中国の医学部留学は魅力もある一方で、生活環境や勉強スタイルは日本と大きく異なり、語学や文化の違いに加えて臨床実習や膨大な勉強量への備えも必要です。留学前の事前準備として、必要な持ち物を揃えることはとても重要です。そこで本記事では、実際に中国医学部へ留学した人たちの声を参考に、「持って行って本当に役立ったもの11選」を理由付きでご紹介します。これから渡航準備をする方は、ぜひチェックして万全の準備で留学生活をスタートさせましょう。

高性能スマートフォン(SIMフリー機種)

中国での生活ではスマートフォンが生活の要です。買い物や食事の支払いはほぼキャッシュレスで、現金よりも微信支付(WeChat Pay)や支付宝(Alipay)などスマホ決済が主流となっています。処理が遅い古いスマホだと支払いの度にストレスになりますし、もし安価な機種が故障してしまったら非常に困ります。そのため、できるだけ高性能なスマートフォンを用意しておくと安心です。またSIMロック解除は必須です。日本で購入したスマホでも渡航前にSIMフリー化しておけば、中国現地のSIMカードを挿して通信サービスを利用できます。

日本版のスマホであればおサイフケータイ対応で日本帰国時にも便利ですし、最新のiPhoneなどデュアルSIM対応機種なら中国用と日本用の番号を1台で管理できます。また、事前にVPNアプリや中国向け生活アプリ(Wechatなど)もインストールしておくと、現地ですぐスムーズに使い始められます。とはいえ、中国でもiPhoneなど主要なスマホは購入可能なので、万一準備し忘れても現地調達はできます。ただ、LINEやX〈旧Twitter〉、Instagram、chatgptなど(中国国内で直接利用できないものは現地でダウンロードできない可能性もある)は渡航前に入れておき、必要ならそれらを使うためのVPNアプリも検討しておくと良いでしょう。

ノートパソコンやiPad

大量の授業資料やリサーチ作業には信頼できるノートPCやタブレット端末が欠かせません。長期間使える品質の良いものを日本で購入して持参すれば、故障も起きにくく、万一トラブルが起きても日本語でサポートを受けやすいメリットがあります。OSはWindows搭載機がおすすめです。中国の大学では配布資料や教務システムがWindows前提で作られていることが多いため、Macだと文字化けやレイアウト崩れが起きたり、Safariでは課題提出システムに対応しない場合があります。講義で使うプレゼン資料もWindows用フォントで作成されていることが多いので、互換性を考えるとやはりWindows環境が無難です。とはいえ、実際にはApple製デバイス(MacBookやiPad)を愛用して留学生活を送っている学生の方が多い印象です。全てAppleで揃えても不自由なく暮らせており、むしろデバイス間の連携が取れて便利です。要は自分が使いやすいものを選べば問題ありません。ただし、海外対応(100〜240V対応)の電源アダプタを備えた機種を選び、変圧器なしでそのまま使用できるようにしておきましょう。

下着や日本の服(お気に入りがあれば)

衣類にこだわりがある人は、日本の下着や服も必要に応じて持って行くことをおすすめします。中国にもユニクロ、ワコールをはじめ日本ブランドの衣料品店はありますが、全体的に日本より割高です。また中国現地でも服は安く手に入りますが、日本ならではのデザインやサイズ感・質感が恋しくなることもあります。特に下着類については、日本のメーカー品が気軽に手に入らない地域もあります。お気に入りのブランドや着心地にこだわりがある場合は、日本から多めに買って持参すると安心です。現地調達できるものとはいえ、「やっぱり日本製が一番しっくりくる」というものは留学前に揃えておきましょう。

日本のレトルト食品や調味料など

日本の味が恋しくなったときに備えて、保存のきくインスタント食品や調味料を持って行くと大変重宝します。これらは賞味期限が長く、日本の味を手軽に再現でき、しかも現地では入手しにくかったり高価だったりするものばかりです。たとえば以下のような食品・調味料はおすすめです。

  • レトルトご飯(パックご飯)
  • ふりかけ・お茶漬けの素
  • インスタント味噌汁・スープの素
  • 日本のカップ麺・インスタントラーメン
  • レトルトカレーや○○丼の素
  • だしパック・顆粒だし
  • 日本の調味料(醤油・味噌など)
  • 海苔などの乾物類
  • 混ぜご飯の素・おにぎりの素
  • 梅干し・漬物類

など

これらはいずれも保存がきき、日本の家庭の味を思い出させてくれる食品です。中国の料理にまだ慣れない時や、油っぽい食事が続いて胃がもたれるとき、日本から持ってきた食品があると本当に助かります。実際、慣れないうちは日本食の恋しさに救われたという留学生も多いです。ただし、持ち込み量や航空機の液体物持ち込み制限、重量制限には注意しましょう。※食品をさらに充実させたい場合は、各カテゴリーで具体的なおすすめ商品を検討してみても良いでしょう。

