クリニックの成功は、医師の力量だけでなく、それを支えるスタッフの存在が不可欠です。優秀なスタッフを採用し、育成することは、患者満足度向上、円滑なクリニック運営、そして長期的な安定に繋がります。
しかし、近年では医療業界全体で人材不足が深刻化しており、良い人材を採用することは大きな課題となっています。
今回は、クリニックの人材採用について、求める人物像の設定から採用方法、そしてその後の定着まで、詳しく解説していきます。さらに、他クリニックと差をつけて採用に成功するノウハウや、魅力的な求人内容、注目される求人の出し方についてもご紹介します。
クリニックの顔となる!求める人物像を明確に
どんなクリニックにしたいのか?どんな医療を提供したいのか? 採用活動の第一歩は、クリニックのビジョンやコンセプトを共有し、それに合致する人物像を明確にすることです。
- 職種: 看護師、医療事務、受付、臨床検査技師など、それぞれの職種に必要なスキルや経験を明確化します。
- 経験: 未経験者、経験者、ブランクのある方など、クリニックの状況に合わせて採用基準を決めましょう。
- 能力: 医療事務処理能力、コミュニケーション能力、患者対応力など、職務遂行に必要な能力をリストアップします。
- 人柄: 明るさ、誠実さ、協調性、責任感など、クリニックの雰囲気に合った人柄を重視しましょう。
採用活動を始めよう!効果的な募集方法とは?
求める人物像を明確にしたら、次は効果的な方法で候補者を集めましょう。
- 求人媒体の活用: 求人サイト、医療専門の求人誌、ハローワークなどを活用しましょう。それぞれの媒体の特徴を理解し、ターゲット層に合った媒体を選びましょう。
- クリニックのホームページ: クリニックのホームページに求人情報を掲載することで、クリニックの雰囲気や理念に共感した人材からの応募が期待できます。
- 紹介: 既存のスタッフや関係者からの紹介は、信頼できる人材を獲得できる有効な手段です。
他クリニックと差をつける!採用成功のノウハウ
- 魅力的な求人内容: 給与や待遇だけでなく、クリニックの理念やビジョン、働き方、キャリアパスなどを具体的に提示し、応募者の心を惹きつけましょう。
◦働きがいをアピール: チームワーク、スキルアップ、地域貢献など、仕事の魅力を具体的に伝えましょう。
◦ワークライフバランス: 休日、休暇、残業時間など、働きやすい環境をアピールしましょう。
◦福利厚生: 社会保険完備、退職金制度、育児支援制度など、充実した福利厚生を提示しましょう。 - 注目される求人の出し方
◦求人情報の差別化: キャッチフレーズや写真、動画などを効果的に活用し、他の求人情報と差別化を図りましょう。
◦ターゲット層への訴求: 若い世代にはSNS、経験者には専門サイトなど、ターゲット層に合わせた媒体を選び、効果的にアプローチしましょう。
◦積極的な情報発信: クリニックのブログやSNSで、スタッフインタビューや職場環境などを発信し、魅力をアピールしましょう。
応募者と向き合う!面接で重視すべきポイント
面接では、応募者のスキルや経験だけでなく、人柄や潜在能力を見極めることが重要です。
- 自己PR: 応募者の強みや能力、仕事に対する熱意を把握しましょう。
- 職務経歴: 過去の経験から、応募者がどのようなスキルや知識を身につけているのかを確認しましょう。
- 志望動機: なぜクリニックで働きたいのか、どのような医療に貢献したいのかを聞き、クリニックのビジョンとの一致度を確認しましょう。
- 質問: 応募者からの質問を通して、仕事への理解度や関心の度合いを把握しましょう。
- コミュニケーション能力: 患者様やスタッフと円滑にコミュニケーションを取れるか、言葉遣いや態度などを観察しましょう。
- 面接官の印象: 面接官の対応も、応募者にクリニックの印象を与える重要な要素です。自分たちも選ばれる側でもあると意識して、親切丁寧な対応を心がけましょう。
採用決定!条件提示と雇用契約
採用を決定したら、労働条件を明確に提示し、雇用契約を結びます。
- 給与: 経験、能力、勤務時間などを考慮し、適切な給与額を提示しましょう。
- 勤務時間: 診療時間、休憩時間、残業などを明確に伝えましょう。
- 休日: 休日、休暇、有給休暇などについて、就業規則に基づいて説明しましょう。
- 福利厚生: 社会保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの加入、その他福利厚生について説明しましょう。
- 試用期間: 試用期間を設ける場合は、期間と条件を明確に伝えましょう。
活躍できる環境を!スタッフの定着と育成
せっかく採用したスタッフが長く活躍できるよう、働きやすい環境を整え、育成に力を入れることが大切です。
- 教育: 新人研修、スキルアップ研修など、スタッフの成長を支援する教育制度を導入しましょう。
- 評価: 公正な評価制度を設け、スタッフのモチベーション向上に繋げましょう。
- コミュニケーション: スタッフミーティングや面談などを定期的に行い、コミュニケーションを促進しましょう。
- 働きがい: 仕事のやりがいを感じられるよう、役割や責任を明確にし、裁量を与えることも重要です。
- 働きやすい環境: 職場環境の改善、休暇取得の推奨など、ワークライフバランスを重視しましょう。
まとめ
人材採用は、クリニックの未来を左右する重要なプロセスです。
求める人物像を明確にし、効果的な採用活動を行い、スタッフの定着と育成に力を入れることで、クリニックの成長と発展に繋がるチームを作ることができます。
魅力的な求人内容と効果的な募集方法で、優秀な人材を獲得し、長く活躍できる環境を提供することで、クリニックの成功へと導きましょう。
次回予告:第11回は「患者さんを惹きつける!集患戦略を考えよう!」
さあ、クリニック開業もいよいよ大詰め!
でも、どんなに素敵なクリニックを作っても、患者さんが来なければ意味がないですよね?
「どうやって患者さんを集めればいいの?」
「どんな方法が効果的なの?」
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…と、悩んでいませんか?
ご安心ください!次回は、集患戦略について徹底解説!
患者さんの心を掴む、様々な方法をご紹介します。
集患の悩みを解消して、患者さんに愛されるクリニックを目指しましょう!
2025/04/03
著者:鎌形博展
医師、株式会社EN 代表取締役、医療法人社団季邦会 理事長、東京医科大学病院 非常勤医師

東京都出身。埼玉県育ち。
明治薬科薬学部を卒業後、中外製薬会社でMRとなるも、友人の死をきっかけに脱サラして、北里大学医学部へ編入する。
卒業後は東京医科大学病院救命救急センターにて救急医として従事。2017年には慶應義塾大学大学院にて医療政策を学び、MBAを取得。東北大学発医療AIベンチャー、東京大学発ベンチャーを起業した他、医療機器開発や事業開発のコンサルティングも経験。2019年、うちだ内科医院を継承開業。以降、2020年に医療法人季邦会(美谷島内科呼吸器科医院)を継承し、2021年には街のクリニック 日野・八王子を新規開業。2023年には株式会社EN創業。国際緊急援助隊隊員・東京DMAT隊員・社会医学系専門医。趣味はBBQ。43歳で剣道・フェンシングを再開。