先生、将来の安定収入と節税効果、どちらも手に入れたくありませんか?
不動産投資は、医師の皆様にとって、安定した収入源を確保し、税負担を軽減するための有効な手段となりえます。
今回は、不動産投資に興味がある医師の皆様に向けて、基礎知識から物件選び、資金調達、賃貸経営、節税効果、リスク管理まで、網羅的に解説していきます。
不動産投資の基礎知識
不動産投資とは、住宅やアパートなどの不動産を購入し、賃貸することで家賃収入を得る投資方法です。
株式投資などと比べて、価格変動リスクが低く、安定した収益を得やすいという特徴があります。
また、インフレ対策や節税対策としても有効です。
不動産投資のメリット・デメリット
メリット
- 安定した収入源:
◦家賃収入は、景気の影響を受けにくく、長期的に安定した収入源となる可能性があります。
◦特に、人口減少時代においても、都心部や大学病院周辺など、需要の高いエリアの物件は安定収入が見込めます。
◦賃貸経営は、本業の収入とは別の収入源を確保できるため、収入の多角化にも繋がります。
◦将来的に、年金収入だけでは生活費が不足する可能性がある場合、不動産収入は強力な支えとなります。 - インフレ対策:
◦インフレ時には、物価上昇に伴い家賃も上昇する傾向があり、不動産価値も上昇する可能性があります。
◦現金の価値が下がるインフレ時にも、不動産は実物資産として価値を維持できる可能性があります。 - 節税効果:
◦減価償却費、不動産取得税の軽減措置、固定資産税・都市計画税の経費計上など、様々な節税効果があります。(後述で詳しく解説)
◦これらの節税効果を活用することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。
◦高所得者である医師にとって、節税効果は大きなメリットとなります。 - 資産形成:
◦不動産は、将来的に売却益を得たり、相続財産として活用したりすることができます。
◦長期的な視点で資産形成を行うことができます。
◦子供への資産承継にも活用できます。
デメリット
- 多額の初期費用:
◦不動産は、将来的に売却益を得たり、相続財産として活用したりすることができます。
◦長期的な視点で資産形成を行うことができます。
◦子供への資産承継にも活用できます。 - 空室リスク:
◦入居者が見つからない場合、家賃収入が得られず、ローン返済や管理費などの費用負担が生じます。
◦立地条件や物件の状態、賃貸市場の動向などを考慮して、空室リスクを最小限に抑える必要があります。
◦空室対策として、リフォームや家賃設定の見直しなどを行う必要があります。 - 流動性の低さ:
◦不動産は、株式などと比べて売却に時間がかかる場合があり、すぐに現金化することが難しい場合があります。
◦緊急時に資金が必要になった場合、対応が難しい可能性があります。 - 金利変動リスク:
◦融資を受けて不動産投資を行う場合、金利が上昇すると返済額が増加し、収益を圧迫する可能性があります。
◦金利変動リスクをヘッジするために、固定金利型のローンを選択するなどの対策が必要です。 - 災害リスク:
◦地震や火災などの災害によって、物件が損壊するリスクがあります。
◦火災保険や地震保険に加入することで、リスクに備えることができます。
◦保険料や自己負担額などを考慮し、適切な保険を選ぶ必要があります。 - 法律・税制の変更リスク:
◦不動産投資に関する法律や税制は、変更される可能性があります。
◦法律や税制の変更によって、収益が減少する可能性もあります。
◦最新の情報に注意し、必要に応じて対応する必要があります。
医師に最適な物件選びのポイント
物件の種類
- 区分マンション:
◦比較的購入価格が安く、管理も比較的容易なため、不動産投資初心者にもおすすめです。
◦都心部や駅近など、利便性の高いエリアに物件が多いのも特徴です。
◦ワンルームマンションは、単身者向けの需要が高く、入居者を見つけやすいです。
◦ファミリータイプのマンションは、家賃収入が高く、安定した入居が見込めます。
◦ただし、一棟アパートに比べて家賃収入が少なく、管理組合との関係など、考慮すべき点もあります。