文房具(日本製ノート・ペン・学習用具)

使い慣れた日本製の文房具一式はぜひ持参しましょう。日本のノートは紙質が良くて書き心地が抜群で、「日本製品の品質を知ってしまったらもう戻れない」と言われるほどです。筆記具についても、現地で安いペンを買うとインクがすぐ途切れたり漏れたりしてストレスになることが少なくありません。実際、「中国でよく売られているペンはインクが出なくなったり、漏れたりとトラブルが多かった。日本の文具の質を知ってしまうともう戻れない」という声もあります。お気に入りのノート(例:コクヨのキャンパスノート)やペン(例:三菱鉛筆のジェットストリーム)を十分な数用意し、付箋やインデックスシールなど細かな勉強サポート用品も日本で揃えて持って行きましょう。日本でまとめ買いして持ち込めば、現地で割高なものを買わずに済みます。

慣れ親しんだ文具で勉強することで、ノート作りや復習もストレスなく行え、学習効率アップにつながります。もちろん中国でも探せば安価で質の良い文房具に出会えることもありますので、文房具自体の優先度は他の必需品より下がります。ただし、日本の受験勉強でおなじみの赤シートや緑のペン、ラミネートインデックスは中国で入手しづらく苦労したという声もありました。こうした勉強グッズを使う方は、日本から持って行くと安心です。

日本の化粧品・日用品

肌に直接触れるコスメ類やシャンプーなどの日用品は、普段使っている日本製のものを持参する方が安心です。中国でも日本ブランドの商品は入手できますが、どれも日本より割高なうえ、人気製品だと精巧なニセモノが出回っていることもあります。特に敏感肌の方や愛用している製品がある場合は、日本から多めに持ち込むのがおすすめです。たとえば筆者は日本の化粧水・乳液を愛用しており、現地でも購入可能ではあるものの入手に時間がかかるうえ非常に高価なので、毎回日本でまとめ買いして持って行きました。また、北京など北方の地域は空気が乾燥するため、ユースキンなど高保湿のハンドクリームやリップクリームも必需品です。お気に入りの日本製日用品で一通り揃えておけば、渡航直後から環境の変化による肌荒れや生活上の不便を感じにくくなります。ちなみに歯ブラシや歯磨き粉は中国でも意外に安く手に入るため、それらは現地で調達しても問題ありません。

常備薬・医薬品セット

環境の変化や慣れない生活で体調を崩すこともあるため、日本で使い慣れた薬を一通り持って行きましょう。おすすめの持参薬リストは以下の通りです。

  • 風邪薬
  • 胃腸薬
  • 鎮痛剤(痛み止め)
  • 整腸剤
  • 目薬
  • 絆創膏(ばんそうこう)
  • 虫刺され薬(かゆみ止め)
  • 体温計 •うがい薬(例えばイソジン)

中国でも薬局で薬は買えますが、成分や味が日本と異なり戸惑う場合が多いです。日本から常備薬を持っていれば、いざ体調を崩したとき現地の薬に頼らずすみ安心です。実際に留学生の持ち物リストでも「風邪薬、整腸薬、鎮痛剤、体温計は持って行ってよかった」という声が多くあります。さらに、中国の蚊は日本よりも強力で刺されると痒みが酷いため、ムヒなどの虫刺され用かゆみ止めもあると重宝します。どの寮にも救急セットが備え付けられているとは限りませんが、日本の医薬品は品質が高く信頼できますので、万一の場合に備えてひと通り用意しておくと良いでしょう。

なお、綿棒など一見些細な日用品も日本品質が安心です。以前、中国で購入した綿棒を使っていたのですが、耳掃除中に綿棒の棒が途中で折れてしまい焦った…という経験があります。日本製の綿棒の頑丈さを痛感しました。このように細かな点ですが、「あって良かった」と思える日本製品は薬以外にもありますので、余裕があればカバンに忍ばせておきましょう。

クレジットカード・デビットカードと送金手段の確保

日常の支払いは中国ではスマホ決済が中心ですが、緊急時の資金源としてデビットカードやクレジットカードも必ず用意しておきましょう。実際、中国留学経験者の中には「中国滞在中、カードが急に必要になった場面が2回ほどあった。もし持っていなかったらと思うとゾッとする」と語る方もいます。たとえば病気やケガで急に高額の医療費が必要になった際、日本のクレジットカードで立て替えて難を凌いだケースがありました。また、オンラインで日本のサービスを利用する際や渡航費の支払いなど、カード決済が求められる場面も意外と多いものです。VisaやMastercardなど国際ブランドで、海外旅行保険が付帯した学生向けカードを1枚持っていると心強いです。デビットカードも予備で持っているとなお安心でしょう。普段は出番が少なくても、「いざという時のお守り」として財布に入れておくことをおすすめします。 加えて、中国の銀行口座に送金する手段も確保しておきましょう。日本から現地へ学費や生活費を送る必要が出たときのために、以下のような方法がよく利用されています。

