クリニックを開業したものの、「なかなか患者さんが集まらない…」という悩みは、多くの開業医が直面する課題です。どんなに素晴らしい医療を提供していても、患者さんに知ってもらわなければ意味がありません。
今回は、クリニックの集患戦略について、マーケティングのAISASの法則に沿って、具体的な方法や注意点などを詳しく解説していきます。
AISASの法則とは?
AISAS(アイサス)とは、インターネットが普及した現代において、顧客が商品やサービスを購入するまでの心理的なプロセスを説明するフレームワークです。
- Attention(注意) : 顧客の注意を引きつける
- Interest(興味 ) : 顧客の興味関心を惹きつける
- Search(検索) : 顧客が商品やサービスについて検索する
- Action(行動) : 顧客に行動(購入など)を起こさせる
- Share(共有) : 顧客が商品やサービスについて情報を共有する
基礎固め:開業エリア、物件、コンセプト、ターゲティング
集患戦略を考える上で、土台となるのが、開業エリア、開業物件、コンセプト、そしてターゲティングです。
- 開業エリア
◦人口統計、競合クリニックの有無、地域住民のニーズなどを調査し、最適なエリアを選びましょう。
◦医療圏調査を行い、患者さんの流入経路や競合クリニックの状況を把握することも重要です。 - 開業物件
◦患者さんが通いやすい場所、視認性の高い場所を選びましょう。
◦広さや間取りだけでなく、バリアフリーや駐車場の有無も考慮しましょう。 - コンセプト
◦どのようなクリニックにしたいのか、明確なビジョンを持ちましょう。
◦ターゲット層に合わせた強みを打ち出すことが重要です。 - ターゲティング
◦どのような患者さんをターゲットとするか、明確にしましょう。
◦年齢層、性別、ライフスタイル、地域性などを考慮し、具体的な人物像を設定しましょう。
Attention & Interest:知ってもらう!興味を持ってもらう!
クリニックの存在を知ってもらい、興味を持ってもらうためには、様々な方法で情報を発信する必要があります。
- ホームページ
◦クリニックの基本情報、診療内容、医師紹介、アクセス情報などを掲載しましょう。
◦SEO対策も忘れずに行い、検索エンジンからの流入を増やしましょう。
◦ブログやお知らせなどを定期的に更新し、有益な情報発信を心がけましょう。
◦デザイン性を高め、分かりやすく魅力的なホームページを作成しましょう。(Attention)
◦専門分野や医師の経歴、治療実績などを掲載し、クリニックの信頼性をアピールしましょう。(Interest) - ポータルサイト
◦地域の医療機関検索サイトなどに登録し、患者さんの目に触れる機会を増やしましょう。
◦複数のポータルサイトに登録し、露出度を高めることが重要です。(Attention)
◦ポータルサイトでの口コミや評価は、患者さんのInterestに大きく影響します。 - SNS
◦Facebook、Instagram、Twitterなど、ターゲット層に合わせたSNSを活用し、クリニックの情報を発信しましょう。
◦有益な情報やクリニックの雰囲気などを発信し、フォロワーを増やしましょう。(Attention & Interest)
◦写真や動画を効果的に活用し、クリニックの魅力を伝えましょう。(Interest) - チラシ・パンフレット
◦地域住民向けのチラシやパンフレットを作成し、ポスティングや配布を行いましょう。(Attention)
◦ターゲット層に合わせたデザインや情報を心がけましょう。(Interest)
◦クーポンやキャンペーン情報などを掲載することで、来院を促しましょう。(Desire) - 地域イベントへの参加
◦地域のお祭りやイベントに参加し、地域住民との繋がりを深めましょう。(Attention)
◦顔と名前を覚えてもらうことが重要です。(Memory)
Search:検索してもらう!
興味を持った患者さんは、インターネットでクリニックについて検索します。
- SEO対策
◦キーワード選定を行い、検索エンジンで上位表示されるように対策しましょう。
◦MEO対策も重要です。Googleビジネスプロフィールに登録し、情報を充実させましょう。 - リスティング広告
◦検索キーワードに連動して広告を表示させることで、検索意欲の高い患者さんにアプローチできます。
Action:来院してもらう!
