前回、専攻医プログラムの定員の中央値はほとんどの領域で3〜6名だと書きました。ただし中央値は「真ん中の1件」を指すだけで、その領域のプログラムが似た大きさで並んでいるのか、大小が入り混じっているのかは何も教えてくれません。
この記事では、定員を一次資料で確認できた3,402件を使って、領域ごとの散らばり方を数えます。数字はすべて2026年10月20日時点の掲載データによります。
外科と産婦人科は定員の3分の2が「10名以上採るプログラム」に入っている
各領域で、確認できた定員の合計のうち、10名以上を採るプログラムが占める割合を出しました。外科が67%、産婦人科が65%、内科が60%、麻酔科が52%、放射線科が51%です。この5領域では、募集枠の半分以上が大型のプログラムに集まっています。
続いて整形外科44%、精神科43%、小児科40%、皮膚科31%、病理31%、耳鼻咽喉科23%、泌尿器科18%。ここまで来ると、大型は例外的な存在になります。
救急科とリハビリテーション科はほぼ全部が小さい
逆の端にあるのが総合診療の15%、形成外科の14%、眼科の10%、リハビリテーション科の8%、救急科の6%、そして臨床検査の0%です。
救急科は278件中277件で定員を確認できており、確認漏れによる偏りがほとんどありません。その最大が10名で、10名以上のプログラムに入る枠は全体の6%にとどまります。救急科を選ぶ人にとっては、どのプログラムを見ても同期は数名という前提になります。
定員は上位10%のプログラムにどれだけ集まっているか?
別の角度から、定員の大きいほうから1割のプログラムが、確認できた定員の合計の何%を占めるかを見ます。
内科41%、外科37%、病理33%、整形外科32%、麻酔科30%、産婦人科29%。内科では上位1割のプログラムに募集枠の4割が入っています。一方、泌尿器科19%、救急科21%、リハビリテーション科22%、耳鼻咽喉科23%、臨床検査23%、小児科23%。均等に散らばっていれば10%になるはずなので、どの領域も多少は集中していますが、程度がはっきり違います。
放射線科は、10名以上が占める割合(51%)が高いわりに上位10%への集中(24%)は中くらいでした。産婦人科も、10名以上が65%を占める一方で上位10%は29%です。少数の巨大なプログラムがあるのではなく、10名を超える中くらいの規模が厚く積み上がっている形です。
臨床検査は「1名」が標準
臨床検査は確認できた64件のうち42件(66%)が定員1名で、最大でも4名でした。10名以上は1件もありません。
これは規模の話ではなく、受け入れの形そのものが他領域と違うということです。1名ずつ受け入れる前提で、見学や問い合わせの進め方を考えることになります。
同じ都道府県のなかでも大小が混ざる
散らばりは全国を通して見たときだけの話ではありません。東京都の内科は、定員を確認できた65件が1名から43名まで分布しています。そのうち43件(66%)は5名以下で、10名以上は13件でした。
同じ東京都の救急科は、確認できた33件すべてが2名から8名の範囲に収まります。同じ都内で同じ年に募集していても、領域によって「選択肢の形」がまったく違うことになります。
粒の大きさは、プログラム選びのどこに効くのか?
散らばりが大きい領域では、「この領域はだいたい何名」という平均像を持って探すと外します。内科や外科では、候補に挙げた2つのプログラムの規模が5倍違うことが普通に起こるので、1件ずつ定員を見るしかありません。
逆に散らばりが小さい領域では、定員で候補を絞り込むことができません。救急科やリハビリテーション科では、どこを選んでも同期は数名です。その場合、規模以外の軸——連携施設の顔ぶれ、通える範囲、サブスペシャルティの方向——で比べることになります。
どちらが良いという話ではなく、領域によって比較に使える軸が違う、ということです。
数字を出していない領域がある
ここまでの数字は、定員を一次資料で確認できた割合が60%以上の18領域(救急科99.6%から精神科63%まで)に限っています。
残る2領域——脳神経外科51%、社会医学系35%——については、この記事では数値を出していません。
散らばりの指標は、代表値よりも母数の欠けに弱いためです。たとえば大きなプログラムの募集要項だけが見つかっている状態で集計すると、実際より「集中している」と読める数字が出ます。確認率が上がるまでは出さない、という扱いにしています。
この記事の数字について
本文の数値は、ResidentStory が掲載している専攻医プログラム3,989件のうち、募集要項・学会公表資料などの一次資料から定員を数値として確認できた3,402件を、2026年10月20日に集計したものです。確認できていない587件は集計に含めていません。「10名以上が占める割合」は確認できた定員の合計のうち定員10名以上のプログラムの定員が占める割合、「上位10%」は定員の大きい順に件数の1割(端数は切り上げ)のプログラムが定員の合計に占める割合です。
定員の数値の出どころは、主に次の公開資料です。日本専門医機構の専攻医募集の案内、日本内科学会の都道府県別の内科専門研修プログラム一覧、日本救急医学会の救急科専門医の研修プログラム案内、社会医学系専門医協会の公式サイトのほか、各学会の研修プログラム冊子、都道府県の会議資料、各病院の募集要項です。プログラムごとにどの資料を使ったかは、各プログラムのページの出典欄に記載しています。
初版(2026年10月7日)は、定員を確認できた2,547件で、確認率60%以上の11領域について集計していました。その後、定員の確認が進んだため、対象を18領域に広げて数字を入れ替えています。
施設名と定員の組み合わせは本文に書いていません。規模の順位づけとして読まれることを避けるためです。各プログラムの定員は、根拠となる原文とあわせて個別のページに掲載しています。
掲載データは随時更新しているため、本文の数値は今後変わります。最新の件数はプログラム一覧でご確認ください。定員の代表値については専攻医プログラムの定員は何名かで扱っています。