医師臨床研修マッチング協議会は令和8年10月22日、令和8年度(令和9年度から研修開始)のマッチング結果を公表しました。募集定員は10,550人、希望順位を登録した医学生等は9,789人、マッチした人は8,939人で、マッチ率は91.3%です。本記事は、協議会が公表し厚生労働省が掲載した結果資料だけを読み、前年度との差を整理します。数値の原因や背景を資料は述べていないため、本記事も断定せず、資料から計算できる範囲にとどめます。(公開日:2026年10月26日)

令和8年度の研修医マッチング結果は、どうだったのか?

募集定員10,550人(前年度10,527人)に対して、希望順位登録者は9,789人(同9,651人)、マッチ者は8,939人(同8,910人)で、マッチ率は91.3%(同92.3%)でした。マッチ率は前年度より1.0ポイント低く、マッチ者の人数は29人増えています。

厚生労働省の発表ページによれば、このマッチングは平成16年度の臨床研修の必修化に合わせて導入され、研修を受ける医学生等と研修プログラムを持つ病院の希望をもとに、一定のアルゴリズムでコンピュータが組合せを決める仕組みです。(出典:厚生労働省「令和8年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします」令和8年10月22日、同 協議会提供資料「研修医マッチングの結果」)

全体の数字は、前年度からどう動いたのか?

協議会の結果資料(表1・表2)の主な項目は次のとおりです。

項目 令和8年度 令和7年度
参加者数(人) 10,079 9,902
希望順位登録者数(人) 9,789 9,651
研修プログラム数 1,483 1,470
参加病院数 1,025 1,026
募集定員(人) 10,550 10,527
マッチ者数(人) 8,939 8,910
マッチ率(%) 91.3 92.3
登録者1人あたり平均希望順位登録数 5.30 5.22

参加者数と希望順位登録者数の差は、希望順位を登録しなかった人です(令和8年度290人、令和7年度251人)。マッチ者数を希望順位登録者数から引くと、令和8年度は850人、令和7年度は741人です。この「未マッチ」の人数は、資料に明記された値ではなく、資料の数字から編集部が計算した値です。同様に、募集定員からマッチ者数を引いた空席は、令和8年度1,611、令和7年度1,617、募集定員に対するマッチ者の割合は84.7%(令和7年度84.6%)になります。フルマッチ(定員がすべて埋まる)になった病院の数は、確認した資料には記載がありませんでした。

つまり、定員も登録者もマッチ者もわずかに増えた一方で、マッチ率は下がり、未登録を除いた未マッチの人数は増えています。ただし、この変化が何によるものかは資料から読み取れません。(出典:医師臨床研修マッチング協議会「令和8年度結果」(厚生労働省掲載)令和8年10月22日)

何番目の希望でマッチした人が多かったのか?

資料(表3)では、令和8年度のマッチ者8,939人のうち、第1希望でマッチした人は5,278人(59.0%)、第2希望が1,472人(16.5%)、第3希望が917人(10.3%)、第4希望以下が1,272人(14.2%)です。令和7年度は、第1希望5,403人(60.6%)、第2希望1,540人(17.3%)、第3希望872人(9.8%)、第4希望以下1,095人(12.3%)でした。第3希望までの合計は令和8年度が85.8%で、令和7年度(87.7%)より低くなっています。

第1希望でマッチした人の割合は、前年度から1.6ポイント下がり、第4希望以下は1.9ポイント上がりました。学生側にとっては、第1希望に入れた人の割合がやや下がり、順位の低い希望での決着が増えたことを示す数字です。この結果資料では、その理由や、特定の病院・地域との関係までは示されていません。(出典:医師臨床研修マッチング協議会「令和8年度結果」令和8年10月22日)

臨床研修病院と大学病院では、何が違うのか?

資料(表4)は、参加病院を臨床研修病院と大学病院に分けて集計しています。令和8年度の主な値は次のとおりです。

項目 臨床研修病院 大学病院
参加病院数 899 126
研修プログラム数 1,065 418
募集定員(人) 6,563 3,987
マッチ者数(人) 5,841 3,098
空席数 722 889
1位希望者数(人) 7,740 2,049

空席数1,611のうち、大学病院が889(55.2%)、臨床研修病院が722(44.8%)です。募集定員に占めるマッチ者の割合を計算すると、臨床研修病院は約89.0%、大学病院は77.7%になります(大学病院の77.7%は、後述の自大学出身者比率の資料にも同じ値が載っています)。マッチ者に占める大学病院の割合は34.7%で、前年度の35.2%から小幅に下がりました。令和7年度の大学病院の1位希望者数は2,129人でしたから、令和8年度の2,049人は減っています。

大学病院における自大学出身者の比率は、別の資料(令和8年10月22日現在)で示されています。大学病院全体では、マッチ者3,098人のうち自大学出身者が1,741人で、56.2%です。この資料には前年度の値が載っていないため、前年との比較はできません。施設別には、マッチ者の全員が自大学出身者という施設もあれば、マッチ者がいても自大学出身者がいない施設もあり、ばらつきがあります。(出典:同「令和8年度結果」、同「大学病院(施設別)における自大学出身者の比率」令和8年10月22日現在)

地域別では、どのような動きがあったのか?

