高血圧のことをもっと知って、もっと健康に。
血圧を下げる飲み物とは?おすすめの飲み物7選

血圧を下げる飲み物とは?おすすめの飲み物7選

毎日の血圧対策。飲み物の選択だけでも効果があります。今回は高血圧対策として有効なお勧めの飲み物7選をご紹介します。

目次

  1. 飲み物が血圧に与える影響
  2. 血圧を下げる効果が期待できる飲み物7選
  3. 逆に血圧を上げる可能性のある飲み物
  4. 飲み物を活用した高血圧予防のコツ
  5. 1日の適切な水分摂取量と注意点
  6. まとめ
  7. 参考文献

1. 飲み物が血圧に与える影響

水分不足と血圧の関係

水分不足は血液の粘度を高め、血管内を流れる血液の抵抗が増加することで血圧上昇のリスクを高める可能性があります。特に高齢者は加齢に伴い喉の渇きを感じにくくなるため、意識的な水分補給が重要です。

脱水状態になると、体内の血液量が減少して血圧を維持するために血管が収縮します。この代償機構により一時的に血圧が上昇することがあります。また、長期的な水分不足は腎臓の濾過機能に負担をかけ、血圧調節機能の低下につながる可能性があります。

飲み物に含まれる成分の作用

飲み物に含まれる様々な成分は、血管の拡張・収縮、ナトリウムの排出促進、レニン-アンジオテンシン系の抑制など、複数のメカニズムを通じて血圧に影響を与えます。ポリフェノール類、ミネラル、硝酸塩などの成分は、血圧を調整する生理活性物質として注目されています。

2. 血圧を下げる効果が期待できる飲み物7選

1. 緑茶

緑茶に含まれるカテキン(特にエピガロカテキンガレート:EGCG)は、血圧上昇に関与するアンジオテンシンI変換酵素(ACE)の活性を阻害することで、血圧の上昇を抑制する効果が報告されています。

複数の研究によると、緑茶を長期的に摂取することで収縮期血圧が2〜3mmHg、拡張期血圧が1〜2mmHg低下する可能性が示唆されています。また、緑茶に含まれるL-テアニンには、ストレスホルモンの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらす作用もあります。

摂取の目安:1日2〜3杯の緑茶が適量とされています。カフェインに敏感な方は、就寝前の摂取を避けることをお勧めします。

2. ルイボスティー

南アフリカ原産のルイボスティーには、強力な抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富に含まれており、血管の健康をサポートし、血圧の維持に寄与する可能性があります。

カフェインを含まないため、就寝前や緑茶・コーヒーの代替として摂取しやすいという利点もあります。また、抗酸化物質であるアスパラチンやノトファジンが含まれており、血管の炎症を抑制し、血管内皮機能を改善する効果が期待されています。

摂取の目安:カフェインフリーであることから、1日に複数回の摂取が可能です。

3. カリウム豊富なジュース(トマトジュース・オレンジジュース)

カリウムはナトリウムの排出を促進し、血圧の調整に重要な役割を果たします。トマトジュースやオレンジジュースはカリウムを多く含み、日常的な摂取が血圧管理に有益とされています。

特に無塩トマトジュースは、1日1缶(約200ml)の摂取で収縮期血圧を約3〜4mmHg低下させる効果が臨床研究で示されています。また、トマトに含まれるリコピンには血管内皮機能を改善する効果も期待されています。

オレンジジュースには、カリウムに加えてヘスペリジンというフラボノイドが含まれており、血管拡張作用と抗炎症作用により血圧低下に寄与します。

摂取の目安

  • トマトジュース:1日1缶(200ml)程度
  • オレンジジュース:1日1杯(180ml)程度
  • ※市販のジュースは糖分が多いため、無添加や低糖タイプを選ぶことをお勧めします。

4. 低脂肪乳

低脂肪乳にはカルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルが豊富に含まれており、これらのミネラルは血圧の調整に重要な役割を果たしています。

カルシウムは血管平滑筋の収縮を調整し、マグネシウムは血管拡張に関わっています。DASH食(高血圧予防のための食事法)でも低脂肪乳製品の摂取が推奨されており、複数の研究で低脂肪乳製品の摂取と血圧低下の関連が報告されています。

摂取の目安:1日1〜2杯(200〜400ml)の低脂肪乳が推奨されています。

5. ビーツジュース

ビーツに含まれる硝酸塩(ナイトレート)は、体内で亜硝酸塩(ナイトライト)を経て一酸化窒素(NO)に変換されます。一酸化窒素は強力な血管拡張作用を持ち、血圧を下げる効果が期待されています。

複数の臨床研究により、ビーツジュースの摂取によって収縮期血圧が4〜10mmHg低下することが報告されており、特に運動前の摂取は運動時の血圧上昇を抑制する効果も示されています。

摂取の目安:1日70〜140ml程度のビーツジュースが効果的とされています。市販のジュースだけでなく、生のビーツをジューサーで絞ったものも効果的です。

6. ココア

ココアに含まれるフラバノール(特にエピカテキンとカテキン)は、血管内皮での一酸化窒素の産生を促進し、血管の弾力性を高め、血圧を安定させる作用があると考えられています。