◦管理規約や修繕積立金の額などを確認しておく必要があります。 - 一棟アパート:
◦区分マンションに比べて家賃収入が多く、自由度も高いです。
◦建物の修繕やリフォームなどを自分の判断で行うことができます。
◦複数の部屋を所有することで、空室リスクを分散できます。
◦ただし、管理の手間がかかり、空室リスクも高くなる傾向があります。
◦ある程度の資金力と不動産投資の知識が必要です。
◦木造アパートは、建築費用が安く、利回りが高くなる傾向がありますが、耐用年数が短く、修繕費用がかかりやすいです。
◦鉄骨造や鉄筋コンクリート造のアパートは、建築費用が高く、利回りが低くなる傾向がありますが、耐用年数が長く、修繕費用が抑えられます。 - 戸建て
◦ファミリー層など、比較的長期的な入居が見込めるため、安定した家賃収入が期待できます。
◦一棟アパートに比べて管理の手間が少ないのもメリットです。
◦庭付きや駐車場付きなど、付加価値の高い物件は、家賃収入を高めることができます。
◦ただし、区分マンションに比べて購入価格が高く、空室になった場合のリスクが大きくなります。
◦建物の老朽化や設備の故障など、メンテナンス費用がかかる可能性があります。 - 一棟マンション:
◦多くの住戸から家賃収入を得ることができ、安定した収益が見込めます。
◦共用部分の管理費や修繕積立金などの収入も得られます。
◦規模の経済効果により、管理費や修繕費用を抑えることができます。
◦ただし、区分マンションや戸建てに比べて購入価格が高額になる傾向があります。
◦管理組合の運営や大規模修繕など、管理の負担が大きくなる可能性があります。
◦購入前に、建物の状態や管理状況などをしっかりと確認することが重要です。
◦耐震性や設備の老朽化などを確認し、必要に応じて修繕計画を立てる必要があります。 - ビル・事業用物件:
◦テナントの入れ替えによって、家賃収入が変動する可能性があります。
◦景気の影響を受けやすく、空室リスクも高いため、専門的な知識が必要です。
◦医師の副業として行う場合は、医療モールなど、医療関連のテナントが入る物件も選択肢となります。
◦医療モールは、医療機関が集積することで、相乗効果が期待できます。
立地条件
- 駅近:
◦駅からの距離は、入居者にとって最も重要な要素の一つです。
◦特に、徒歩10分圏内の物件は人気が高く、空室リスクを低減できます。
◦駅の規模や路線、周辺の環境なども考慮する必要があります。
◦ターミナル駅や主要路線の駅は、利便性が高く、入居者が見つかりやすいです。 - 生活利便性:
◦スーパー、コンビニ、ドラッグストア、病院、学校など、生活に必要な施設が近くにあると、入居者の満足度が高まります。
◦特に、ファミリー層をターゲットとする場合は、学校や公園が近くにあることも重要です。
◦飲食店や娯楽施設なども充実していると、入居者の生活が豊かになります。 - 治安:
◦治安が良いエリアは、入居者に安心感を与え、長期的な入居に繋がります。
◦犯罪発生率や街灯の設置状況などを確認しましょう。
◦周辺の環境や住民の属性なども考慮する必要があります。 - 再開発エリア:
◦再開発によって街の価値が向上し、将来的に物件価値や家賃の上昇が期待できます。
◦再開発計画の情報は、自治体のホームページなどで確認できます。
◦再開発の進捗状況や完成時期などを確認しておく必要があります。 - 周辺環境:
◦静かな住宅街、緑豊かな公園、商業施設が集まるエリアなど、周辺環境も重要な要素です。
◦ターゲットとする入居者層に合わせた周辺環境を選びましょう。
◦例えば、単身者をターゲットとする場合は、駅近で商業施設が充実しているエリアが適しています。
◦ファミリー層をターゲットとする場合は、静かな住宅街で公園や学校が近くにあるエリアが適しています。
物件の築年数
- 新築:
◦設備が新しく、入居者にとって魅力的です。
◦当面の間、大規模な修繕の必要性が低く、管理の手間も少ないです。
◦最新の設備や省エネ性能を備えているため、入居者の満足度が高く、空室リスクを低減できます。
◦ただし、中古物件に比べて価格が高くなります。
