この記事は、株式会社on call 代表取締役CEO 医師 符 毅欣 氏 へ
ProDoctors運営が独自に取材した内容に基づく記事の【前編】です。

取材・撮影・文/ProDoctors運営

株式会社on call 代表取締役CEO 医師 符 毅欣 氏

2017年京都大学医学部卒。虎の門病院泌尿器科、長野市民病院泌尿器科、江戸川病院泌尿器科を経て現株式会社on call代表取締役CEO。
虎の門病院での研修の課程、地域研修で在宅医療の必要性や可能性を知る。非常勤医師として夜間休日の在宅診療に従事。病院勤務の傍ら在宅医療に関わる中で、地域医療の課題やクリニックが慢性的に抱える負担を体感。構造的な課題をシステム的に解決・軽減することを目的として株式会社on callを設立。

「研究は面白い。”未知”からしかイノベーションは生まれない。」

ー医学部に入ろうと思ったきっかけはありますか?

どちらかというと、医者になろうというよりは医学研究がしたいという思いがありました。
なぜかというと、人が亡くなるっていうことに対して、幼少ながら抵抗感があったんですね。
それは多分、家族関係が比較的大きく影響していて。そういう家族関係に限らず、身近な人がいなくなる“死”みたいなことに対して、幼いながら嫌だなと思っていました。それを回避するには、死因が多い「がん」とか、そういう病気で亡くならないようにするために、治療や薬が発達すればいいな、というざっくりした考えがあって。
だから研究をしようと思って医学を志した、というきっかけがあります。

研究の素晴らしさはやっぱり未知で、イノベーションは研究室レベルからしか起きないと思うんです。そういう意味で、すごく大切なものだと思いますし、面白さはありました。

研究室で知った現実「成果は簡単に出ないし、努力だけじゃどうにもならない。」

ー研究室では創薬に携わる研究をしていたのですか?

研究室って本当にバラエティがあるんですよね。大学の研究はどちらかというと基礎的な研究で、直接こう薬を作るというよりは、“薬になるための何か”を“発見するため”の研究をしていました。正直「薬が出来上がる」っていうイメージは湧かなかったというのもありますし、学生ながら「研究の大変さ」みたいなのも知りました。

ー具体的な大変さとは何だったのでしょうか?

やっぱり成果がそう簡単に出てこないところですね。努力だけじゃ何ともいえないところが僕からするとありました。僕がすごく頑張ったからといって必ずしもうまくいくとは限らない、運の要素だったり。
それから、シンプルに日本の研究環境が資金的・経済的にもそんなに良くなかった、というのは感じました。短期的ですが2〜3ヶ月、アメリカの研究に行かせてもらったことがあって。競争は激しいけれど、しっかり研究室がお金を獲得して研究できる環境は、海外の方が良かったです。
もちろん「海外に行けばいいじゃん」という話もあるんですが、臨床自体を経験したことがない学生時代からすると、臨床を極めるという道もやってみないと分からない。そこで日本で臨床医の道に進むという選択をしました。

臨床研修は虎ノ門病院で受けました。全国から優秀な若手が集まってくるので、同期も多くて、内科も外科も優秀な人がたくさんいて刺激になりました。一流の先生方の診療だったり、教えてくれることはすごい勉強になったなと思います。

在宅医療研修で知った ”生活の場に寄り添う医療”

研修の中で2ヶ月間、地域医療の研修として千葉県松戸市にある「あおぞら在宅」に行き、理事長・院長の川越正平(かわごえしょうへい)先生のもとで、初めて在宅医療を知りました。それまで病院の医療しか知らなかったので、「こういう医療があるんだ」というのがまず驚きでした。「患者さんの生活の場に即した、方針も含めて患者さんに寄り添った医療の形があるんだな」というのをそこで知って。しかも対象が高齢の方ばかりで、これからの日本の医療なんだなということも実感しました。でもその当時は、今の事業に繋がる課題感はあまり感じていなかったですね。

在宅医療を知ってからは、「泌尿器科として専門医をやりながらも、週1くらいは在宅に関わっていたい」と思うようになりました。その延長線上で、東京の在宅医療クリニックの夜間オンコール業務に携わるようになりました。

夜の訪問診療は広い範囲を少人数で回している

東京で在宅医療に携わるようになり、オンコール業務の待機でいろいろな地域を回りました。「広い範囲をひとつの部隊で」というか、シフト組んでやっていることを知った時に「もうちょっと効率よくできないかな」と思ったんです。「現代のシステムがあれば最適化できるんじゃないかな」というのを、うっすら考えながら働いていました。

でもこの時まだ、「やってみよう」と背中を押されるまでには至りませんでした。


研究から臨床へ進み、虎ノ門病院で鍛えられ、松戸で在宅医療の存在を知る。
「週1でも在宅に関わっていたい」——その気持ちが、少しずつ次の選択へつながっていきます。

次回【後編】では、臨床医から起業するまでの道のりをどう歩んだのか。
失敗と向き合う姿勢や、起業した現在の“医療への思い”まで、本人の言葉で掘り下げます。

※【後編】は2026年1月22日に公開予定です



株式会社on call(設立:2021年4月)HP:https://oncall-japan.com/
「好きな場所で最良の医療を受けられる社会の実現」をミッションに掲げ、在宅医療機関向けに夜間・休日のオンコール代行サービス「ON CALL」を展開。医師、看護師、救急救命士らによる専門チームがクリニックに代わって電話対応や往診を担い、独自のシステムでリアルタイムな情報共有も実現。医療従事者の過重労働を解消し、地域医療の持続可能性と質の向上を支援している。


メディカルジョブアワード2026は 2月28日(土)に開催

符先生のお話を直接会場で伺える「メディカルジョブアワード2026」は2026年2月28日に開催いたします。ぜひ、お申込みの上でご参加ください。

※企業様のご参加は、スポンサーの方のみ受け付けています。
info@med-pro.jpまでご連絡ください。

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