雇用契約とは言葉のまま、雇用者(病院)と被雇用者(医師)の間で締結される労働に対して対価を支払う契約です。
雇用契約が結ばれると、原則は一方的に破棄することはできませんが、
契約にも種類があり、それぞれの特徴があります。まずはそれを把握する必要があります。
雇用契約の種類
医師が通常、目にするのは以下の6つかと思います。
・期間の定めのない正社員
・期間の定めのある正社員
・期間の定めのない非常勤職員
・期間の定めのある非常勤職員
・有期雇用契約
・業務委託契約(雇用契約ではありません)
【正社員 (常勤) 】
通常の常勤勤務医はこの契約となります。年休、社会保障など完備され、また基本的に解雇は厳しく制限されております。
一方で、被雇用者は14日以上前に雇用者に伝えることで、退職が可能です。しかしながら、医師という仕事の重要性、代替の難しさを考えると雇用者と相談のうえ数か月~半年程度は働いてから辞めるのが通例となっています。
狭い世界ですので、砂をかけて辞めるよう行為は慎んでおくべきかと思います。
【非常勤職員】
一定の時間数に達しないものを正社員と区別して非常勤職員と称します。内容に大きな差はありませんが、社会保障や付与される年休の日数などは勤務時間に応じます。またボーナスの支給対象になっていないケースも多いと思いますが、医師の場合はそもそも常勤であっても、年俸制であったりとボーナスの支給対象になっていないことが多いかもしれません。
【期間の定めとは】
期間の定めがないとは無期雇用を意味します。期間の定めがあるとは、6カ月ならば6か月の契約であり、更新のあるなしについては別途定められます。
【有期雇用契約】
期間の定めのある雇用契約であり、通常の雇用契約と異なっており、期間満了前の契約破棄は雇用者、被雇用者とも認められません。つまり14日以上前に伝えても原則は自己都合での退職は認められません。
【業務委託契約】
これは雇用契約ではありません。ある種の業務に対して報酬を支払うもので、時と場所を定めて診療行為を行う場合は、これには該当しません。よく報酬の一部を業務委託契約にして、税金対策とすることを推奨する人がいますが、これは租税回避行為であり、いわゆる脱税です。実態に沿った契約をお勧めします。
あなたの仕事にマッチした契約を
診療行為を提供する場合は、雇用契約を結ぶことになります。これはスポット勤務でも、それは変わりませんが、一回の勤務のために契約書を用意せず、求人票で代替されることもあるかと思います。正社員や非常勤の場合は必ず雇用契約を結びましょう。これは絶対です。
なお、院長(管理者)を行う場合は、様々な契約を形態があります。これは、労働に対して裁量権がどの程度あるかによって、かなり判断が変わってきます。また労働関連法規とは別に、医療法の制限もあります。この2つの法律は全く無関係なので、医療機関としては管理者を雇用する際に双方の法律で問題がないように両立した契約をまとめるのが非常に難しい状況です。これについては別の機会に説明をします。