厚生労働省掲載の概要資料は、東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・福岡県の大都市部6都府県を除く41道県の内定者数を示しています。令和8年度は5,448人で、全体に占める割合は60.9%です。令和7年度は5,366人で、60.2%でした。この6都府県の人数は資料に明記されていませんが、各都府県の表の値(東京1,127、神奈川645、愛知522、京都220、大阪613、福岡364)を足すと3,491人で、全体8,939人から5,448人を引いた値と一致します。

対前年度比で内定者が増えた上位5県は、大分県(67人から86人、プラス28.4%)、三重県(119人から145人、プラス21.8%)、鹿児島県(89人から106人、プラス19.1%)、山梨県(54人から64人、プラス18.5%)、群馬県(106人から124人、プラス17.0%)です。一方、協議会の都道府県別の表では、東京都が1,181人から1,127人(54人減)、宮崎県が59人から33人(26人減)、山形県が89人から64人(25人減)となっています。宮崎県は募集定員107人に対してマッチ者33人でした。

これらは病院の所在地ごとの集計です。どの都道府県でも、増減の理由は資料に書かれておらず、人数の少ない県では1年ごとの振れ幅が大きく出る点にも注意が必要です。都道府県別の全47行の数値は、協議会の結果資料(表6)で確認できます。(出典:厚生労働省掲載「研修医マッチングの結果」概要、同「令和8年度結果」表6)

この資料から言えること、言えないことは何か?

言えるのは、令和8年度の組合せが決まり、その全体像(定員・登録者・マッチ者・マッチ率)と、希望順位別、病院区分別、都道府県別の人数が公表されたことです。前年度との差は、先に示した数字のとおりです。

言えないのは、数字の背景です。マッチ率が下がった理由、第1希望でのマッチが減った理由、特定の県で内定者が増減した理由、大学病院の空席が多い理由は、資料に書かれていません。また、結果は発表時点のものです。協議会のサイトは、空席状況が結果発表時点の情報であり、最新の状況は各病院への問い合わせが必要と案内しています(出典:医師臨床研修マッチング協議会 トップページ、令和8年10月26日確認)。記事の数字を、個別の病院の現在の募集状況として読むことはできません。

なお、研修医の選び方や対策の側面は、本メディアの別の記事(研修医マッチング対策の始め方、病院の選び方)で扱っています。

研修医を受け入れる病院は、この結果をどう読めばよいのか?

ここからは原典の記載ではなく、編集部の読み方です。結果の数字は全国の合計で、個別の病院の充足を判断する材料にはなりません。ただし、自院の定員とマッチ者数を、病院区分(臨床研修病院か大学病院か)や所在する県の傾向と並べて見ると、次年度のプログラム設計を考える出発点になります。

たとえば、第1希望でのマッチが全国で下がり、第4希望以下が増えたことは、自院にマッチした研修医のうち、第1希望でなかった人の割合を確認する理由になります。また、マッチ者の出身大学や、プログラムごとの結果は、協議会の「研修プログラム毎マッチ結果」で確認できます。本記事は、この資料の中身までは読んでいません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 令和8年度のマッチ率は何%ですか?

91.3%です。前年度は92.3%でした。マッチ者数は8,939人、希望順位登録者数は9,789人です。

Q2. 募集定員とマッチ者の差(空席)はどれくらいですか?

募集定員10,550人に対しマッチ者8,939人で、差は1,611です。これは資料の数字から計算した値で、令和7年度の1,617とほぼ同じです。

Q3. 令和8年度のマッチングは、いつから始まる研修の組合せですか?

厚生労働省の発表ページによれば、令和9年度から研修を開始する医学生等と病院の組合せです。

Q4. 第1希望でマッチした人は何%ですか?

59.0%(5,278人)です。前年度は60.6%(5,403人)でした。

Q5. 大学病院の自大学出身者の比率はどれくらいですか?

令和8年10月22日現在で、マッチ者3,098人のうち1,741人が自大学出身者で、56.2%です。前年度の値は資料に載っていません。

参考資料

確認日はいずれも令和8年10月26日です。協議会が掲載する資料の原本(jrmp2.jp 上のPDF)は開いておらず、厚生労働省のページに掲載された同内容の資料を読んでいます。未マッチ者数・空席数・充足率などの計算値は、これらの資料の数字から編集部が算出しました。

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