クリニックの集患戦略において、広報活動は、地域住民との信頼関係を築き、クリニックの認知度を高める上で非常に重要な役割を果たします。

今回は、クリニックの広報戦略について、地域住民との繋がりを深め、信頼度を高めるための具体的な方法や注意点などを詳しく解説していきます。

広報と広告の違い

広報と広告は、どちらもクリニックの情報を発信する手段ですが、その目的や方法が異なります。

  • 広告:
    ◦費用をかけて、特定の媒体に情報を掲載する
    ◦短期的な効果を期待できる
    ◦一方的な情報発信
  • 広報:
    ◦費用をかけずに、様々な媒体を通じて情報を発信する
    ◦長期的な効果を期待できる
    ◦双方向的なコミュニケーション

広報活動は、クリニックの信頼性を高め、地域住民との良好な関係を築くことを目的としています。

地域住民との繋がりを深める方法

地域住民との繋がりを深めるためには、様々な方法があります。

  • 地域イベントへの参加:
    ◦地域のお祭りやイベントに積極的に参加し、地域住民との交流を深めましょう。
    ◦クリニックのブースを出展したり、医療相談を行ったりするのも良いでしょう。
     例:健康診断や予防接種などを実施する。
  • 地域貢献活動:
    ◦地域の清掃活動やボランティア活動に参加し、地域社会に貢献しましょう。
    ◦健康講座や予防医療セミナーなどを開催するのも良いでしょう。
     例:地域の高齢者施設を訪問し、健康相談やレクリエーションなどを実施する。
  • 学校との連携:
    ◦地域の学校と連携し、健康教育や職業体験などを実施しましょう。
    ◦学校医や学校薬剤師として活動するのも良いでしょう。
     例:学校保健委員会に参加し、学校の健康課題について意見交換を行う。
  • 老人会との交流:
    ◦地域の老人会と交流し、健康相談や介護相談などを実施しましょう。
    ◦訪問診療や往診などのサービスを提供することも検討しましょう。
     例:老人会館で健康講座を開催し、健康に関する情報を提供する。
  • 広報誌の発行:
    ◦クリニックの情報を掲載した広報誌を発行し、地域住民に配布しましょう。
    ◦健康情報やクリニックの最新情報などを掲載すると喜ばれます。
     例:地域のお店や公共施設などに広報誌を置いてもらう。
  • WEB広報:
    ◦クリニックのホームページやSNSで、地域住民向けのコンテンツを発信しましょう。
    ◦地域イベント情報や健康情報などを発信するのも良いでしょう。
     例:クリニックのブログで、地域住民向けの健康情報やクリニックの日常などを発信する。
  • メディア出演:
    ◦地域のテレビやラジオ番組、新聞などに出演し、クリニックの情報や医療に関する情報を発信しましょう。
    ◦取材を受けるだけでなく、積極的に情報提供することも重要です。
     例:健康に関するテーマで番組に出演したり、地域医療に関する取り組みについて取材を受けたりする。
    ◦まずは無料メディアから:
     ▪地域のケーブルテレビやラジオ番組などに、アプローチすることで出演の機会が得られることがあります。
     ▪地域情報サイトやWebメディアなどに、医療機関登録をしたり、ライターとして記事を提供することも有効です。
     ▪専門性や分かりやすい解説を心がけることで、メディアからの信頼を得やすくなります。

取材をされるためのコツ

メディアに取材されるためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 情報提供:
    ◦メディアが興味を持つような情報を提供しましょう。
    ◦地域医療に関する情報や、クリニックのユニークな取り組みなどが考えられます。
    ◦プレスリリースを作成し、メディアに送るのも有効です。
  • メディアとの関係構築:
    ◦メディア関係者と良好な関係を築きましょう。
    ◦日頃から情報交換を行うことで、取材に繋がりやすくなります。
  • 分かりやすい説明:
    ◦取材を受ける際には、分かりやすい言葉で説明しましょう。
    ◦専門用語は避け、具体例などを交えて説明すると、メディアも理解しやすくなります。

信頼度を高めるためのポイント

広報活動を通じて、地域住民からの信頼を得るためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 誠実な情報発信:
    ◦正確な情報を分かりやすく伝えることが大切です。
    ◦誇張表現や虚偽情報は絶対に避けましょう。
     例:最新の医療情報やクリニックの治療実績などをホームページや広報誌で発信する。
  • 親しみやすい対応:
    ◦スタッフの笑顔や丁寧な対応は、患者さんに安心感を与えます。
    ◦患者さんの話を 잘 듣き、親身になって相談に乗ることも重要です。
     例:受付や電話対応など、患者さんと接する機会が多い場所での対応を特に意識する。
  • 地域に根ざした活動:
    ◦地域社会に貢献する活動を継続的に行うことで、地域住民からの信頼を得られます。
    ◦地域ニーズに合った医療サービスを提供することも重要です。
     例:地域の医療機関や福祉施設と連携し、地域包括ケアを推進する。

まとめ

広報戦略は、クリニックの信頼度を高め、地域住民との繋がりを深めるための重要な手段です。

地域イベントへの参加、地域貢献活動、学校との連携、老人会との交流、広報誌の発行、WEB広報、メディア出演など、様々な方法を組み合わせ、地域に愛されるクリニックを目指しましょう。

次回予告:「クリニックの未来をデザインする!経営理念とビジョン策定!

クリニック経営は、羅針盤なき航海に似ています。

「どんなクリニックにしたいのか?」
「地域医療にどのように貢献したいのか?」

…そんな根本的な問いに答えなければ、進むべき方向を見失ってしまいます。

次回は、経営理念とビジョンの策定について徹底解説!
クリニックの未来をデザインする、羅針盤作りをお手伝いします。経営理念とビジョンを明確にして、未来へ続く航海に出ましょう!

2025/04/03
著者:鎌形博展
医師、株式会社EN 代表取締役、医療法人社団季邦会 理事長、東京医科大学病院 非常勤医師


東京都出身。埼玉県育ち。
明治薬科薬学部を卒業後、中外製薬会社でMRとなるも、友人の死をきっかけに脱サラして、北里大学医学部へ編入する。
卒業後は東京医科大学病院救命救急センターにて救急医として従事。2017年には慶應義塾大学大学院にて医療政策を学び、MBAを取得。東北大学発医療AIベンチャー、東京大学発ベンチャーを起業した他、医療機器開発や事業開発のコンサルティングも経験。2019年、うちだ内科医院を継承開業。以降、2020年に医療法人季邦会(美谷島内科呼吸器科医院)を継承し、2021年には街のクリニック 日野・八王子を新規開業。2023年には株式会社EN創業。国際緊急援助隊隊員・東京DMAT隊員・社会医学系専門医。趣味はBBQ。43歳で剣道・フェンシングを再開。

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