中国の医学部を卒業後、日本で医師免許を取得するためのステップを詳しく解説しています。受験資格認定のルート分岐、日本語診療能力調査、予備試験とその構成、本試験、研修医マッチングまでの流れを体系的に紹介。さらに、試験対策やおすすめ教材、学習法についても具体的にまとめており、これから日本で医師を目指す方に役立つ内容になっています!

はじめに

中国の医学部を卒業した後、日本で医師国家試験を受験し医師免許を取得するには、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。まず、厚生労働省への受験資格認定申請を行い、認定を受けることが必須です。認定審査の結果により、①そのまま本試験受験資格が認定されるケース(Aルート)、②医師国家試験予備試験(予備試験)を受験するケース(Bルート)、③その両方の受験資格が認められないケース(Cルート)などに分かれます。

ステップ主な内容
受験資格認定厚生労働省に申請し、医師国家試験の受験資格を認定してもらう
日本語診療能力調査日本語で診療できるかを評価する試験に合格
予備試験第一部(基礎医学筆記)・第二部(臨床医学筆記&実技)の三段階試験に合格し、1年以上の臨床研修へ進む
医師国家試験本試験予備試験合格・研修修了後に日本の国家試験(本試験)を受験・合格
研修医マッチング合格後、研修プログラムに応募・マッチングし、初期臨床研修を開始
表1:日本の医師免許取得までの主な流れ(中国医学部卒業生の場合)

受験資格認定とルート

まず、中国の医学部を卒業した者は、厚生労働省に受験資格認定の申請を行います 。認定審査では、卒業校のカリキュラムや修業年限などがチェックされ、結果によって受験ルートが決まります 。認定されれば、Aルートで直接日本の本試験受験資格が得られる場合もありますが、5年制であると中国医学部は臨床実習時間が不足しているとされ、ほとんどの場合Bルートとなります。Bルートでは「医師国家試験予備試験」を経由する必要があり、この試験に合格したのちに1年以上の臨床研修を修了して初めて本試験の受験資格が与えられます。なお中国の医学部には6年制と5年制があり、特に5年制卒業者は予備試験が必須となる点に注意が必要です 。一部の6年制課程は認定要件を満たしやすい場合もあります。

予備試験と本試験の違い

予備試験

予備試験 は外国医学部卒業者が日本の本試験を受験するための関門です。予備試験は三段階構成で、第一部試験(基礎医学の筆記)と第二部試験(臨床医学の筆記と実技)から成ります 。第一部では解剖学(組織学を含む。)、生理学、生化学、免疫学、薬理学、病理学、法医学、微生物学(寄生虫学を含む。)及び衛生学(公衆衛生学を含む。)など基礎医学の筆記試験、第二部では内科学、小児科学、精神科学、外科学、整形外科学、産科・婦人科学、皮膚科学、泌尿器科学、耳鼻いんこう科学、眼科学、放射線科学及び救急医学(麻酔科学を含む。)などの臨床医学の筆記試験や内科学、外科学、産科・婦人科学、小児科学及び救急医学(麻酔科学を含む。)などの口頭実技試験が行われます。各試験には合格基準が定められており、特に実技試験は模擬患者を相手に問診や診察の口頭試問で評価されます。予備試験に合格すると、さらに1年以上の臨床研修(臨床研修病院での実地研修)を修了し、ようやく本試験(国家試験本試験)の受験資格が得られます。

ちなみに今年の試験期日と合格通知日は以下になります。参考にしてみてください。

  • 試験期日:
    第1部試験(筆記試験):令和7年6月16日(月曜日)

    第2部試験
    ア筆記試験:令和7年9月25日(木曜日)
    イ実地試験:令和7年11月5日(水曜日)又は6日(木曜日)
  • 合格通知:
    第1部試験の合格者:令和7年7月25日(金曜日)
    第2部試験筆記試験の合格者:同年10月21日(火曜日)
    第2部試験実地試験の合格者:同年11月26日(水曜日) に本人に合格した旨を通知する。