メタアナリシス研究では、高フラバノールココアの継続的な摂取により、収縮期血圧が約2〜3mmHg、拡張期血圧が約1〜2mmHg低下することが示されています。特に高血圧や心血管リスクの高い人で効果が顕著であるとの報告があります。

摂取の目安:1日1杯(200〜250ml)の無糖ココアが理想的です。市販の甘いココア飲料は糖分が多いため、純粋なココアパウダーを使用して自宅で作ることをお勧めします。

7. 水

適切な水分補給は、血液の粘度を正常に保ち、血圧の安定に寄与します。脱水状態を防ぐだけでなく、腎臓の濾過機能を維持し、余分なナトリウムの排出を促進する効果もあります。

特に起床時の水分摂取は、夜間の脱水状態を改善し、朝の血圧上昇(モーニングサージ)を緩和する可能性があります。また、常温の水よりも室温または温かい水のほうが体への負担が少なく、血圧変動を抑える効果が期待できます。

摂取の目安:成人は1日あたり約1.5〜2リットルの水分摂取が推奨されています。気温や活動量によって必要量は変動するため、尿の色が薄い黄色になるよう調整すると良いでしょう。

3. 逆に血圧を上げる可能性のある飲み物

カフェインを含む飲み物

コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどのカフェイン含有飲料は、交感神経系を刺激して一時的に血圧を上昇させる可能性があります。カフェインの摂取後30分〜2時間程度、収縮期血圧が5〜10mmHg上昇することがあります。

ただし、定期的にカフェインを摂取している方では耐性ができることがあり、影響が小さくなる傾向があります。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などのポリフェノールには、長期的には血圧を下げる効果があるという研究結果もあり、一概に避けるべきというわけではありません。

注意点

  • カフェインに敏感な方や高血圧の方は、1日200mg以下(コーヒー約2杯分)に抑えることが推奨されています。
  • 特に就寝前のカフェイン摂取は避けましょう。
  • デカフェ(カフェインレス)コーヒーは通常のコーヒーと比べて血圧上昇作用が少ないため、代替として検討できます。

アルコール

アルコールは少量であれば血圧に大きな影響を与えないとされていますが、過剰な摂取や習慣的な飲酒は血圧上昇のリスクを高める可能性があります。

アルコールは一時的に血管を拡張させる作用がありますが、大量または長期的な摂取は交感神経系の活性化、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の亢進、血管壁の炎症などを引き起こし、持続的な血圧上昇につながります。

注意点

  • 男性は1日あたり20g(日本酒1合、ビール中瓶1本、ワイングラス2杯程度)、女性はその半量を目安に
  • 連日の飲酒は避け、週に2日以上の休肝日を設ける
  • アルコール依存症のリスクがある方は、完全な断酒が推奨されます

砂糖の多い飲み物

清涼飲料水、甘いジュース、スポーツドリンクなどの糖分が多い飲み物の過剰摂取は、体重増加、インスリン抵抗性、炎症促進などを通じて、長期的に血圧上昇のリスクを高める可能性があります。

特に果糖(フルクトース)を多く含む飲料は、尿酸値の上昇や腎機能への悪影響などを通じて血圧上昇に関与する可能性が指摘されています。

注意点

  • 糖分の多い飲料は水や無糖のお茶に置き換える
  • フルーツジュースも天然の糖分を多く含むため、摂取量に注意
  • 砂糖入りの缶コーヒーや甘いココア飲料も控えめに

4. 飲み物を活用した高血圧予防のコツ

毎日の飲み方を工夫する方法

カフェイン摂取の調整

カフェインに敏感な方や高血圧の方は、以下の点に注意しましょう:

  • 午後2時以降のカフェイン摂取を控える
  • コーヒーや紅茶を飲む場合は、食事と一緒に摂ることで血圧上昇の影響を緩和できる
  • カフェインレスの選択肢(デカフェコーヒー、ルイボスティー、麦茶など)を取り入れる
  • エナジードリンクや栄養ドリンクなど、カフェイン濃度の高い飲料は避ける

飲み物のバランスと組み合わせ

血圧管理に効果的な飲み物を日常生活に取り入れる工夫として:

  • 朝:温かい水または緑茶で水分補給からスタート
  • 午前中:カリウム豊富なジュース(トマトジュースなど)を取り入れる
  • 昼食時:低脂肪乳を食事と共に
  • 午後:ルイボスティーやビーツジュースでリフレッシュ
  • 夕方・夜:カフェインレスのハーブティーやココアでリラックス

食事との組み合わせ

飲み物と食事を適切に組み合わせることで、血圧管理の効果を高めることができます:

  • カリウム豊富な飲み物(トマトジュース、オレンジジュース)を塩分の多い食事と一緒に摂取することで、ナトリウムの排出を促進
  • 緑茶やココアに含まれるポリフェノールは、脂肪の吸収を緩やかにする効果があり、高脂肪食と一緒に摂取すると良い
  • 低脂肪乳のカルシウムは、野菜や果物と一緒に摂ることで吸収率が高まる

