできたか)や専門医資格、研究テーマのほうが、今の臨床能力との関連性が高いという見解を持っています。これは断定的な研究結果ではなく、臨床の現場に長く身を置いてきた一人の医師としての見解です。学力が高いに越したことはありませんが、それだけで実力が決まるわけではない、というのがこの記事の立場です。

よくある誤解

誤解1:「有名大学出身の先生なら安心」入学時点の学力の高さと、その後何十年もの臨床経験・研鑽の質は別の話です。有名大学の出身であることは、現在の診療内容の質を保証するものではありません。

誤解2:「経歴が書いていない医師は、質が低い」経歴を公表するかどうかは、医師・医療機関ごとの方針の違いによるところが大きく、公表していないことがそのまま質の低さを意味するわけではありません。地域に根差して長年診療を続けてきた医師の中にも、経歴を詳しく公表していない方は多くいます。

誤解3:「学歴が高い医師のほうが、専門医資格を多く持っている」専門医資格は、学会が定めた研修期間と試験を経て取得するものです。出身大学の難易度と、卒業後にどの専門医資格を取得したかは別の話であり、両者が連動するという根拠は確認できませんでした。

誤解4:「学歴を見ても意味がないので、まったく見なくてよい」これも行き過ぎです。経歴(研修先・勤務先・研究テーマ)の情報の中には、出身大学名を含むものもあります。「学歴を無視する」のではなく、「学歴だけで判断しない」というのが、当サイトの立場です。

こう考えて選ぶとよい

学歴の代わりに、次のような情報のほうが、今の診療の実力に近い手がかりになります。

  • 専門医資格・指導医資格——学会が定めた期間の研修と試験を経ていることの証明です。取得後の更新が必要な資格もあり、継続的な研鑽の目安になります(選定ポリシー:医療の質にどう近づくか
  • 研修先・勤務先の実績——どの病院で、何年、何を経験してきたか。症例数の多い環境での経験や、特定領域での勤務歴は、経歴として意味を持ちます
  • 開業からの年数・地域での実績——同じ場所で長く診療を続けていること自体も、ひとつの手がかりになります
  • 研究テーマ・所属学会——学位論文や発表論文がある場合、その医師が何年も向き合ってきたテーマが分かります。ただし、開業医の大半は臨床に専念しており、研究の有無は優劣を意味しません

いずれも、「この医師が優れている」と序列をつけるための情報ではなく、その医師が何を積み重ねてきたかを知るための手がかりとして見ていただくものです。

監修者からのひとこと

学歴よりも、経歴や専門医資格、研究テーマのほうが、臨床能力との関連性は高いと感じています。もちろん、頭が良いに越したことはありません。ただ、救急の現場でも、クリニックの経営や採用に関わる中でも、目の前の医師がどの大学の出身かより、それまでにどんな症例を診てきたか、どんな研修を積んできたかのほうが、実際の診療の質を推し量るうえでは参考になってきました。これは一人の医師としての実感であり、唯一の正解ではありません。

※この節は監修医師本人のコメントをもとにしていますが、公開前に本人の最終確認・文言調整が必要です。

よくある質問

Q. 出身大学が偏差値の高い大学だと、その医師の腕も良いということですか?

A. 入学時点の学力の高さと、卒業後何十年にもわたる臨床経験・研鑽の質は別のものです。偏差値の高い大学の出身であることが、現在の診療内容の質を直接示すわけではありません。

Q. 医師のプロフィールに出身大学が書いていない場合、何か問題があるのですか?

A. 経歴を公表するかどうかは医師・医療機関ごとの方針によるところが大きく、公表していないことが質の低さを意味するわけではありません。

Q. 大学病院で研修したという経歴には意味がありますか?

A. あります。ただし、それは出身大学の評価ではなく、卒業後にどこでどんな研修・診療を積んだかという経歴の情報です。同じ大学の出身でも、その後の経歴は医師によって異なります。

Q. 専門医資格と出身大学は、どちらを見るべきですか?

A. 当サイトでは専門医資格・指導医資格や研修・勤務の経歴を重視しています。専門医資格は学会が定めた研修期間と試験を経て取得するもので、今の診療の実力に近い手がかりになると考えています。

Q. 出身大学はまったく見なくてよいのですか?

A. 「見なくてよい」とまでは言えません。経歴の情報の中には出身大学名を含むものもあります。学歴だけで判断しないことが大切、というのが当サイトの立場です。

Q. 学歴と臨床能力の関係を示す研究はあるのですか?

A. 調べた範囲では、学歴と臨床能力の関係を直接示す公的な研究は確認できませんでした。断定的な研究はないものの、当サイトの監修医師は経歴・専門医資格・研究テーマのほうが臨床能力との関連性が高いという見解を持っており、学歴を評価軸にはしていません。

出典・参考文献

※学歴と臨床能力の関係を直接示す公的な研究・統計は、調べた範囲では確認できませんでした。本記事の「学歴と経歴は別のものである」という整理は、医師臨床研修制度の設計や、当サイトの選定ポリシーの考え方にもとづく編集部・監修医師の見解です。

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