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高血圧と漢方薬|科学的に効果がある漢方とは?

高血圧と漢方薬|科学的に効果がある漢方とは?

漢方薬で血圧を下げることはできる?

漢方医学は、身体全体のバランスを整えることで病気を予防・治療する伝統的な医療体系です。高血圧においても、漢方薬が血圧調整に寄与すると考えられています。特に、血流の改善やストレス軽減を目的とした処方が中心であり、西洋薬とは異なるアプローチを取ります。本記事では、高血圧に効果が期待される漢方薬について、科学的な観点から解説します。

高血圧におすすめの漢方薬とその効果

漢方の考え方と高血圧治療

漢方では、高血圧の原因を「気・血・水」のバランスの乱れと捉えます。

  • 気(き):ストレスや精神的な要因による血圧上昇。
  • 血(けつ):血流の停滞(瘀血)による高血圧。
  • 水(すい):体内の水分代謝異常(痰湿)によるむくみや血圧上昇。

これらのバランスを整えることで、高血圧の改善が期待されます。

降圧作用のある代表的な漢方薬

  1. 釣藤散(ちょうとうさん)
    • 作用:血管を拡張し、血圧を穏やかに低下させる。
    • 適応:ストレスが多く、頭痛を伴う高血圧患者に適している。
  2. 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
    • 作用:炎症を抑え、精神的な興奮を鎮めることで血圧を調整。
    • 適応:顔が赤く、のぼせやすいタイプの高血圧患者向け。
  3. 七物降下湯(しちもつこうかとう)
    • 作用:血流を改善し、動脈硬化の予防に役立つ。
    • 適応:血の巡りが悪く、冷え性の人に適している。
  4. 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
    • 作用:脂質代謝を促進し、肥満による高血圧を改善。
    • 適応:肥満傾向があり、むくみがある高血圧患者に推奨。
  5. 大柴胡湯(だいさいことう)
    • 作用:ストレスによる血圧上昇を抑え、肝機能を改善。
    • 適応:がっしりした体型で、イライラしやすい人の高血圧に有効。
  6. 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
    • 作用:精神的な興奮を抑え、リラックス効果により血圧を安定させる。
    • 適応:ストレスが多く、不眠を伴う高血圧の人向け。
  7. 真武湯(しんぶとう)
    • 作用:体を温め、冷えによる血圧の変動を抑える。
    • 適応:冷え性でむくみやめまいを伴う高血圧患者に推奨。

西洋薬との違いと併用の注意点

西洋薬との併用の際の注意点

  • 即効性の違い:西洋薬は即効性が高く、急な血圧上昇を抑えるのに適している。一方、漢方薬は体質改善を目的としており、効果が現れるまでに時間がかかる。
  • 相互作用:一部の漢方薬は、降圧剤と併用すると作用が強まりすぎることがある(例:黄連解毒湯とCa拮抗薬の併用)。
  • 副作用の可能性:漢方薬も副作用があり、例えば甘草を含む処方は低カリウム血症を引き起こすリスクがあるため注意が必要。

漢方薬を選ぶ際のポイント

体質に合った漢方の選び方

漢方は「証(しょう)」に基づいて処方されます。

  • 実証(じっしょう):体力があり、がっしりした体型の人向け(防風通聖散・大柴胡湯など)。
  • 虚証(きょしょう):体力がなく、冷えやすい人向け(七物降下湯・真武湯など)。
  • 中間証:実証と虚証の中間に位置するタイプ(釣藤散・柴胡加竜骨牡蠣湯など)。

医師や薬剤師に相談しながら、自分の体質に合った漢方を選ぶことが重要です。

漢方と生活習慣改善の相乗効果

漢方と食事・運動の組み合わせ

  • 食事療法
    • 減塩を意識し、カリウムを豊富に含む食品(バナナ、ほうれん草)を摂取。
    • 抗酸化作用のある緑茶やゴマなどの食品を積極的に取り入れる。
  • 運動療法
    • 軽度の有酸素運動(ウォーキング、ヨガ)は、漢方の血流改善作用と相乗効果が期待できる。
    • ストレス管理を目的とした深呼吸や瞑想も効果的。

漢方薬は、生活習慣の改善と組み合わせることで、より効果的に血圧管理ができる可能性があります。科学的なエビデンスに基づき、自分に合った漢方治療を取り入れることが重要です。


参考文献

  1. 日本東洋医学会. 漢方治療エビデンスレポート各種
  2. 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019.

監修

鎌形博展 株式会社EN 代表取締役兼CEO、医療法人社団季邦会 理事長

専門科目 救急・地域医療

所属・資格

  • 日本救急医学会
  • 日本災害医学会所属
  • 社会医学系専門医指導医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 国際緊急援助隊・日本災害医学会コーディネーションサポートチーム
  • ICLSプロバイダー(救命救急対応)
  • ABLSプロバイダー(熱傷初期対応)
  • Emergo Train System シニアインストラクター(災害医療訓練企画・運営)
  • FCCSプロバイダー(集中治療対応)
  • MCLSプロバイダー(多数傷病者対応)

研究実績

メディア出演

  • フジテレビ 『イット』『めざまし8』
  • 共同通信
  • メディカルジャパン など多数

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医療法人社団季邦会 https://wellness.or.jp/kihokai/

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