◦価格が高いため、利回りが低くなる傾向があります。 - 中古:
◦新築に比べて価格が手頃で、利回りが高くなる傾向があります。
◦築年数が経過している分、修繕費用が発生する可能性があります。
◦購入前に、建物の状態をしっかりと確認し、必要な修繕費用を把握しておくことが重要です。
◦リフォームを行うことで、物件の価値を高め、入居者を惹きつけることもできます。
◦リフォーム費用や修繕積立金の額などを考慮する必要があります。
その他
- 利回り:
◦年間の家賃収入を物件価格で割った割合です。
◦利回りが高いほど、投資効率が良いと言えます。
◦ただし、利回りだけで判断するのではなく、空室リスクや修繕費用なども考慮する必要があります。
◦表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(ネット利回り)があり、実質利回りは管理費や修繕積立金などを差し引いた利回りです。
◦実質利回りで比較検討することが重要です。 - 融資:
◦不動産投資ローンを利用する場合、金利、融資期間、融資額などを比較検討しましょう。
◦金融機関によって、融資条件が異なります。
◦医師は、一般的に信用力が高いため、有利な条件で融資を受けられる可能性があります。
◦複数の金融機関から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。 - 管理会社:
◦物件管理を委託する場合、信頼できる管理会社を選びましょう。
◦管理会社によって、サービス内容や費用が異なります。
◦管理会社に依頼する業務内容を明確にし、契約内容をしっかりと確認しましょう。
◦入居者募集、家賃の徴収、物件のメンテナンス、トラブル対応など、管理業務の内容を確認しましょう。
◦管理会社の評判や実績なども参考にしましょう。
不動産投資における資金調達
不動産投資には、多額の資金が必要となるため、金融機関からの融資が不可欠となるケースが多いです。
医師は、一般的に信用力が高く、安定した収入があるため、融資を受けやすい傾向があります。
しかし、融資を受けるためには、しっかりと準備しておく必要があります。
資金調達の方法
- 自己資金:
◦預貯金や株式などを売却して、自己資金を調達します。
◦自己資金が多いほど、融資を受けやすくなります。 - 金融機関からの融資:
◦銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関から融資を受けます。
◦金融機関によって、融資条件が異なります。
◦複数の金融機関から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。 - 不動産投資ローン:
◦不動産投資専用のローンです。
◦金利や融資期間などが、一般的な住宅ローンとは異なります。
◦融資条件は、物件の種類や立地条件、借入人の属性などによって異なります。 - 日本政策金融公庫:
◦国が設立した金融機関です。
◦中小企業や個人事業主を対象とした融資を行っています。
◦不動産投資にも利用できます。
◦金利が低く、融資期間が長いのが特徴です。
融資獲得のためのポイント
- 自己資金:
◦ある程度の自己資金を用意しておくことで、金融機関からの信頼を得やすくなります。
◦一般的に、物件価格の20~30%程度の自己資金があると良いと言われています。 - 事業計画:
◦収支計画、資金計画、賃貸経営計画などを具体的に作成し、金融機関に提示することで、融資の審査に通りやすくなります。
◦具体的な数字や根拠を示すことが重要です。
◦将来的な収益見通しやリスク対策などを明確に示す必要があります。 - 信用情報:
◦過去のクレジットカードの利用状況やローンの返済状況など、信用情報が良好であることが重要です。
◦信用情報に問題があると、融資を断られる可能性があります。
◦信用情報機関に、自分の信用情報を開示してもらい、確認しておくことをおすすめします。 - 金融機関との良好な関係:
◦普段から、メインバンクなど、金融機関と良好な関係を築いておくことが重要です。
◦金融機関の担当者と定期的に面談し、情報交換などを行うことも有効です。
