中国医学部卒業後の進路は?

近年、「中国医学留学」という選択肢を視野に入れる方も増えてきています。
学費の安さ、英語・中国語での授業、東洋医学との融合などの魅力がありますが、卒業後の進路については不安に思う人も多いのではないでしょうか。

中国の医学部を卒業した後、主な進路として以下の3つが考えられます。

・日本に帰国し、日本の医師国家試験を受験
・中国国内で就職し、臨床や研究の道へ進む
・海外第三国(例:東南アジア、中東、欧米)でのキャリア

それぞれのルートには資格の互換性や試験制度の違いが関わってくるため、事前の情報収集と計画が重要です。

医師免許の互換性:日本と中国はどう違う?

日本と中国では医師資格の制度が異なるため、単純な互換性はありません。

・中国の医師資格(医師資格証)は、中国国内での臨床医としての実務が可能ですが、日本ではこの資格のみで医師として働くことはできません。
・日本で医師として働くためには、厚生労働省が定める「外国の医学校卒業者に対する認定審査」と、日本の医師国家試験への合格が必要です。

日本の医師国家試験に合格する方法

認定審査とは?

中国医学部卒業生が日本の医師国家試験を受験するには、まず厚労省の「医師国家試験受験資格認定」を受ける必要があります。この審査では、次のような認定基準があります。
・医学校の入学資格
・医学校の教育年限及び履修時間
・医学校卒業までの修業年限
・医学校卒業からの年数
・教育環境
・当該国の政府の判断
・医学校卒業後、当該国の医師免許取得の有無
・日本語能力

など この認定が通れば、日本の医師国家試験を受験する資格が得られます。

参考リンク:医師国家試験受験資格認定について|厚生労働省
*認定基準は変更される可能性もあるため、最新の情報を厚生労働省のウェブサイトなどで確認することが重要です。

日本の医師国家試験:合格戦略

試験は全問日本語で出題され、日本の医療制度・診療ガイドラインに基づいた内容となっています。そのため、中国医学部での勉強に加えて、以下の対策が有効です。

面接試験のポイント

・日本の医師国家試験対策予備校の利用(メック、TECOMなど)
・日本の臨床実習に参加(短期インターンシップなど)
・過去問・参考書を用いた学習(QBシリーズなど)

日本と中国の医療システムの違い

日本と中国では医療制度・文化にいくつかの違いがあります。以下は主な違いの例です。

項目日本中国
診療スタイル時間をかけた問診・検査重視スピード重視・医師主導型
医療保険制度国民皆保険都市部中心の保険制度
東洋医学との関わり補完的(漢方)主流の一部(中西医結合がある)
患者数中国に比べると少ない一人の医師が一日に数百人診ることも

日本で働きたい場合、このようなシステムの違いを理解し、日本式の医療に慣れることも必要です。

中国国内で働く?日本で働く?

中国国内でのキャリア

・大学附属病院などで臨床経験を積む
・大学院進学
・中国の医師国家試験(医師資格証+医師執業証)を取得して勤務

日本でのキャリア

・国家試験合格後、初期臨床研修(2年間)→後期研修・専門医
・漢方アドバイザーや国際医療、日中連携事業など多様なキャリアが開ける
・医療通訳や国際渉外、研究職への道もあり

卒業生のキャリア事例紹介

実際に中国医学部を卒業した日本人学生の進路をご紹介します。

事例1

・中国の医学部卒業後、中国国内で臨床経験を積む
・国家試験認定通過後、関東の研修病院で初期研修
・現在は日本で医師として勤務しつつ、中国と日本の医療交流事業にも参画

事例2

・中国の医学部卒業後、大学院進学
・中国の医師免許取得→中国の病院で臨床経験を積む

まとめ

戦略的な準備が未来を変える

中国医学留学は、視野を広げる素晴らしい選択肢ですが、卒業後の進路を明確にイメージしておくことが成功のカギです。

・「日本で医師として働く」ためには国家試験対策が必須
・「中国でキャリアを築く」場合は現地の資格取得と語学力が重要
・ハイブリッドな人材は、今後ますます重宝される可能性も高い

将来のキャリアを見据えて、早めに情報収集と準備を始めましょう。

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