1. 胸痛の評価

生命の危機に直結する可能性が高いと考えた場合には、内科診療ではなく救急診療の進め方を行うべきです。ABCDを確保し、心電図・胸部単純写真等の基本的な検査、技術的に可能であれば経胸壁心エコーなどを進め、自院で対応が難しい場合は速やかに救急搬送を手配します。
自院で対応可能な場合は、専門医の診察を要請しつつ、指示に従って鎮痛、鎮静、酸素投与その他の処置を行います。
幸いなことに、そのようなリスクは低いような場合には、以下のようなステップで診療を進めます。
まず胸痛は主観的な体験であり、他覚的・客観的所見に乏しい場合もあります。また、胸の痛みを「胸の違和感」「息苦しさ」で表現する患者さんも多くいます。そのため、まずは患者の訴えを詳しく聞き、痛みの性質、部位、持続時間、誘因、他の症状があるかなどを明確にしながら、生命の危機に直結するのかどうかの判断および原因をまず考えていきます。

2. 胸痛の鑑別診断

胸痛の原因は多岐にわたります。以下に主なものを列挙します。

2.1 生命予後に関与する重篤疾患

1. 虚血性心疾患(特に急性冠症候群)
 2. 胸部大動脈解離
 3. 肺塞栓症
 4. 心タンポナーデ(急性心膜炎)
 5. 気胸(特に緊張性気胸)
 6. 特発性食道破裂(Boerhaave症候群)

2.2 「1」以外の循環器疾患

1. 急性心膜炎
 2. 急性心筋炎
 3. 不整脈(徐脈、頻拍)
 4. たこつぼ型心筋障害(心筋症)
 5. その他(心臓弁膜症、肥大型心筋症など)

2.3 循環器疾患以外の胸郭内疾患

1. 胸膜炎
2. 縦隔気腫
3. 逆流性食道炎(胃食道逆流症)

2.4 その他

1. 消化器疾患(消化性潰瘍、胆石症、急性膵炎など)
 2. 帯状疱疹
 3. 肋間神経痛
 4. 心臓神経症

以上が胸痛の鑑別診断における主な疾患です。これらの疾患の中には生命予後に直接関与する疾患が多く含まれているため、原因診断として第一に考えないといけない疾患は生命予後に関与する重篤疾患群であることを念頭に置いてください。

3. レッドフラッグ

胸痛のレッドフラッグとは、重篤な疾患の可能性を示す警告信号のことを指します。以下に、胸痛のレッドフラッグをいくつか挙げてみます。

1. 突然発症:胸痛が突然発症した場合、心筋梗塞や大動脈解離などの重篤な疾患の可能性があります。
 2. 急性発症:胸痛が急に始まった場合も、重篤な疾患の可能性があります。
 3. 胸痛の放散や移動:胸痛が特定の部位から他の部位へ放散または移動する場合、心筋梗塞などの可能性があります。
 4. 冷汗・嘔気・意識レベルの低下・呼吸困難:これらの症状が胸痛と共に現れる場合、重篤な疾患の可能性が高まります。
 5. 3週間以上の長引く咳:長期間にわたる咳と胸痛が同時に存在する場合、肺炎や肺がんなどの可能性があります。
 6. 胸膜炎性胸痛:胸膜炎による胸痛は、深呼吸や咳、体位変換で増悪することが特徴です。

これらのレッドフラッグがある場合は、専門医の判断を仰ぎます。

3. 診断

胸痛の診断は、患者の症状、身体所見、そしてさまざまな検査結果に基づいて行われます。

– 症状と身体所見: 胸部の視診で胸郭の変形や左右差の有無を確認し、聴診では肺音、心音に異常がないか調べます。
– 血液検査: 血液検査は、特定のマーカーを検出することで、心筋梗塞などの可能性を評価します。
– 心電図検査: 心電図は、心臓の電気的活動を記録し、心臓の異常を検出するのに役立ちます。
– 胸部X線検査: 胸部X線は、肺、心臓、大動脈などの胸部の構造を視覚化し、異常を検出するのに役立ちます。

4. 治療

胸痛の治療は、その原因となる疾患の治療が主となります。

– 鎮痛薬: 診断が確定するまでは、一時的にアセトアミノフェンやオピオイドなどの痛み止めにより胸痛を抑えることもあります。
 – 特定の疾患の治療: 例えば、肺炎や胸膜炎の場合は抗生物質を使用し、狭心症の場合は心臓の血管(冠動脈)を拡げる治療や薬を使用します。

以上が胸痛の診断と治療についての基本的な情報です。詳細な診断戦略、治療戦略については、今後補足していきます。

ライター:Chat-GPT 監修:Hiro(鎌形博展)
更新 2024/06/27

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