医師の皆様、こんにちは!
第2回は、医師のライフプラン設計に焦点を当て、将来を見据えた資産形成のロードマップについて解説していきます。
人生100年時代と言われる現代、医師といえども、長期的な視点に立ったライフプランと、それに合わせた資産形成戦略が不可欠です
ライフプランとは
ライフプランとは、人生における目標や夢を達成するための長期的な計画です。結婚、出産、住宅購入、子供の教育、老後など、人生における様々なイベントを想定し、いつ、どのようなライフステージを迎えたいのか、そのためにどれくらいの資金が必要になるのかを明確化していきます。
医師のライフプランは、一般の会社員とは異なる点も考慮する必要があります。
- 不規則な勤務時間: 当直や夜勤、緊急手術など、勤務時間が不規則になりがちです。
- 専門性: 専門医資格の取得、研究活動、学会発表など、キャリアアップのための自己投資が必要です。
- 責任の重さ: 患者の命を預かるという責任の重さから、精神的なストレスを抱えやすいです。
- 高収入: 高収入である一方、税金や社会保険料の負担も大きいです。
これらの要素を考慮しながら、医師としてのキャリアプランと、プライベートのライフプランを両立させることが重要です。
ライフプラン設計の重要性
ライフプランを設計することで、以下のメリットがあります。
- 目標達成: ライフプランを明確にすることで、目標達成へのモチベーションを高めることができます。
- 経済的な安定: 将来の資金 needs を予測することで、計画的な貯蓄や投資を行い、経済的な安定を図ることができます。
- 精神的な安定: 将来に対する不安を軽減し、精神的な安定を得ることができます。
- 人生の充実: 自分らしい人生を送るために、ライフプランは羅針盤のような役割を果たします。
特に医師の場合、ライフステージの変化に合わせて、キャリアプランと資産形成戦略を見直していくことが重要です。
ライフプラン設計のステップ
ライフプラン設計は、以下のステップで進めていきます。
- ステップ1:自己分析
◦自分の価値観、興味、強み、弱みを把握しましょう。
▪どんなことに喜びを感じるか、どんなことを大切にしているのか
▪どんな分野に興味があるのか、どんなスキルを持っているのか
◦将来の目標や夢を明確にしましょう。
▪どんな医師になりたいのか、どんなライフスタイルを送りたいのか
▪結婚、出産、育児、マイホーム、旅行、趣味、老後など
◦キャリアプラン、家族計画、住居計画、老後計画などを具体的に考えましょう。
▪いつ、どんなライフイベントを迎えたいのか
▪それぞれのイベントにどれくらいの費用がかかるのか - ステップ2:現状把握
◦現在の収入、支出、資産状況を把握しましょう。
▪毎月の収入、支出、貯蓄額は?
▪預貯金、株式、投資信託、不動産などの資産は?
▪ローンなどの負債は?
◦将来の収入見込み、支出予定などを予測しましょう。
▪昇給、転職、開業などによる収入の変化
▪結婚、出産、育児、教育、住宅購入、老後などによる支出の変化
◦ライフプランに必要な資金を洗い出しましょう。
▪結婚資金、住宅購入資金、子供の教育資金、老後資金など
▪それぞれの資金 needs を具体的に算出 - ステップ3:計画策定
◦自己分析と現状把握の結果に基づき、具体的な計画を立てましょう。
▪ライフイベントの時期、必要な資金、準備方法などを明確化
◦資産形成の目標額、達成時期、運用方法などを決めましょう。
▪いつまでに、どれくらいの資産を築きたいのか
▪貯蓄、投資、保険などをどのように活用するか
◦リスク管理の方法、保険の加入状況なども検討しましょう。
▪投資におけるリスク許容度は?
▪生命保険、医療保険、損害保険などは適切に加入しているか? - ステップ4:実行と見直し
◦計画を実行に移し、定期的に進捗状況を確認しましょう。
▪計画通りに貯蓄や投資ができているか?
▪ライフプランに変化はないか?
