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低血圧から高血圧へ?血圧の変化と注意点

低血圧から高血圧へ?血圧の変化と注意点

はじめに

「私は低血圧だから高血圧とは無縁」と思っていませんか?実は、若い頃に低血圧だった人が、年齢とともに高血圧へ移行するケースは少なくありません(JSH2019, AHA 2021)。
本記事では、低血圧から高血圧へ移行するメカニズム、リスク、予防策 を詳しく解説します。


1. 低血圧とは?正常血圧との違い

(1) 低血圧の定義

日本高血圧学会(JSH2019)では、以下の値を低血圧と定義しています。

血圧分類収縮期血圧(mmHg)拡張期血圧(mmHg)
正常血圧120未満80未満
低血圧(一般)100未満60未満
起立性低血圧立位時に収縮期血圧が20mmHg以上低下

ポイント

  • 低血圧は若年女性に多い
  • 症状がなければ治療不要だが、めまいや倦怠感がある場合は対策が必要

(2) 低血圧の主な症状

低血圧が原因で起こる症状

  • 立ちくらみ・めまい
  • 倦怠感・集中力低下
  • 冷え性・手足のしびれ
  • 頭痛・吐き気

ポイント

  • 自律神経の乱れが低血圧を引き起こすこともある
  • 長期間の低血圧が、高血圧リスクを高める可能性がある

2. 低血圧から高血圧へ移行する原因

低血圧だった人が年齢とともに高血圧になる理由

要因影響
加齢による血管の硬化血管が弾力を失い、血圧が上昇
交感神経の活性化血圧を調整する神経の働きが過剰になる
ホルモンバランスの変化更年期などで血圧調節が乱れる
ナトリウム感受性の増加塩分摂取が血圧上昇に直結する
生活習慣の変化運動不足や体重増加が血圧を押し上げる

ポイント

  • 動脈硬化の進行が最大の原因
  • 交感神経の影響で血圧変動が大きくなる
  • ホルモンバランスの変化にも注意が必要

3. 低血圧の人が高血圧になりやすいリスク

低血圧の人が高血圧になった場合、以下のリスクが高まる

リスク高血圧への影響
動脈硬化の進行長年の低血圧により、血管が急激に硬化
心血管疾患のリスク増加血圧変動が大きいと心筋梗塞リスクが上昇
腎機能低下血流の低下により腎臓への負担が増加
脳卒中のリスク高血圧への移行が急激だと、脳血管障害のリスク増

ポイント

  • 血圧の急激な変動がリスクを高める
  • 適切な血圧管理が重要

4. 低血圧から高血圧への移行を防ぐ方法

低血圧の人が将来的な高血圧を予防するためのポイント

(1) 適度な運動を習慣化

  • 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング)を週150分
  • 筋力トレーニングを併用すると血圧安定化に効果的
  • 過度な運動は交感神経を刺激し血圧変動を悪化させるため注意

(2) 食生活の改善

  • 減塩(1日6g未満)
  • カリウム・マグネシウムを含む食品を積極的に摂取
  • アルコール・カフェインの摂取を適量に制限

(3) 自律神経を整える

  • 規則正しい生活リズムを保つ
  • 睡眠時間を確保(7時間以上が理想)
  • ストレスを溜め込まない(リラクゼーション法を活用)

ポイント

  • 血圧の急激な変動を防ぐため、穏やかな生活習慣が重要
  • 塩分・カリウムバランスを考えた食事を心がける

5. 低血圧から高血圧への移行を示すサイン

次のような変化が見られたら、高血圧への移行を疑う

  • 血圧が急に上昇(120/80mmHgを超える)
  • 動悸や息切れが増える
  • 頭痛やめまいの頻度が増加
  • 睡眠の質が低下
  • 手足の冷えが減少し、むしろほてる感じがする

ポイント

  • 定期的に血圧を測定し、変化を記録することが大切
  • 異常を感じたら早めに医師の診察を受ける

まとめ

低血圧の人でも、加齢とともに高血圧になるリスクがある
血管の硬化、ホルモンバランスの変化、生活習慣の影響が大きい
適切な運動・食生活・ストレス管理で血圧の安定を図ることが重要
血圧の変化を見逃さず、定期的に測定を行うことが推奨される


次回の記事:「高血圧の世界的な動向と日本の現状」では、世界各国の高血圧の有病率や治療のトレンド、日本の現状について解説します!

監修

鎌形博展 株式会社EN 代表取締役兼CEO、医療法人社団季邦会 理事長

専門科目 救急・地域医療

所属・資格

  • 日本救急医学会
  • 日本災害医学会所属
  • 社会医学系専門医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 国際緊急援助隊・日本災害医学会コーディネーションサポートチーム
  • ICLSプロバイダー(救命救急対応)
  • ABLSプロバイダー(熱傷初期対応)
  • Emergo Train System シニアインストラクター(災害医療訓練企画・運営)
  • FCCSプロバイダー(集中治療対応)
  • MCLSプロバイダー(多数傷病者対応)

研究実績

メディア出演

  • フジテレビ 『イット』『めざまし8』
  • 共同通信
  • メディカルジャパン など多数

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