参考:令和7年度医師国家試験予備試験の施行|厚生労働省

本試験

一方、Aルートの場合は認定段階で直接本試験受験が認められます。認定要件を満たすケースはまれですが、例えば6年以上(進学課程;2年以上、専門課程;4年以上)の一貫した現代西洋医学の専門教育(4500時間以上)や、WHOのWorld Directory of Medical Schools原則報告されている、中国の医師免許を持っているなどいくつかの条件を満たしている場合には書類審査のみで本試験受験資格が得られることがあります 。

参考:医師国家試験受験資格認定について|厚生労働省

日本語診療能力調査とは

外国で医学を学んだ者は、受験資格認定の際に 日本語診療能力調査の受検が必要です。日本語診療能力調査の受検が必要になります。これは、日本語を用いて診察を行うために十分な能力があるかどうかを確認する試験です。調査では、医療面接や診断書作成など、日常診療で必要な「聴く・話す・読み取る・書く・診察する」能力が審査されます 。厚労省によれば、合計100点満点で60点以上かつ各領域で0点評価がないことが合格の条件とされています 。日本語力に不安がある場合は、模擬面接やOSCE形式の練習講座で実践力を高めると良いでしょう。

以前日本語診療能力調査についての記事を書いたので、そちらも参考にしていただけたらより詳しくわかると思います。
マッチングに影響も?海外医学部卒が避けて通れない「日本語診療能力調査」

勉強法と教材例

予備試験・本試験はいずれも難易度が高いですが、計画的に対策を進めることで合格の可能性が高まります。特に基礎医学の徹底復習は合格への第一歩です。中国医学部出身者にとっても、解剖学や病理学といった基礎医学の理解度が合否を分ける重要ポイントとなります。範囲は広いですが、学習内容を計画的に区切り、反復学習を通じて確実に知識を積み重ねていくことが大切です。

また、一人で学習するのが難しい場合は医学専門予備校の講座やオンライン学習サービスを活用するのも有効です。プロ講師による講義は重要ポイントが整理されており、効率よく学習を進められるだけでなく、疑問点をその場で解消できる環境も魅力です。さらに、日本語診療能力調査の対策としては、日本語での問診練習や症例ベースの模擬診察の練習がおすすめです。これは試験対策だけでなく、将来の臨床研修・日本での診療現場でも必須となるため、早めに取り組んでおくと安心です。また、ANKIなどの暗記アプリやカードアプリを活用することで、通学中やちょっとした空き時間を使って効率的に学習でき、医学用語の定着にもつながります。

使用教材例

【第1部(基礎医学)】

  • 『解剖学イラスト』
  • 『生理学テキスト』
  • 『標準生化学』
  • 『標準微生物学』
  • 『基礎免疫学』
  • 『薬理学Qシリーズ』
  • 『病理学Qシリーズ』
  • 『公衆衛生が見える』
  • 『学生のための法医学』 •Medu4、Medhlink、MEC、TECOMなど

【第2部(臨床医学)】

  • 『レビューブック』シリーズ(各専門科目の要点まとめ)
  • Medu4、Medhlink、MEC、TECOMなど

【第3部(実地試験)】

  • 『診察ができる』
  • 『鑑別診断ができる』
  • 予備校の実地試験対策講座、日本語診察の実技練習

【補助ツール】

  • ANKI暗記ソフト(医学用語や重要ポイントの反復学習に最適)
  • スケジュール管理アプリ(長期的な学習計画を可視化し、学習習慣の定着を図る)
参考
  1. https://mp.weixin.qq.com/s/bFQMwXX4JR8rv09doAxjtA
  2. https://x.gd/xSXjt
  3. https://x.gd/mbiCP
  4. 令和7年度医師国家試験予備試験の施行|厚生労働省
  5. 医師国家試験受験資格認定について|厚生労働省
  6. 2025年度日本医師国家試験予備試験の概要、日程、内容、レベルについて
  7. 海外医学部で医師国家試験受験資格を得る国・得られない国 完全比較ガイド【2025年最新版】

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