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 高血圧の遺伝的要因とは?家族歴とリスクについて

 高血圧の遺伝的要因とは?家族歴とリスクについて

はじめに

高血圧は 生活習慣 の影響を受けるだけでなく、遺伝的要因 も大きく関与しています。両親や兄弟姉妹に高血圧の人がいると、自身も高血圧を発症するリスクが高まる ことが明らかになっています(Framingham Heart Study, 2019)。
本記事では、高血圧の遺伝的要因と家族歴の影響、予防策 について詳しく解説します。


1. 高血圧と遺伝の関係

(1) 家族歴があると発症リスクはどのくらい高まる?

高血圧の発症リスクは、親や兄弟姉妹に高血圧があるかどうか によって変わります。

家族歴高血圧発症リスク
両親のどちらかが高血圧約1.5倍
両親の両方が高血圧約2倍
兄弟姉妹に高血圧の人がいる約1.5倍

ポイント

  • 親が高血圧だと、自身も発症しやすい
  • 遺伝的要因と生活習慣の相互作用が重要
  • 家族歴がある場合、若いうちから血圧管理が必要

(2) 高血圧に関連する遺伝子

近年のゲノム解析研究により、高血圧に関連する遺伝子 が多数特定されています(GWAS, 2022)。

遺伝子作用関連性
AGT(アンジオテンシノーゲン遺伝子)レニン-アンジオテンシン系(RAAS)の調節血圧上昇リスク
ACE(アンジオテンシン変換酵素遺伝子)アンジオテンシンⅡの生成促進高血圧の遺伝的素因
NOS3(一酸化窒素合成酵素遺伝子)血管拡張を調節血管機能異常と関連
CYP11B2(アルドステロン合成酵素遺伝子)アルドステロン産生を調整ナトリウム貯留による高血圧

ポイント

  • 遺伝子の影響で、塩分感受性が高い人もいる
  • 特定の遺伝子変異があると、高血圧になりやすい
  • 家族歴と組み合わせてリスク評価を行うことが重要

2. 家族歴がある人の高血圧予防策

家族歴があっても、適切な生活習慣で発症リスクを低減できる

(1) 塩分感受性を考慮した食事

  • 減塩を徹底(1日6g以下)
  • カリウムを多く含む食品を摂取(野菜・果物)
  • 加工食品の摂取を制限

(2) 適度な運動

  • 有酸素運動(週150分以上)
  • 筋力トレーニングを取り入れる
  • 毎日のウォーキングを習慣化

(3) ストレス管理

  • 十分な睡眠を確保
  • 瞑想や深呼吸でリラックス
  • 仕事のストレスを適切に解消

ポイント

  • 生活習慣の改善により、遺伝的リスクを相殺できる
  • 定期的な血圧測定が重要

3. 遺伝的要因による個別化治療の可能性

最新の遺伝子研究により、個々の遺伝的リスクに基づいた高血圧治療の開発が進んでいます。

アプローチ概要
遺伝子スクリーニング高血圧リスクを持つ遺伝子変異を検出
個別化降圧治療遺伝的背景に応じた降圧薬の選択
薬理ゲノミクス降圧薬の効果を最大化するための遺伝子解析

ポイント

  • 遺伝子検査により、高血圧リスクを早期に把握可能
  • 将来的には「オーダーメイド治療」が主流に

まとめ

高血圧は遺伝的要因と生活習慣が影響する
両親が高血圧の場合、発症リスクは約2倍に上昇
高血圧に関連する遺伝子が特定されており、個別化治療が進展
生活習慣の改善により、遺伝的リスクを軽減可能


次回の記事:「低血圧から高血圧へ?血圧の変化と注意点」では、低血圧から高血圧へ移行するリスクと対策について解説します!

監修

鎌形博展 株式会社EN 代表取締役兼CEO、医療法人社団季邦会 理事長

専門科目 救急・地域医療

所属・資格

  • 日本救急医学会
  • 日本災害医学会所属
  • 社会医学系専門医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 国際緊急援助隊・日本災害医学会コーディネーションサポートチーム
  • ICLSプロバイダー(救命救急対応)
  • ABLSプロバイダー(熱傷初期対応)
  • Emergo Train System シニアインストラクター(災害医療訓練企画・運営)
  • FCCSプロバイダー(集中治療対応)
  • MCLSプロバイダー(多数傷病者対応)

研究実績

メディア出演

  • フジテレビ 『イット』『めざまし8』
  • 共同通信
  • メディカルジャパン など多数

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