季節に応じた水分摂取の工夫

季節によって水分必要量や飲み物の選択を調整することも重要です:

  • 夏季:脱水予防のために通常より多めの水分摂取(2〜2.5リットル/日)
  • 冬季:温かい飲み物(ホットココア、生姜茶など)で体を冷やさないよう配慮
  • 湿度の低い環境:無意識の水分喪失が増えるため、こまめな水分補給を心がける

5. 1日の適切な水分摂取量と注意点

基本的な水分摂取量の目安

成人の1日の水分摂取目安は約1.5〜2リットルとされていますが、個人の体格、活動量、環境条件(気温・湿度)、健康状態によって必要量は変動します。

特に高血圧の方は、脱水を避けるためにこまめな水分補給を心掛けることが重要です。喉が渇いたと感じる前に、定期的に水分を摂ることをお勧めします。

水分摂取の目安の計算方法

  • 体重1kgあたり約30mlの水分が目安
  • 例:体重60kgの方の場合、約1.8リットル(60kg × 30ml = 1,800ml)

水分過剰摂取の注意点

過剰な水分摂取は、特に腎機能が低下している方や心不全の方では注意が必要です。短時間に大量の水を飲むと、低ナトリウム血症(水中毒)を引き起こす可能性があります。

注意が必要なケース

  • 腎機能障害がある方
  • 心不全がある方
  • 一部の薬剤(利尿剤など)を服用中の方
  • 高齢者

これらに該当する方は、医師に適切な水分摂取量を相談することをお勧めします。

水分摂取のタイミング

効果的な水分摂取のためには、タイミングも重要です:

  • 起床時:夜間の脱水を補うために、コップ1杯の水を飲む
  • 食事の前:食事の約30分前に水を飲むことで、食べ過ぎを防ぎ、消化を助ける
  • 運動前後:運動による水分喪失を予防・補給するために、運動の前後に十分な水分を摂る
  • 入浴前後:入浴による発汗で失われる水分を補給する
  • 就寝前:夜間の脱水を予防するために、適量の水分を摂る(ただし、頻尿がある方は就寝直前の大量の水分摂取は避ける)

6. まとめ

血圧の管理には、適切な飲み物の選択が重要な役割を果たします。緑茶、ルイボスティー、カリウム豊富なジュース(トマトジュース・オレンジジュース)、低脂肪乳、ビーツジュース、ココア、水などは、さまざまなメカニズムを通じて血圧の調整に有益とされています。

一方、カフェインやアルコールの過剰摂取、糖分の多い飲料は血圧上昇のリスクを高める可能性があるため、摂取量や摂取タイミングに注意が必要です。

日々の飲み物選びと適切な水分補給を通じて、高血圧の予防・改善に取り組みましょう。ただし、すでに高血圧と診断されている方は、飲み物だけで血圧管理を行うのではなく、医師の指導のもと、適切な薬物療法や食事・運動療法と組み合わせて総合的に取り組むことが重要です。

7. 参考文献

Appel LJ, et al. Effects of comprehensive lifestyle modification on blood pressure control: main results of the PREMIER clinical trial. JAMA. 2003;289(16):2083-2093.

日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版, 2019.

Siervo M, et al. Inorganic nitrate and beetroot juice supplementation reduces blood pressure in adults: a systematic review and meta-analysis. J Nutr. 2013;143(6):818-826.

Grassi D, et al. Cocoa, glucose tolerance, and insulin signaling: cardiometabolic protection. J Agric Food Chem. 2015;63(45):9919-9926.

Hodgson JM, et al. Effects of tea and tea flavonoids on endothelial function and blood pressure: a brief review. Clin Exp Pharmacol Physiol. 2005;32(10):822-826.

Onakpoya IJ, et al. The effect of chlorogenic acid on blood pressure: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. J Hum Hypertens. 2015;29(2):77-81.

Ralston RA, et al. Effects of dietary sodium intake on blood pressure: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Hypertens. 2019;37(6):1109-1120.

Pantavos A, et al. Total dietary intake and health risks associated with exposure to aflatoxin B1 in a population at high risk for liver cancer. Food Chem Toxicol. 2018;119:307-316.

Marques FZ, et al. Beneficial effects of dietary nitrate on endothelial function and blood pressure levels. Int J Hypertens. 2016;2016:4082135.

厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版). 2020.

監修

鎌形博展 株式会社EN 代表取締役兼CEO、医療法人社団季邦会 理事長

専門科目 救急・地域医療

所属・資格

  • 日本救急医学会
  • 日本災害医学会所属
  • 社会医学系専門医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 国際緊急援助隊・日本災害医学会コーディネーションサポートチーム
  • ICLSプロバイダー(救命救急対応)
  • ABLSプロバイダー(熱傷初期対応)
  • Emergo Train System シニアインストラクター(災害医療訓練企画・運営)
  • FCCSプロバイダー(集中治療対応)
  • MCLSプロバイダー(多数傷病者対応)

研究実績

メディア出演

  • フジテレビ 『イット』『めざまし8』
  • 共同通信
  • メディカルジャパン など多数

SNSメディア

関連リンク

医療法人社団季邦会 https://wellness.or.jp/kihokai/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です