日本の中国工商銀行口座を活用

日本国内で中国工商銀行の口座を開設し、渡航後に開設する中国工商銀行(中国現地法人)の口座へ日本から送金する方法。同じ銀行同士でスムーズに送金できます。

中国工商銀行東京支店ホームページへようこそ

SMBC信託銀行プレスティアの海外送金サービス

SMBC信託銀行プレスティア(旧シティバンク銀行)の口座を開設し、日本円を中国の銀行口座に海外送金して、現地ATMなどで中国元として引き出す方法。円建て送金でも現地でそのまま引き落としが可能です。

海外送金・外貨送金|SMBC信託銀行プレスティア

楽天銀行の海外送金サービス

日本の楽天銀行から中国の銀行口座へダイレクトに海外送金する方法。ネットで手続きできる手軽さがあります。

海外送金|個人のお客さま| 外国への送金や入金受取なら楽天銀行

上記のいずれかの手段を準備しておけば、日本からの送金が必要になった際にも安心です。中国ではクレジットカード自体が使えない場面もまだありますので、現金・スマホ決済・カードと複数の支払い手段を確保しておくことが大切です。

渡航前の予防接種(ワクチン)

厳密には「持ち物」ではありませんが、中国の医学部に留学するなら渡航前の予防接種は必ず受けておきましょう。中でもB型肝炎ワクチンは最重要です。中国はB型肝炎ウイルスの感染者が多い地域であり、医学生であれば実習中に針刺し事故などで血液に触れるリスクもあります。B型肝炎は一度感染すると一生ウイルスと付き合う必要があり、将来肝硬変や肝臓がんのリスクも上がってしまう怖い病気です。日本では3回のワクチン接種で高い予防効果が得られるため、留学が決まったら早めに接種スケジュールを開始してください。 加えてA型肝炎(衛生環境の違いによる感染予防)や破傷風、狂犬病、日本脳炎、水疱瘡、おたふく風邪などのワクチンも、渡航前に済ませておくと安心です。現地の大学によっては入学時に予防接種証明の提出を求められることもあります。自分の身を守るため、必要なワクチンは漏れなく接種してから渡航しましょう。なお、以前中国渡航前に受けるべきワクチンについて詳しくまとめた記事も執筆しましたので、気になる方はぜひそちらも参考にしてください。

スクラブや白衣

実習で使うスクラブや白衣も、可能であれば日本から持って行くことをおすすめします。もちろん中国でも購入できますが、Clasico(クラシコ)やDickies、Mizuno(ミズノ)など人気ブランド品は中国では輸入扱いとなり、購入に中国の身分証明書が必要だったりと少し面倒でした。実際にそれで困った経験があります。日本で手に入るお気に入りブランドのスクラブや白衣があるなら、ぜひ渡航前に用意して持参してください。サイズや品質の面でも安心ですし、現地で「あのブランドが買えない!」と困る心配もなくなります。

日本の重要書類

各種手続きに備えて、日本の重要書類も忘れずに!中国留学中に思わぬトラブルや手続きが発生した際、日本の書類が必要になる場面があります。たとえば、パスポートを紛失した場合には戸籍謄本の提出が求められることがありますし、中国での銀行口座開設にはマイナンバーカードが必要なケースもあります。その他にも、運転免許証やパスポートのコピーなどがあると、本人確認や各種申請の際にスムーズです。あらかじめ必要になりそうな公的書類を1部ずつ準備しておくと、万一のときに慌てず対応できます。重要書類はスキャンしてクラウドに保存するなど、紛失・盗難対策も万全にしておきましょう。

まとめ

以上、中国医学部留学で実際に役立った持ち物11選をご紹介しました。どれも留学生たちの実体験に基づく必需品であり、あなたもきっと「あって良かった!」と感じる場面があるはずです。初めての海外生活では不安も多いですが、万全の準備を整えておけば現地で勉強に集中でき、何かトラブルが起きても落ち着いて対処できます。また、基本的に必要なものは全て現地でも揃えられるので、万一忘れ物があっても心配しすぎないでください(例えばモバイルバッテリーなどはAnkerなど有名ブランド品が中国でも手頃な価格で入手でき、デリバリーサービスで簡単に取り寄せることも可能です)。とはいえ事前に持ち物をしっかり準備しておくに越したことはありません。

ぜひこのリストを参考に、自分の留学スタイルに合わせた持ち物計画を立ててみてください。十分な準備を整え、自信を持って中国での医学部留学生活をスタートさせましょう!皆さんの留学成功を応援しています!

参考文献・情報源
  1. 初めて中国へ留学する時に持っていきたいもの10選
  2. 中国 留学生活必需品

Xも日々更新しております!
最新記事掲載時は、Xでご案内いたします!
ぜひフォローを宜しくお願いします。

Visited 5 times, 1 visit(s) today