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降圧剤の種類と効果|あなたに合った薬の選び方

降圧剤の種類と効果|あなたに合った薬の選び方

目次

  1. 降圧剤とは?高血圧治療における役割
    • 降圧剤の基本的な役割
  2. 主な降圧剤の種類と作用機序
    • 利尿薬
    • カルシウム拮抗薬
    • ACE阻害薬
    • ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
    • β遮断薬
    • ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)
    • MR拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)
  3. 降圧剤の副作用と注意点
    • 代表的な副作用と対策
  4. 薬を飲み続けるべきか?自己判断の危険性
    • 自己判断で薬をやめるリスク
  5. 生活習慣改善と降圧剤の併用で効果を高める
    • 薬と生活習慣改善の組み合わせ

1. 降圧剤とは?高血圧治療における役割

降圧剤の基本的な役割

降圧剤は、高血圧を管理し 心血管イベント(脳卒中・心筋梗塞など)を予防するための薬剤 です。血圧を下げることで 血管の負担を軽減し、動脈硬化の進行を抑える 役割を担います。

2. 主な降圧剤の種類と作用機序

利尿薬

(例)ヒドロクロロチアジド、フロセミド

  • 腎臓でのナトリウム排泄を促進し、血液量を減少させることで血圧を低下させる。
  • 特に高齢者や塩分感受性高血圧の患者に有効。

カルシウム拮抗薬

(例)アムロジピン、ニフェジピン

  • 血管平滑筋を弛緩させ、血管を拡張することで血圧を低下させる。
  • 日本人の高血圧治療において第一選択となることが多い。

ACE阻害薬

(例)エナラプリル、リシノプリル

  • アンジオテンシンIIの生成を抑え、血管収縮を防ぐ。
  • 糖尿病や慢性腎疾患を伴う患者に推奨。

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

(例)ロサルタン、バルサルタン

  • ACE阻害薬と同様の作用を持ち、副作用(空咳)が少ない。
  • 心不全患者にも使用されることがある。

β遮断薬

(例)メトプロロール、ビソプロロール

  • 交感神経を抑制し、心拍数と心筋収縮力を低下させる。
  • 冠動脈疾患や心不全を伴う高血圧患者に適応。

ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)

(例)サクビトリル/バルサルタン

  • アンジオテンシンⅡの作用を抑えつつ、利尿作用を増強する。
  • 心不全を合併する高血圧患者に特に有効。

MR拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)

(例)スピロノラクトン、エプレレノン

  • アルドステロンの作用を抑制し、ナトリウム排泄を促進。
  • 難治性高血圧の追加療法として使用される。

3. 降圧剤の副作用と注意点

代表的な副作用と対策

  • 利尿薬:低カリウム血症、脱水(対応:カリウム補充、適切な水分摂取)
  • Ca拮抗薬:むくみ、動悸(対応:用量調整、降圧剤の組み合わせ変更)
  • ACE阻害薬:空咳、高カリウム血症(対応:ARBへの変更)
  • β遮断薬:徐脈、疲労感(対応:低用量から開始)

4. 薬を飲み続けるべきか?自己判断の危険性

自己判断で薬をやめるリスク

降圧剤を突然中止すると、 リバウンド現象で血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる 可能性があります。医師の指導なしに薬をやめることは避けるべきです。

5. 生活習慣改善と降圧剤の併用で効果を高める

薬と生活習慣改善の組み合わせ

降圧剤の効果を最大限に引き出すためには、 生活習慣の改善と併用することが重要 です。

  • 減塩(1日6g未満)
  • 適度な運動(週150分の有酸素運動)
  • ストレス管理(瞑想・マインドフルネス)
  • 適切な睡眠(7時間以上)

参考文献

  1. Whelton PK, Carey RM, Aronow WS, et al. (2018). 2017 ACC/AHA Hypertension Guideline. Circulation, 138(17), e426-e483. https://doi.org/10.1161/CIR.0000000000000596
  2. James PA, Oparil S, Carter BL, et al. (2014). Evidence-Based Guideline for the Management of High Blood Pressure in Adults. JAMA, 311(5), 507-520. https://doi.org/10.1001/jama.2013.284427
  3. Messerli FH, Williams B, Ritz E. (2007). Essential Hypertension. Hypertension, 49(5), 839-845. https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(07)61299-9/abstract
  4. Mancia G, Fagard R, Narkiewicz K, et al. (2013). ESH/ESC Guidelines for the Management of Arterial Hypertension. European Heart Journal, 34(28), 2159-2219. https://doi.org/10.1093/eurheartj/eht151
  5. Williams B, Mancia G, Spiering W, et al. (2018). 2018 ESC/ESH Guidelines for the Management of Arterial Hypertension. European Heart Journal, 39(33), 3021-3104. https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehy339

最新の降圧治療について、エビデンスに基づいた治療を行い、 適切な薬物療法と生活習慣改善を組み合わせて血圧管理を行いましょう

監修

鎌形博展 株式会社EN 代表取締役兼CEO、医療法人社団季邦会 理事長

専門科目 救急・地域医療

所属・資格

  • 日本救急医学会
  • 日本災害医学会所属
  • 社会医学系専門医指導医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 国際緊急援助隊・日本災害医学会コーディネーションサポートチーム
  • ICLSプロバイダー(救命救急対応)
  • ABLSプロバイダー(熱傷初期対応)
  • Emergo Train System シニアインストラクター(災害医療訓練企画・運営)
  • FCCSプロバイダー(集中治療対応)
  • MCLSプロバイダー(多数傷病者対応)

研究実績

メディア出演

  • フジテレビ 『イット』『めざまし8』
  • 共同通信
  • メディカルジャパン など多数

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