ポーランドの名門・ワルシャワ医科大学で学ぶ日本人医学生、福田鈴太朗さん。高校時代にスリランカでのボランティアを経験し、「知識で人を助けたい」という思いから医師を志しました。異国の地で医学を学びながら、将来は国境を越えて人々を支えたいと語ります。勉強と生活の両立に苦労しながらも、成長を続ける福田さんの留学生活や思いを、ぜひご覧ください。
プロフィール

ポーランド・ワルシャワ医科大学で医学を学ぶ日本人医学生の福田鈴太朗さん。
高校時代のスリランカでのボランティア経験をきっかけに「知識で人を助けたい」と医師を志す。
異国の地で学びながら、将来は整形外科医として国境を越えて人々を支えることを目指している。
福田鈴太朗さんのXのリンクhttps://x.com/rintaro_poland?s=21&t=ukRoysnzfO6CliXjn1i5KA
医学部を目指した理由と背景
Q. 医学部を目指すようになったきっかけを教えてください。
昔から漠然と「医師になりたい」という気持ちはありましたが、本格的に目指そうと思ったのは高校生の頃です。スリランカで家を建てるボランティアに参加した際、内戦の影響で恵まれない子どもたちを目の当たりにし、日本とはまったく異なる現実に大きな衝撃を受けました。
現地では「お金は渡さないでほしい」と言われることもありました。お金を渡すことで、ご飯ではなくシンナーなどを買ってしまうことがあると聞き、金銭的な支援には限界があると感じました。また、お金を渡しても一時的な解決にしかならず、「お金は有限である」とも痛感しました。
その経験から、「お金ではなく知識を身につければ、無限に人を助けられるのではないか」と考えるようになり、医師を志す決定的なきっかけとなりました。
今の大学、特にポーランドの医学部を選んだ理由は?
中高一貫でインターナショナルスクールに通っていたため、海外の医学部も視野に入れていました。当時、ハンガリーやチェコの医学部へ進学するケースが増えていましたが、事務の方からポーランドの大学を紹介されたのがきっかけです。
ポーランドの医学部に進学している人はまだ少なく、「自分が行くことで希少価値がある」と思い、思い切って決断しました。どうせ行くなら首都がいいと考え、ワルシャワ医科大学を選びました。日本へのアクセスの良さや都市としての規模、医療設備の充実度、学外との交流機会などを重視しました。特に、移民局が首都にしかなく、就職も首都から埋まっていく傾向があるなど、首都ならではの利点が多いと感じました。
教育面でも、三次救急の整った環境で学べる点、小児科病棟の規模が大きく、循環器・呼吸器など専門分野ごとに学べる点が魅力でした。



学生生活での苦労と工夫
医学部生活で一番大変だったことは?どう乗り越えましたか?
一番大変だったのは、勉強と日常生活の両立です。特に一年生では、すべての単位を取らないと退学になってしまうため、常に大きなプレッシャーを感じていました。中でも解剖学や組織学は特に難しく、多くの学生がつまずく科目でした。
また、ポーランドはキリスト教文化が深く根付いており、日曜日にはスーパーやショッピングモールが閉まるなど、生活面でもさまざまな違いがありました。主食がパンであることに加え、言語面では英語よりもポーランド語が主流であり、英語が通じるのは一部の若い世代に限られる点にも苦労しました。常にマイノリティとして過ごす環境は簡単ではありませんでしたが、その中で「一人では解決できないこともある」と気づき、人と助け合いながら生きる大切さを学びました。



勉強や実習で工夫していること、モチベーションの保ち方は?
「やらなければならないことは、人の何倍の時間をかけてもやる」という意識を持ち、反復学習を大切にしています。また、友人と遊んだり、適度にリフレッシュすることでストレスをためないようにしています。
さらに、新しい刺激を求めて、日本の医学生や社会人と積極的に交流することで、医療以外の視点やビジネススキルも吸収しています。これが良いモチベーションの維持につながっています。
医療現場での印象的な体験
実習や見学の中で印象に残っている出来事はありますか?
ポーランドの病院では、日本ではなかなか経験できないような処置や手術に、学生のうちから指導医のもとで参加できる機会があります。それが大きな学びになっています。
一方で、大学病院は公的機関であり、ポーランド人の患者は、公的保険に加入している場合(ほとんどの国民が該当します)、無料で受診することができる反面、待ち時間が非常に長かったり、機器が少し古かったりする点もありました。日本との医療体制の違いを強く実感しました。


人柄・価値観
あなたが大切にしている信念や価値観を教えてください。
「まずはやってみる」「一歩踏み出す勇気」、そして「常に貪欲でいること」を大切にしています。留学や他国の医学生や社会人との交流などに挑戦して初めて得られるものがたくさんありました。成功体験も失敗もすべて糧にしながら、好奇心を持ち続け、人との出会いを大切にする人間でありたいと思っています。
将来のビジョン
将来はどんな医師になりたいですか?
将来的には日本で医師免許を取得し、国際的に活躍できる医師を目指しています。最近は整形外科に興味があり、専門医を取得したうえで、最終的には国境なき医師団に参加したいと考えています。国境を越えて人を助けられる医師として、患者に寄り添い、柔軟な視点を持ち続ける医師でありたいです。
ポーランドの医療について
ポーランドで医師として活躍するために必要な力は何だと思いますか?
特別な技術よりも、チームワークとコミュニケーション能力が大切だと感じます。最終的にそれが患者さんに還元されるからです。
最近のポーランド医療の変化についてどう感じますか?
地域差はありますが、研究や新しい知見の導入が進んでいると感じます。臓器移植も日常的に行われており、その点では非常に進んでいると感じます。AIや手術ロボットの導入も進み、日本とは異なる医療の発展の方向性を感じます。
他国の医学生との交流から得たことはありますか?
日本の医学生がポーランドに留学してきた際の交流が特に印象に残っています。彼らと話す中で、日本とポーランドの医療制度や教育の違いを改めて実感しました。例えば、大学の実習では小児科が細分化されている点や、学生が多くの手技を経験できる環境などです。
また、日本やアジア、欧州など世界各国から学生が集まる環境で学ぶことで、多様性に対応する力が身につきました。文化の違いに戸惑うこともありましたが、長期的に海外で学ぶ経験は必ず将来に活かせると感じています。



留学を通じての価値観の変化
留学前後で、考え方や価値観に変化はありましたか?
海外で生活することへの不安はあまりありませんでしたが、実際に長期間暮らしてみて、「海外で生活する大変さ」と同時に「それ以上に得られる貴重な経験」を実感しました。思い切って挑戦したことは、自分にとって大正解だったと思います。
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