◦自分の financial situation や事業計画などを、金融機関に積極的に伝えることが重要です。
動産投資における賃貸経営
不動産投資では、賃貸経営が重要な要素となります。
賃貸経営を成功させるためには、入居者募集、家賃の徴収、物件のメンテナンス、トラブル対応など、様々な業務を行う必要があります。
入居者募集
- 不動産会社への依頼:
◦不動産会社に、入居者募集を依頼します。
◦広告掲載や内見対応など、入居者募集に関する業務を代行してくれます。
◦仲介手数料が発生します。 - インターネット広告:
◦不動産情報サイトなどに、物件情報を掲載します。
◦広告費用が発生します。 - 口コミ:
◦知人や友人に、物件情報を紹介します。
家賃の徴収
- 銀行振込:入居者に、家賃を銀行振込で支払ってもらいます。
- 口座振替:入居者の銀行口座から、自動的に家賃を引き落とします。
- 現金:入居者から、直接家賃を受け取ります。
物件のメンテナンス
- 定期的な清掃:共用部分の清掃を定期的に行います。
- 設備の修理・交換:設備が故障した場合、修理または交換を行います。
- リフォーム:老朽化した設備をリフォームします。
トラブル対応
- 騒音トラブル:入居者間で騒音トラブルが発生した場合、仲裁を行います。
- 滞納:家賃を滞納する入居者に対して、督促を行います。
- 退去:入居者が退去する際、原状回復工事を行います。
管理会社への委託
賃貸経営の業務を、管理会社に委託することもできます。
管理会社に委託することで、賃貸経営の手間を省くことができます。
ただし、管理費用が発生します。
管理会社に委託する場合は、信頼できる管理会社を選びましょう。
不動産投資で得られる節税効果
減価償却費
- 建物の購入費用は、耐用年数に応じて、毎年一定額を減価償却費として経費計上することができます。
- 減価償却費は、所得から控除できるため、所得税や住民税の節税効果があります。
- 木造建築物、鉄骨造建築物、鉄筋コンクリート造建築物など、建物の構造によって耐用年数が異なります。
- 減価償却方法は、定額法と定率法があり、物件の状況に合わせて選択することができます。
不動産取得税
- 不動産を取得した際に課税される税金です。
- 一定の要件を満たす住宅や土地を取得した場合、軽減措置を受けることができます。
- 特定の地域に居住するための住宅を取得した場合や、一定規模以下の住宅を取得した場合などが軽減措置の対象となります。
固定資産税・都市計画税
- 不動産を所有していると、毎年固定資産税と都市計画税が課税されます。
- これらの税金は、所得税の計算上、経費として扱われます。
- 固定資産税の評価額は、3年ごとに査定されます。
その他
- 住宅ローン控除:
◦一定の要件を満たす住宅ローンを利用して、自己居住用の住宅を取得した場合、所得税が控除されます。
◦控除額は、借入金額や返済期間によって異なります。 - 不動産投資ローン減税:
◦不動産投資ローンを利用して、賃貸用の物件を取得した場合、一定の要件を満たすと、所得税が控除されます。
◦控除額は、借入金額や返済期間によって異なります。
不動産投資におけるリスク管理 【詳細】
2025/04/03
著者:鎌形博展
医師、株式会社EN 代表取締役、医療法人社団季邦会 理事長、東京医科大学病院 非常勤医師

東京都出身。埼玉県育ち。
明治薬科薬学部を卒業後、中外製薬会社でMRとなるも、友人の死をきっかけに脱サラして、北里大学医学部へ編入する。
卒業後は東京医科大学病院救命救急センターにて救急医として従事。2017年には慶應義塾大学大学院にて医療政策を学び、MBAを取得。東北大学発医療AIベンチャー、東京大学発ベンチャーを起業した他、医療機器開発や事業開発のコンサルティングも経験。2019年、うちだ内科医院を継承開業。以降、2020年に医療法人季邦会(美谷島内科呼吸器科医院)を継承し、2021年には街のクリニック 日野・八王子を新規開業。2023年には株式会社EN創業。国際緊急援助隊隊員・東京DMAT隊員・社会医学系専門医。趣味はBBQ。43歳で剣道・フェンシングを再開