検索した情報を参考に、患者さんはクリニックに来院するかどうかを検討します。
- 分かりやすい情報発信: 専門用語を避け、分かりやすい言葉で情報を伝えましょう。(Desire)
- 親しみやすい雰囲気: スタッフの笑顔や丁寧な対応など、親しみやすい雰囲気を演出し、患者さんの不安を軽減しましょう。(Desire)
- オンライン予約: 電話予約だけでなく、オンライン予約も導入することで、患者さんの利便性を高めましょう。(Action)
- キッズスペース: 小さなお子様連れの患者さんのために、キッズスペースを設けるのも有効です。(Desire)
- バリアフリー: 高齢者や障がい者の方にも配慮したバリアフリー設計にしましょう。(Desire)
Share:共有してもらう!
来院した患者さんの満足度が高ければ、SNSや口コミサイトで情報を共有してくれます。
- 丁寧な診療: 患者さんの話を 잘 듣き、丁寧な説明を心がけましょう。(Action)
- スタッフ教育: スタッフの接遇教育を徹底し、患者さんに安心感を与えましょう。(Action)
- アフターフォロー: 診察後、患者さんの状態や不安に寄り添うアフターフォローも大切です。(Action & Share)
- 患者さんの声: 患者さんの声に耳を傾け、改善点を改善していく姿勢が大切です。(Share)
- SNSでの情報発信: クリニックの情報を積極的に発信し、患者さんにシェアしてもらうように促しましょう。(Share)
広告戦略:認知度アップと来院促進
クリニックの存在を広く知ってもらい、来院を促すためには、広告戦略も有効です。
- WEB広告
◦Google広告やYahoo!広告など、ターゲット層に合わせたWEB広告を配信しましょう。(Attention & Interest)
◦キーワード選定や広告内容を工夫し、費用対効果を高めることが重要です。
◦オンライン予約への導線を明確にすることで、Actionに繋げましょう。 - 看板広告
◦駅や交差点など、視認性の高い場所に看板を設置し、クリニックの認知度を高めましょう。(Attention)
◦デザインやキャッチコピーを工夫し、通行人の目を引くようにしましょう。
◦クリニック名や診療科目を分かりやすく表示することで、Memoryに残りやすくしましょう。
B2B営業:地域連携と患者紹介
地域の医療機関や企業との連携も、集患に繋がる有効な手段です。
- 医療機関との連携: 地域の病院やクリニックと連携し、患者さんの紹介を受けましょう。(Action)
- 企業への営業: 地域の企業に訪問し、従業員の健康管理に関する情報提供や連携を提案しましょう。(Action)
まとめ
集患戦略は、クリニックの成長に不可欠な要素です。
土台となる開業エリア、物件、コンセプト、ターゲティングをしっかりと固め、AISASの法則に基づいた効果的な情報発信を行い、来院しやすい雰囲気を作り、患者さんとの良好な関係を築くことで、地域に根ざしたクリニックを目指しましょう。
次回予告:「クリニックの顔!広告戦略で認知度アップ!」
クリニックの集患戦略、奥が深いですよね!
「ホームページ作ったけど、全然見てもらえない…」
「チラシ作ったけど、効果があるのか分からない…」
「広告って、どんな種類があるの?」
…なんて悩み、尽きないですよね?
ご安心ください!次回は、広告戦略について徹底解説!
クリニックの認知度をグーンとアップさせる、効果的な広告の出し方をご紹介します。
広告の力を借りて、地域No.1のクリニックを目指しましょう!
2025/04/03
著者:鎌形博展
医師、株式会社EN 代表取締役、医療法人社団季邦会 理事長、東京医科大学病院 非常勤医師

東京都出身。埼玉県育ち。
明治薬科薬学部を卒業後、中外製薬会社でMRとなるも、友人の死をきっかけに脱サラして、北里大学医学部へ編入する。
卒業後は東京医科大学病院救命救急センターにて救急医として従事。2017年には慶應義塾大学大学院にて医療政策を学び、MBAを取得。東北大学発医療AIベンチャー、東京大学発ベンチャーを起業した他、医療機器開発や事業開発のコンサルティングも経験。2019年、うちだ内科医院を継承開業。以降、2020年に医療法人季邦会(美谷島内科呼吸器科医院)を継承し、2021年には街のクリニック 日野・八王子を新規開業。2023年には株式会社EN創業。国際緊急援助隊隊員・東京DMAT隊員・社会医学系専門医。趣味はBBQ。43歳で剣道・フェンシングを再開。