◦状況の変化に合わせて、計画を柔軟に見直しましょう。
▪結婚、出産、転職、病気、経済状況の変化など
ライフプランの具体例
以下に、医師のライフプランの具体例をいくつかご紹介します。
- 20代:キャリアの基礎固めと資産形成のスタート
◦初期研修医として、様々な診療科をローテーションし、臨床経験を積む。
◦専門分野を決め、専門医資格取得に向けた勉強を始める。
◦学会参加や論文発表など、積極的に自己研鑽に励む。
◦毎月の収入から一定額を貯蓄し、将来の資金 needs に備える。
◦少額からでも投資を始め、複利効果を活用する。
◦生命保険や医療保険に加入し、万が一の事態に備える。 - 30代:専門医として活躍し、家族を持つ
◦専門医資格を取得し、専門性を高める。
◦結婚、出産、育児など、ライフイベントを経験する。
◦住宅購入を検討し、資金計画を立てる。
◦子供の教育資金を準備し始める。 - 40代:キャリアの充実と資産形成の加速
◦管理職や指導医として、後進の育成にも力を入れる。
◦収入が増加し、資産形成を加速させる。
◦子供の教育費が増加する時期でもあるため、計画的な支出を心がける。
◦不動産投資など、新たな投資にも挑戦する。
◦保険の見直しを行い、保障内容を充実させる。 - 50代:将来の安定と資産の保全
◦キャリアの集大成として、専門性を活かした活動を展開する。
◦退職後の生活を見据え、老後資金の準備を本格化する。
◦年金、退職金、資産運用益などを考慮し、老後資金計画を具体化する。
◦相続対策、贈与対策などを検討し、資産の保全を図る。 - 60代以降:健康で豊かな老後生活
◦退職後、趣味やボランティア活動など、自分らしい時間を過ごす。
◦旅行やレジャーを楽しむ。
◦健康維持に努め、医療費を抑える。
◦資産を計画的に取り崩し、生活費を確保する。
◦子や孫への贈与など、資産の継承を考える。
ライフプラン設計のポイント
- 長期的な視点を持つ: ライフプランは、短期的な視点ではなく、長期的な視点で考えることが重要です。5年後、10年後、20年後、そして老後まで見据え、人生全体を俯瞰して計画を立てましょう。
- 柔軟性を持つ: 状況は常に変化するため、計画を柔軟に見直すことが大切です。結婚、出産、転職、病気、経済状況の変化など、予期せぬ出来事が起こる可能性もあります。定期的にライフプランを見直し、必要があれば修正しましょう。
- 専門家を活用する: ファイナンシャルプランナー、税理士、弁護士など、専門家のサポートを受けることも有効です。専門家は、客観的な視点からアドバイスをくれるだけでなく、最新の知識や情報も提供してくれます。
まとめ
ライフプラン設計は、将来の目標を達成するために非常に重要なプロセスです。 ご自身の状況に合わせて、具体的なライフプランを設計し、将来を見据えた資産形成を始めましょう。
次回のテーマ:勤務医のための資産形成戦略:限られた時間で効率的に資産を増やす
第3回は、特に勤務医の方々に向けて、限られた時間の中で効率的に資産を増やすための戦略について解説します。
こんな内容をお届けします
- 勤務医のリアル:多忙な日々、収入と支出のバランス、将来への不安
- 時間がないからこそ重要!効率的な資産形成の考え方
- 勤務医におすすめの投資方法
◦投資信託:初心者でも始めやすい、時間分散投資
◦株式投資:成長性のある企業への長期投資
◦不動産投資:安定収入と節税効果
◦その他:REIT、ETF、iDeCo、NISA - 資産形成をサポートする制度:
◦財形貯蓄、企業型確定拠出年金 - 勤務医が陥りやすいNGパターン:
◦情報収集不足、感情的な投資、高額な手数料 - 成功する勤務医の共通点:
◦明確な目標設定、長期的な視点、継続力
さらに
- 忙しいあなたも大丈夫!スキマ時間を活用した情報収集術
- 資産形成のパートナー:FP(ファイナンシャルプランナー)の活用
- 勤務医のライフプランに合わせた資産形成術:年代別、家族構成別
乞うご期待!
次回の記事では、勤務医の皆様が限られた時間の中で効率的に資産を増やし、将来の経済的な安定を手に入れるための具体的な戦略と方法をご紹介します。ぜひ、次回の更新もお楽しみに!
2025/03/31
著者:鎌形博展
医師、株式会社EN 代表取締役、医療法人社団季邦会 理事長、東京医科大学病院 非常勤医師

東京都出身。埼玉県育ち。
明治薬科薬学部を卒業後、中外製薬会社でMRとなるも、友人の死をきっかけに脱サラして、北里大学医学部へ編入する。
卒業後は東京医科大学病院救命救急センターにて救急医として従事。2017年には慶應義塾大学大学院にて医療政策を学び、MBAを取得。東北大学発医療AIベンチャー、東京大学発ベンチャーを起業した他、医療機器開発や事業開発のコンサルティングも経験。2019年、うちだ内科医院を継承開業。以降、2020年に医療法人季邦会(美谷島内科呼吸器科医院)を継承し、2021年には街のクリニック 日野・八王子を新規開業。2023年には株式会社EN創業。国際緊急援助隊隊員・東京DMAT隊員・社会医学系専門医。趣味はBBQ。43歳で剣道・フェンシングを再開